今朝も8センチほどの雪が降っていました。でももう焦って雪かきをする家も少なくなりました。なぜなら日中の暖気で溶けるだろうとみんなが思っているからに違いありません。
どうやら市民の心持ちも真冬から春モードに切り替わりつつあるようです。
さて今日は「富良野のスローな観光振興」です。
【富良野のスローな観光振興】
今日は朝から富良野~美瑛方面へ出張をしてきました。富良野は観光振興を地域一体で進める「観光地域作り実践プラン」事業のコアメンバーとの意見交換で、美瑛は調査委員会への参加です。
富良野では、地元でNPOの女性事務局長のFさんにお願いをして、これからの富良野の観光を担う皆さんと昼食会を兼ねた意見交換会をお願いしました。
現在北海道では、政策の一つの柱として観光が特に注目をされていますが、その中でも国際観光は大きなテーマの一つとなっています。これまでその優等生と目されていたのはニセコであり、多くのオーストラリア人観光客の受け入れに成功しています。
最近は富良野も外国人観光客の受け入れに熱心だという話を聞いたので、その実情を伺いに来たのです。
富良野ではFさんを始め、観光協会、地元のアウトドア観光事業者、青年会議所の方などが迎えてくれました。なかでも今日会いたかったのは、オーストラリア人ながら富良野市観光協会が雇い入れたというL君でした。
L君は、オーストラリアに生まれながらアメリカにもいったりし、北海道へは英会話の教師としてやってきたのだそうです。しかし根っからのスキー、スノボ好きで、日本語が分からないままにスキー場行きのバスに乗ったところ、富良野に着いてしまい、それが縁で仕事を辞めて富良野に住み着いたのだそうです。
心底富良野が好きだ、という様子がありありとうかがえます。
話を聞いているうちに、L君は地元観光協会の絶大なる信頼を得て、地元に外国人観光の受け皿を作ったりオーストラリアにも営業をかけるなど八面六臂の活躍をしている様子がうかがえました。
L君は「やはり外国人が日本で観光をするのには様々なバリアがあります。言葉のバリアが一番大きいですし、文化バリアもあります」と上手な日本語で言います。
「日本語はどうやって勉強したのですか?」
「富良野のゴンドラはスピードが遅いのでそこで勉強が出来ますし、ゴンドラの中で話しかければ15分間の無料日本語レッスンが出来ますよ(笑)だから話すのは何とかなるのですが、読んだり書いたりはまだ難しいです」
彼はまずこの冬はスキーホスト制度を作りました。これは地元のスキーヤーにボランティアで、空いている時間をゲレンデで滑りながら外国人客に話しかけてもらうという試みです。
最初は英語もぎこちなかったのが、最近では無料のゴンドラ英語レッスンのおかげでだいぶ上達したとのことです。
「それは、単に滑っていて困った時に相談に乗るということ以上に、友達になれるんです。そうしたらオーストラリアに帰っても来年は、単なるスキー旅行ではなく友達に会いに来れるようになるんです。そのことは、富良野を好きになった外国人が来るようになると言うことです。スキーが出来ればどこでも良いお客さんには来て欲しくないと思います」とL君。
地元の観光協会の方は「L君は、外国人が来て楽しみたいことを受け入れて地元にお金が落ちるような仕組みを先に作ってくれているんです。ただ外国人が多く来ればよいと言うのではなく、それが外国のエージェントの仕事や儲けになるのではなく、地元にメリットが生まれるという仕組みが大事なのです」と言います。
「L君はニセコには行きたくありませんか?」
「ニセコだったらもう私はあまり行きたいと思いません。なにしろ多すぎて外国のような気がしません。日本人がハワイへ行って日本語で話をしているようなものです」
「日本人はオーストラリアの方達をどうやって迎えたらよいでしょうか?」
「私は、Welcome!とは言って欲しくありません。Yokosoと言って欲しいです。オーストラリア人に『一番日本的なお店はどこ?』と聞かれたら”炉端”を紹介します。オーストラリアのビールも出しません。彼らは日本酒を飲みたがっています。ローカリズムで売るしかないのだと思いますよ」
「日本のやり方で困ることはありますか?」
「ものごとが決まるのが遅すぎます。オーストラリアに今年の冬は来てね、と売り込もうと思ったら、一年前から情報提供をしなくては末端のお客団まで伝わりません。決まっていないことは教えても伝わらないのです。絶対に決まっていれば安心して推薦できます。その違いです」
「ポイントは情報提供ですね」
