今日は、(一社)日本道路建設業協会北海道支部が主催する道路講演会でした。
昨日は道路事業座談会で、今日は道路講演会。紛らわしいですね(笑)
この講演会は今年で第52回目という歴史ある講演会で、今年の講師は、「TVタックル」や「そこまで言って委員会NP」などに出演していてお馴染みの、経済ジャーナリスト須田慎一郎さん。
講演のタイトルは、「どうなる日本経済と建設業の未来~二極化が進む日本経済」として、日本の経済の潮流を開設してくださいます。
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一応自分は、経済ジャーナリストを名乗っていますが、同じような経済評論家のなかで、「見通しが100%当たっている」という人がいるでしょうか。
「エコノミスト」と名乗る人もいますが、皆さんご存知ですか。実は「エコノミスト」を名乗るには、日本経済研究センターという公益社団法人の研修生になって、マクロ経済学を学ばないといけません。
別に公的な資格でもなんでもないのですが、私の友人で一人だけその研修を受けてエコノミストを名乗っているのがいますが、ご存知ですか、森永卓郎(笑)。
彼はエコノミストを堂々と名乗っていますが、それでも経済見通しをいろいろと述べていますが、100%当たりませんよね。
森永の言うことの反対をやれば当たるよ、というジョークもありますが、それほど、実は経済見通しは当たらないんです。
なぜか。
それは、予想を立てるのに経済の見通しだけではなく、政治が何をどうしようとしているか、を見る視点が不十分だからだ、と思っています。
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9月に自民党の総裁選がありました。結果的に安倍さんが再再選を果たしました。アベノミクスがあと3年続くと思っている人が多いでしょう。でも、従来のアベノミクスはもう続きません。最初に始めたアベノミクスでは不十分だという事で、アベノミクスは新しいステージに変わっているんです。
安倍さんがやったのはまずは円安への誘導です。円高で青息吐息だった、自動車・エレクトロニクス・機械などの産業はようやく復活した。そうやって大企業はものすごい額の内部留保を抱えられるようになった。
しかしその留保が、社員や下請けに十分に回りませんでした。
なぜアベノミクスは不十分だったのか?実は初期のアベノミクスは、従来の経済産業構造を前提としていました。それは、すそ野が広くて頂点が高い富士山のようなピラミッド構造です。
頂上は大企業や大都市圏経済で、その下には中堅企業、そして裾野には中小零細企業が広がるという構造です。
安倍さんは、大企業だけの賃金ボーナスを上げることを目的にしたわけではない。大企業を支えれば、それが下流に流れて、中小も含めた個人消費を拡大したいというのが目論見でした。
ところが、円安で支えて利益を上げた自動車やエレクトロニクスの三大産業は、今や世界の中で大競争時代の波にもまれています。自慢の製品もすぐに新興国に追い上げられて、価格がどんどん下がってしまう。
かつて白物家電の勇者だったパナソニックなんて、今や稼ぎ頭は太陽光発電と住宅関連産業です。もう家電メーカーと言う呼び方は正しくないんじゃないでしょうか。
そんなわけで、大企業をいくら設けさせても、中小に対する利益配分などはまったくできていない、だからこのままでは景気や経済は良くならない、と安倍さんは考えました。
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そこで安倍さんは新しい政策に着手しました、もう着手しているんです。
その政策とは、「一億総活躍社会実現プラン」というやつです。(なあんだ)と思いますか? でも皆さんのイメージと私の話は違うと思います。
一般的なイメージは、人口減少→女性と老人の活躍が必要、というものではありませんか?
しかし私のイメージはただの労働政策だけではありません。
アベノミクスの最終ゴールはなんでしょうか。何を実現すれば景気回復を感じられるのか?それは『フルタイムで働いている人の賃金を増やしていくこと =一家の大黒柱の所得収入を増やすこと=お父ちゃんの給料、ボーナスを増やすこと」にほかなりません。
発想を変えたのは、「企業業績重視」から「世帯収入重視」への転換です。
なぜそれがゴールなのか?国民は、かならず世帯に属しているのだから、世帯収入を増やしていくことで、経済的豊かさを享受しようという目論見です。
そのための方法はただ一つ、働く人の数を増やすしかない。
だから去年の9月以降やったことは、家庭の主婦に白羽の矢を立てるけれど、7百万人いる専業主婦、いい意味で言えば富裕層の女性たちは働かない。
あるいは、子供がいるから働けない、保育園がない、または年寄りgいるから働けない、そういう問題を解消しない限り働けない。
そこで手っ取り早く狙ったのが、共働き世帯で、その人たちに(もっと働いてくれ)と。
しかし世間は冷たかった。「配偶者控除が減るからもう働きたくない」という。
だから、その年の暮れに配偶者控除の上限を150万円まであげた。当時自民党と財務省は、配偶者控除も辞めちゃおう、とさえ考えた。ところが公明党が反対した。
「配偶者控除は低所得者対策だからまかりならぬ」というわけだ。しかし遅くとも2025までに配偶者控除はなくなると思って良いと思います。
今考えているのは、今の日本の女性の就労率の62%を、北欧並みの82%まで上げたいという事。
だから、今年新しい分野に一兆円のお金が着いた。それは、待機児童の解消や幼児教育の無償化ということで、来年の消費増税の使い道にも、それが含まれている。
そして就業率を増やそうという動きはシルバー層にまで及んでいます。
15歳から65歳までという生産年齢人口の定義を、74歳まで働いてほしい、ということにして、そういう方針が「高齢社会対策大綱」として閣議決定している。
しかし!しかしそれでも労働力は不足します。だ・か・ら、外国人労働者の導入なのです。それがこの臨時国会のメインのテーマになっている。
ポット出た話ではなくて、一昨年からの動きがすべて繋がっていて今になっているんです。
「それって、実質的な移民政策ではないか」といった批判があります。確かに問題点はあるのもわかるが、では今のままでよいのか、ということ。
やれる政策を総動員して、少しでも早く始めないと、いろいろな社会の担い手が不足して、次の時代の日本社会は危なくなるという危機感がある。
道路の舗装業界も人手が足りないとのことですが、それを手をこまねている時間的余裕はもうないのではないでしょうか。
日本も、かつての成功パターンが通用しなくなっている。
政府はそのことに気がついて、新しい仕組みを導入しようとやっきになっている。
この危機を国民みんなが考えるべき時期に来ていると思う。
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…とまあこんな感じ。
社会の担い手は、文句を言っていれば何とかなるわけではありません。
今の臨時国会での議論が、また違った形で見えてきました。
アジっている部分もあろうかと思いますが、考えさせられるお話でした。