都市地域セミナー「鉄道遺産・鉄道資産を生かしたまちづくり」を来週に控えて、鉄道ファンの方たちと話をしていて、「11月1日に北海道遺産の第3回選定分の発表があって、その中に『北海道の簡易軌道』が選ばれたんですよ」ということを教えてもらいました。
北海道遺産と言うと、北海道のなかで育まれ、「有形・無形の様々な遺産を、多様な人々が共有する仕組みをつくることで、北海道の『宝物』を次世代に継承すること」を目的に、選定されているもので、これまでに52の遺産が選定されています。
身近なものも選定されていて、食べ物ならば"ラーメン""ジンギスカン"、自然ならば、"摩周湖"や"積丹半島と神威岬"などの一級の景勝地。
そんななか、鉄道関連のジャンルも多く、札幌と函館の"路面電車"、"旧国鉄士幌線のアーチ橋群"があり、稚内の"北防波堤ドーム"だって、かつてはここに鉄道駅がありましたから、港湾施設ではありますが鉄道関連施設とも言えそうです。
そしてここに今回、新たな鉄道関連遺産として"小樽の鉄道遺産"と"北海道の簡易軌道"が加わったのだそう。
この簡易軌道というのは、"植民軌道"とも呼ばれ、レール幅が762mmと国鉄などの1067mmに比べ狭く、また動力は馬匹とする簡易なものでしたが、泥炭地や火山灰地が多く、春の融雪期には道路は「ドロドロ」状態になって、交通が極めて困難だった北海道において、人やモノ・情報を運ぶのに大きな役割を果たしました。
一見狭い幅ながらレールを敷いているので鉄道と思われがちですが、法体系的には、土地改良法による開拓のための付属的な施設として扱われ、国が作ってくれるものの、維持管理は地元の市町村が行うという形だったそうです。
この簡易軌道が今回の北海道遺産認定を受けましたが、これをずっと研究してきたのが、今回の都市地域セミナーで基調講演をしてくださる、釧路市立博物館学芸員の石川孝織さん。
石川さんが中心になって釧路市立博物館で一昨年度に開催した 企画展「釧路・根室の簡易軌道とその図録」が鉄道史学会「第8回住田奨励賞特別賞」を、「『釧路・根室の簡易軌道』(冊子)」が鉄道友の会「2018年 島秀雄記念優秀著作賞特別部門」を受賞したところであり、自画自賛ながらなんとタイムリーな人選であることか!
旧国鉄~JRが交通・物流の動脈ならば、簡易軌道は毛細血管となって、北海道の深部までの輸送をになった開拓の歴史。
北海道の歴史をこういう切り口で眺めてみると興味深いものがありますね。
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私のオフィスに、鉄観研のMさんが来られて来週の都市地域セミナーの打ち合わせをしていたところ、朝日新聞さんから電話が入りました。
何かと思えば、先日札幌市役所の記者クラブを通じてお知らせした、来週の都市地域セミナー「鉄道遺産・鉄道資産を生かしたまちづくり」についての問い合わせでした。(→ http://www.cpij-hokkaido.jp/seminar181024.pdf)
「まだ来場者に募集をしても大丈夫でしょうか。明後日の日曜日の朝刊に案内記事を出そうと思いまして」
「おお、ありがとうございます。しかし、この投げ込みに反応されるとはもしかして鉄道ファンですか?」
「ええ、昔国鉄の『いい旅チャレンジ2万キロ』にも挑戦していましたねえ(笑)」
我々のセミナーは、北海道鉄道観光資源研究会の二日間にわたる展示博覧会のなかで開かれます。
この二日間には道庁赤レンガ庁舎の2階は、鉄道模型やらパネルなど鉄道ファン大喜びのイベントだらけです。
どうぞお越しください。
【2018展示博覧会「北海道の鉄道 過去、現在、未来」】
http://rail-hokkaido.net/archives/432