「そのとおりです。例えばニセコは週に6日は雪が降りますから新雪大好きスキーヤーには好評です。しかし富良野は週に5日は雪が降らずに景色が楽しめるので、景色を好むスキーヤーにはお勧めです。この違いが分からないと『雪が降らない、景色が楽しめない』という不満やクレームになることだってあるのですから」
「だとすると、富良野だけでは楽しんでもらえないということもあるのではありませんか?」
「大丈夫です。富良野だけで受け入れようと思うとちょっと小さいかも知れませんが、旭川のカムイスキーリンクスや層雲峡、それに温泉だってワインだって近くにはたくさんあります。これらを有機的に結びつけて、セントラル北海道としてプロモーションをすればよいのです。そうしたら必ず富良野へも多くの人が来てくれますよ」
「ニセコはすごい人気ですがどう思いますか」
「ブームは必ず終わりが来るというこわさがあります。それと、オーストラリアだけが突出して多いのはバランスが悪いです。特定の国や地域に頼っていると、その人達の関心が他に移ったらどうなるのかな、と思います」
「なるほど」
「ここはどこが多すぎるということが無くてバランスが良いのですよ。オーストラリアからの人達に限っても、年間せいぜい数千人ほどしか来なくていいのです。その代わりに富良野を愛してくれて富良野に友達のいる、僕たちも会いたくなるような人達だけが来てくれれば良いじゃありませんか」
観光協会のAさんは「そんなわけで私達も、L君の言う通りにしてみようということなのです。でもニセコにもいろいろと課題があるということなのだったら、その轍を踏まないように協会が先にルールを作ったりしてみようということなのです」と語ってくれました。
観光を民間のこととしすぎると、やはり統一しておくべきルールが定まらずに全体として観光地の質が下がるということにもなりかねないのだと思います。
強すぎる行政の関与はあまり歓迎されませんが、その様子を常に関係者一同が共有しているということが地域としては大事なことなのです。
青年会議所でも試行的に自転車と徒歩を組み合わせたツアーなどをやってみているとか。
とにかく、関係者がみんな同じ目線で現実をとらえ、夢を持ち、それぞれの分野で力を合わせていることに好感が持てます。
「急いで儲からなくても良いよね、スローでさ」が観光協会のAさんの結論です。
昼にみんなで食べたのはダッチオーブンで作った鶏と地元野菜の蒸し焼きでした。食べ物もとってもスローフード。
富良野はスローに面白いところになりそうです。応援しますよ~!
どうやら市民の心持ちも真冬から春モードに切り替わりつつあるようです。
さて今日は「富良野のスローな観光振興」です。
【富良野のスローな観光振興】
今日は朝から富良野~美瑛方面へ出張をしてきました。富良野は観光振興を地域一体で進める「観光地域作り実践プラン」事業のコアメンバーとの意見交換で、美瑛は調査委員会への参加です。
富良野では、地元でNPOの女性事務局長のFさんにお願いをして、これからの富良野の観光を担う皆さんと昼食会を兼ねた意見交換会をお願いしました。
現在北海道では、政策の一つの柱として観光が特に注目をされていますが、その中でも国際観光は大きなテーマの一つとなっています。これまでその優等生と目されていたのはニセコであり、多くのオーストラリア人観光客の受け入れに成功しています。
最近は富良野も外国人観光客の受け入れに熱心だという話を聞いたので、その実情を伺いに来たのです。
富良野ではFさんを始め、観光協会、地元のアウトドア観光事業者、青年会議所の方などが迎えてくれました。なかでも今日会いたかったのは、オーストラリア人ながら富良野市観光協会が雇い入れたというL君でした。
L君は、オーストラリアに生まれながらアメリカにもいったりし、北海道へは英会話の教師としてやってきたのだそうです。しかし根っからのスキー、スノボ好きで、日本語が分からないままにスキー場行きのバスに乗ったところ、富良野に着いてしまい、それが縁で仕事を辞めて富良野に住み着いたのだそうです。
心底富良野が好きだ、という様子がありありとうかがえます。
話を聞いているうちに、L君は地元観光協会の絶大なる信頼を得て、地元に外国人観光の受け皿を作ったりオーストラリアにも営業をかけるなど八面六臂の活躍をしている様子がうかがえました。
L君は「やはり外国人が日本で観光をするのには様々なバリアがあります。言葉のバリアが一番大きいですし、文化バリアもあります」と上手な日本語で言います。
「日本語はどうやって勉強したのですか?」
「富良野のゴンドラはスピードが遅いのでそこで勉強が出来ますし、ゴンドラの中で話しかければ15分間の無料日本語レッスンが出来ますよ(笑)だから話すのは何とかなるのですが、読んだり書いたりはまだ難しいです」
