北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

二つの軸の思考実験

2006-11-10 23:51:53 | Weblog
 週末もお天気が悪そうです。緑でも白でもない、グレーで憂鬱なシーズンです。

【雑談の効用】
 知人のAさんから「絶対に会わせたい、面白い先生がいるので是非飲みましょう」という誘いをいただいていたのが今夜。

 Aさんは全国に様々な人脈を持っているのだが、その彼が「この方だけはまた特別な先生なんですよ」と非常に崇拝している先生なのだから、是非ともお会いしてみたかったわけです。

 ご紹介していただいたB先生は、関西弁が漂う、温厚で優しそうな先生でした。実はその分野ではかなりの権威なのですが。

 話は実に多岐にわたり、面白い話題が次から次へと移って行きました。先生に触発されると、同席したメンバーもいろいろなネタを思い出すので、話題に対象が膨らんで行くのです。

「掛川でスローライフ運動を始めた頃に、『スローってなんとなく良さそうだけど、やっぱり駄目なような気がするんですよね。よく分からないな』と言われたことがあって、いろいろと考えた末に、ある図を書いて説明したんですよ」と私。

「昔はスローは駄目なことで、早くすることは良くすることだったわけです」
「なるほど」

「だから駄目なことを良くするということは、イコール遅いものを早くすれば良かった。だからいろいろなものが早くなることは便利になって良いことだ、と思われていたんです。だから不必要なくらいにとにかく早く便利にすることに力を入れてきたと思うのです」
「はい」

「それが、いろいろなものが充実するに及んで、実は遅いことと悪いことは必ずしも同じではないし、速いことと良いことも必ずしも同じではない、という風に社会が成熟してきたのだと思いました」
「それは面白い考えですね」

「そこで図のように、『遅い~速い』と『悪い~良い』という二つの直行する軸で捉えてみると分かりやすいのです。こうすると左下のように『遅くて悪いこと』ということもあるし、それを右上の『速くて良いこと』にするということがあって、それがこれまでのいわゆる『進歩』だと思ってきた。しかしこの図をよく見ると、左上のように、遅くても良いこと、いや遅いからこそよいことという事があり得るし、逆に右下のように速くて悪いこともあると思えるのです。だから遅いだけのスローが良いのではなく、その遅さに価値を見出すことが重要ですし、そのことは一人一人の意識の中にあるんだよ、と説いてきました。これが私のスローライフの考え方なのですが、いかがでしょう」

 すると先生は、「それは実に良いアプローチですね。実は二つの軸で考えて、どこに位置するのかな、という考え方は僕も良くするんですよ」との事。ちょっと嬉しくなりました。

「学生などを見ていて、思考実験的にいろいろな軸を考えるんですよ。『人が喜ぶのが嬉しい~自分が喜びたい』という軸とか、『消極的~積極的』を考えると自分はどこにいるかな、なんてね。そういう二つの軸で説明するといろいろなものが見えやすくなりますよね」

 するとAさんが「それなら女性を語るのに、『綺麗じゃない~綺麗』軸と、『話して楽しくない~楽しい』軸ということはどうですか?」と意見。

 すると先生はすかさず、「そういうのは駄目なんですよ。良い、悪いという評価になってしまうような軸だと、全部駄目に入ってしまう人は浮かばれないでしょう。良い悪いではなくて、異なる価値観だということが大事ですね」とたしなめました。

 なるほど、こういう表での思考実験は、結果がマイナス面を浮かび上がらせるのではなく、違いを明らかにするということに力点を置くべきなのだということでしょう。

 さて、いろいろな軸の組み合わせで世の中を観てみるとどうなるでしょう。案外面白いものですよ。

 今日も面白いお話が出来ました。世の中は広い

 

 
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