今日と明日で福島県への出張です。今週の後半は書き込みが大幅に送れてしまいました。どうもすみません。
さて今日は
■南会津というところ の一本です。
【南会津というところ】
今日から明日にかけて、北海道開発局と東北地方整備局の広域計画担当者同士による情報交換会のため、福島県に出張なのである。
この会議は、津軽海峡を挟んだ青函交流や積雪寒冷地技術などなにかと関わりの深い機関同士の意思疎通を図るもので、もう十年以上にわたって続けられているものである。
毎回会場を北海道と東北が交替で決めて会合を持っているのだが、今年の会場設定は東北さんの番と言う事で、会場を南会津の下郷町にしてくださった。
朝一番に新千歳空港を飛び立ち、降り立ったのは福島空港。飛行場の中には中国語と韓国語があふれていて、アジアからのお客さんが多い事を感じさせる。
出迎えに来てくださった東北地方整備局の方とお話をしてみると、まさに最近はこのあたりへのアジアからのスキー客が多いのだという。北海道は確かにスキーのメッカなのだが、行きたくても費用が高くつくのでスキーだけなら東北で充分というアジア観光客も多いと聞く。うーむ、こういう言葉のもてなし一つでも気持ちの入れ方の差を感じてしまう。
まずいぞ、北海道!
* * * *
福島空港から南会津までは高速道路で福島県内を反時計回りにぐるりと回るのが時間的には一番の近道とあって、東北道~磐越道をひた走る。
福島県内では今日向かう下郷町の南側に甲子道路(かしどうろ)という箇所があって、地元からもう百年も要望されていながら繋がっていない、幻の道路があるのである。現在は本来県が整備すべき一般国道298号線を権限代行で東北地整が整備を行っていて、開通の目処が立っている。
これができれば、遠回りをしなくても済んだのだが、それはもうすぐのお楽しみである。
車は会津インターを降りて会津若松市内を通って南下する。会津若松市内ではもちろん話題は白虎隊で、幕末の幕府軍の意地を一手に引き受けた会津藩に思いを馳せる。
会津には「会津の三泣き」という言葉があるのだそうだ。会津に入るときは会津人の排他性に泣かされ、会津に住むと「ならぬことはなりませぬ」という会津人の頑固さにまた泣かされ、しかし会津を出るときには会津の人達の人情が忘れがたくまた泣き、全部で三度泣くというのである。
札幌も「二度泣く」と言われるが、こちらの方が一枚上手か。
そんな会津若松は鶴ヶ城の天守閣を車の中からちらりと見るだけで下郷町の大内宿を目指す。今日の視察の第一ポイントは大内宿である。
ここは現在も江戸時代の旧街道沿いに、約40軒の茅葺き民家が当時の面影を残して並び、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、町の立派な観光地として名をとどろかせている。
山に向かう緩やかな斜面沿いの道路の両脇に立派な茅葺きの家々が続く様は荘厳だ。施設の立派さに反して、インターネットを見てもここの素晴らしさを伝えるホームページは案外少ないことに驚く。
観光を情報提供さんぎょうとして見ないとそういうことになるのだろう。もって他山の石としなくてはなるまい。
* * * *
互いの情報交換を充分に行い知らなかった事も多く教えてもらい、充実した会議を終えて、宿泊はこれまた築180年の茅葺き古民家を改造したという民宿であった。
建物は古民家に宿泊棟を増築してあるのだが、古民家の部分は昔ながらの囲炉裏に薪がくべられている。
以前岐阜県の白川郷を訪ねたときに、「囲炉裏からの煙があるからこそ茅葺きの茅が長持ちしたのだけれど、最近は囲炉裏を焚かないので茅が50年しか持たない」という話を聞いていたので、品の良い奥様に「こちらの茅も長持ちさせるのが大変でしょうね」と訊いてみた。
「本当にそうですねえ、今では25年くらいしか持ちませんね」
「25年とはまた短いですね」
「建物を民宿に改造するときに消防署から、屋根の煙抜きが隣の部屋には行かないよう塞ぐように指導を受けたんですよ。本当はここの煙を屋根全体に回すともっと長持ちするんですけどねえ。決まりだから仕方ないんでしょうけど…」
「屋根を葺き替えるのにはどれくらいお金がかかるのですか?」
「手間賃だけでも500万円くらいでしょうか。それに茅代がかかります。幸い茅場はまだあるのですけど、茅を刈った後には雨に濡らさないように保存しなくてはなりませんから、昔は天井の高い大きな家でないと茅の保存が出来なかったんです」
消防法によって火事を防ぎたいのは分かるけれど、消防法が出来るはるか前からこの家は立派に従来のやり方で火事にも遭わずに今日まで残ってきた事を思うと、後から出来た決まり事と目の前の現実が合わないような気がして仕方がなかった。
これもまた現場の現実ということをどれくらい考えるか、という気持ちの入れ方の真剣さが問われるのだろうな。
本当に守るべき価値は何なのか、という原点を常に忘れずにいたいものだ。
さて今日は
■南会津というところ の一本です。
【南会津というところ】
今日から明日にかけて、北海道開発局と東北地方整備局の広域計画担当者同士による情報交換会のため、福島県に出張なのである。
この会議は、津軽海峡を挟んだ青函交流や積雪寒冷地技術などなにかと関わりの深い機関同士の意思疎通を図るもので、もう十年以上にわたって続けられているものである。
毎回会場を北海道と東北が交替で決めて会合を持っているのだが、今年の会場設定は東北さんの番と言う事で、会場を南会津の下郷町にしてくださった。
朝一番に新千歳空港を飛び立ち、降り立ったのは福島空港。飛行場の中には中国語と韓国語があふれていて、アジアからのお客さんが多い事を感じさせる。
出迎えに来てくださった東北地方整備局の方とお話をしてみると、まさに最近はこのあたりへのアジアからのスキー客が多いのだという。北海道は確かにスキーのメッカなのだが、行きたくても費用が高くつくのでスキーだけなら東北で充分というアジア観光客も多いと聞く。うーむ、こういう言葉のもてなし一つでも気持ちの入れ方の差を感じてしまう。
まずいぞ、北海道!