彼はまずこの冬はスキーホスト制度を作りました。これは地元のスキーヤーにボランティアで、空いている時間をゲレンデで滑りながら外国人客に話しかけてもらうという試みです。
最初は英語もぎこちなかったのが、最近では無料のゴンドラ英語レッスンのおかげでだいぶ上達したとのことです。
「それは、単に滑っていて困った時に相談に乗るということ以上に、友達になれるんです。そうしたらオーストラリアに帰っても来年は、単なるスキー旅行ではなく友達に会いに来れるようになるんです。そのことは、富良野を好きになった外国人が来るようになると言うことです。スキーが出来ればどこでも良いお客さんには来て欲しくないと思います」とL君。
地元の観光協会の方は「L君は、外国人が来て楽しみたいことを受け入れて地元にお金が落ちるような仕組みを先に作ってくれているんです。ただ外国人が多く来ればよいと言うのではなく、それが外国のエージェントの仕事や儲けになるのではなく、地元にメリットが生まれるという仕組みが大事なのです」と言います。
「L君はニセコには行きたくありませんか?」
「ニセコだったらもう私はあまり行きたいと思いません。なにしろ多すぎて外国のような気がしません。日本人がハワイへ行って日本語で話をしているようなものです」
「日本人はオーストラリアの方達をどうやって迎えたらよいでしょうか?」
「私は、Welcome!とは言って欲しくありません。Yokosoと言って欲しいです。オーストラリア人に『一番日本的なお店はどこ?』と聞かれたら”炉端”を紹介します。オーストラリアのビールも出しません。彼らは日本酒を飲みたがっています。ローカリズムで売るしかないのだと思いますよ」
「日本のやり方で困ることはありますか?」
「ものごとが決まるのが遅すぎます。オーストラリアに今年の冬は来てね、と売り込もうと思ったら、一年前から情報提供をしなくては末端のお客団まで伝わりません。決まっていないことは教えても伝わらないのです。絶対に決まっていれば安心して推薦できます。その違いです」
「ポイントは情報提供ですね」
「そのとおりです。例えばニセコは週に6日は雪が降りますから新雪大好きスキーヤーには好評です。しかし富良野は週に5日は雪が降らずに景色が楽しめるので、景色を好むスキーヤーにはお勧めです。この違いが分からないと『雪が降らない、景色が楽しめない』という不満やクレームになることだってあるのですから」
「だとすると、富良野だけでは楽しんでもらえないということもあるのではありませんか?」
「大丈夫です。富良野だけで受け入れようと思うとちょっと小さいかも知れませんが、旭川のカムイスキーリンクスや層雲峡、それに温泉だってワインだって近くにはたくさんあります。これらを有機的に結びつけて、セントラル北海道としてプロモーションをすればよいのです。そうしたら必ず富良野へも多くの人が来てくれますよ」
「ニセコはすごい人気ですがどう思いますか」
「ブームは必ず終わりが来るというこわさがあります。それと、オーストラリアだけが突出して多いのはバランスが悪いです。特定の国や地域に頼っていると、その人達の関心が他に移ったらどうなるのかな、と思います」
「なるほど」
「ここはどこが多すぎるということが無くてバランスが良いのですよ。オーストラリアからの人達に限っても、年間せいぜい数千人ほどしか来なくていいのです。その代わりに富良野を愛してくれて富良野に友達のいる、僕たちも会いたくなるような人達だけが来てくれれば良いじゃありませんか」
観光協会のAさんは「そんなわけで私達も、L君の言う通りにしてみようということなのです。でもニセコにもいろいろと課題があるということなのだったら、その轍を踏まないように協会が先にルールを作ったりしてみようということなのです」と語ってくれました。
観光を民間のこととしすぎると、やはり統一しておくべきルールが定まらずに全体として観光地の質が下がるということにもなりかねないのだと思います。
強すぎる行政の関与はあまり歓迎されませんが、その様子を常に関係者一同が共有しているということが地域としては大事なことなのです。
青年会議所でも試行的に自転車と徒歩を組み合わせたツアーなどをやってみているとか。
とにかく、関係者がみんな同じ目線で現実をとらえ、夢を持ち、それぞれの分野で力を合わせていることに好感が持てます。
「急いで儲からなくても良いよね、スローでさ」が観光協会のAさんの結論です。
昼にみんなで食べたのはダッチオーブンで作った鶏と地元野菜の蒸し焼きでした。食べ物もとってもスローフード。
富良野はスローに面白いところになりそうです。応援しますよ~!
大雪・富良野ルートの話題を見つけてしまったので
思わず話題にさせていただきましたm( _ _ )m