* * * *
福島空港から南会津までは高速道路で福島県内を反時計回りにぐるりと回るのが時間的には一番の近道とあって、東北道~磐越道をひた走る。
福島県内では今日向かう下郷町の南側に甲子道路(かしどうろ)という箇所があって、地元からもう百年も要望されていながら繋がっていない、幻の道路があるのである。現在は本来県が整備すべき一般国道298号線を権限代行で東北地整が整備を行っていて、開通の目処が立っている。
これができれば、遠回りをしなくても済んだのだが、それはもうすぐのお楽しみである。
車は会津インターを降りて会津若松市内を通って南下する。会津若松市内ではもちろん話題は白虎隊で、幕末の幕府軍の意地を一手に引き受けた会津藩に思いを馳せる。
会津には「会津の三泣き」という言葉があるのだそうだ。会津に入るときは会津人の排他性に泣かされ、会津に住むと「ならぬことはなりませぬ」という会津人の頑固さにまた泣かされ、しかし会津を出るときには会津の人達の人情が忘れがたくまた泣き、全部で三度泣くというのである。
札幌も「二度泣く」と言われるが、こちらの方が一枚上手か。
そんな会津若松は鶴ヶ城の天守閣を車の中からちらりと見るだけで下郷町の大内宿を目指す。今日の視察の第一ポイントは大内宿である。
ここは現在も江戸時代の旧街道沿いに、約40軒の茅葺き民家が当時の面影を残して並び、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、町の立派な観光地として名をとどろかせている。
山に向かう緩やかな斜面沿いの道路の両脇に立派な茅葺きの家々が続く様は荘厳だ。施設の立派さに反して、インターネットを見てもここの素晴らしさを伝えるホームページは案外少ないことに驚く。
観光を情報提供さんぎょうとして見ないとそういうことになるのだろう。もって他山の石としなくてはなるまい。
* * * *
互いの情報交換を充分に行い知らなかった事も多く教えてもらい、充実した会議を終えて、宿泊はこれまた築180年の茅葺き古民家を改造したという民宿であった。
建物は古民家に宿泊棟を増築してあるのだが、古民家の部分は昔ながらの囲炉裏に薪がくべられている。
以前岐阜県の白川郷を訪ねたときに、「囲炉裏からの煙があるからこそ茅葺きの茅が長持ちしたのだけれど、最近は囲炉裏を焚かないので茅が50年しか持たない」という話を聞いていたので、品の良い奥様に「こちらの茅も長持ちさせるのが大変でしょうね」と訊いてみた。
「本当にそうですねえ、今では25年くらいしか持ちませんね」
「25年とはまた短いですね」
「建物を民宿に改造するときに消防署から、屋根の煙抜きが隣の部屋には行かないよう塞ぐように指導を受けたんですよ。本当はここの煙を屋根全体に回すともっと長持ちするんですけどねえ。決まりだから仕方ないんでしょうけど…」
「屋根を葺き替えるのにはどれくらいお金がかかるのですか?」
「手間賃だけでも500万円くらいでしょうか。それに茅代がかかります。幸い茅場はまだあるのですけど、茅を刈った後には雨に濡らさないように保存しなくてはなりませんから、昔は天井の高い大きな家でないと茅の保存が出来なかったんです」
消防法によって火事を防ぎたいのは分かるけれど、消防法が出来るはるか前からこの家は立派に従来のやり方で火事にも遭わずに今日まで残ってきた事を思うと、後から出来た決まり事と目の前の現実が合わないような気がして仕方がなかった。
これもまた現場の現実ということをどれくらい考えるか、という気持ちの入れ方の真剣さが問われるのだろうな。
本当に守るべき価値は何なのか、という原点を常に忘れずにいたいものだ。
「コンパクトシティの本質と戦略」のコメント欄で議論がされていましたが、まちなかにしろ、田舎にしろ、そこに来る人達が「どういう気分になりたいか」に気づき、あらゆる工夫の引き出しを提示していけるか、ということが大事なのかな。
最近、私の住むまちでも、「地域の資源の良さに気づく、誇りを持つ」ということが置き去りにされた観光が目に付き、いろいろ考えさせられています。
ところで管理人さん。最近の文章、見せ方の切り口が少しぼやけてますよ。もっと引き締まった文章を! (元編集担当)
そうですねえ、少し路線を変えてみましょうかねえ。ギャグ満載、爆笑ネタの嵐、ちょいとお色気も…、うーん、いかんいかん。基本路線を守りつつ、気持ちの入ったものを書かなくては!
檄文感謝!さすがは鬼の編集者だ!