札幌でもう5年営業しているゲストハウスWAYAを訪問しました。
地方都市では悩みの種の空き家問題を解決する一つの手法として、それをリノベーション(改築)して新しい機能や魅力を付加することができるだろうか、という問いに対する答え探しの一環でのゲストハウス訪問。
今回は、ゲストハウスのなかでもよく知られたWAYAをようやく訪問することができました。
こちらを案内してくれたのは、こちらを経営・管理している、合同会社staylinkの共同代表である柴田涼平さん。
彼は「学生時代から、起業したいという志を立てて、現実にそれができたのがゲストハウスでした」と言います。
場所は豊平区豊平という、すすきのから豊平川を渡って歩いても20分くらいの、まちなかから至近の場所と言えます。
「最初は空き家らしき家を見つけても、その持ち主にたどり着くのも大変でした。今の建物も持ち主の方にたどり着いてお話を聞いてもらって、壊さずにこの良さを生かすという思いを理解していただいて、格安で借りることができました」
WAYAは、一階部分にバーカウンターとラウンジがありますが、日中はここにカレー屋さんが入っています。
建物の奥はトラベルラウンジになっていてここで宿泊者同士や地域の人たちとの交流が行われます。
柴田さんは、「ここで飲食物を売る、ということも考えたのですが、お金で差がつくのがなんとなく嫌で、"シェアラウンジ"という形で、一定のお金(月額1100円、一日500円)を払って『持ち込み可』のスタイルで賑やかにやりたい、と考えました」と言います。
私には、彼の視点に「ビジネスよりもコミュニティを作りたい」ということがあるように思えます。
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宿泊部屋は、男女混合のドミトリー(二段ベッドの大部屋)が8人、女性専用のドミトリーが8人、そして3人様の個室一部屋で、計19人が宿泊できる形。
実はこのWAYAから徒歩2分ほどのところに、別な空き家を改装した「WAYA ANNEX」というゲストハウスも稼働しています。
こちらは二人部屋、三人部屋で一室のお値段で利用できるという個室タイプの宿。
現在WAYAでは全部で6つの家でゲストハウスを稼働していて、「今の周りにも空き家と思しき物件があるので、それらも利用できれば地域が面白くなると思うんです」とのこと。
さらに「建物を新築するにはとても資金がありません。こちらも僕たち若者3人が集められる資金でははじめは一階をいじれなくて、二階の宿泊部分だけで始めざるを得ませんでした。実は内部の改装もたくさんの仲間たちが手作りで手伝ってくれてできたものです」とも。
どんな施設ができるか、ということよりも、どうやって仲間たちで作り上げるドラマにできるか、ということの方が大事なのかもしれません。
柴田さんに、「ここまで5年間やってみて、困っているようなことはありますか」と訊いてみました。
すると、「ゲストハウスの認知度が上がってきて、今までこういう施設を使ったことがないような方が増えていると感じています。そのため、『こんな施設だとは思わなかった』と言って、ホテルだと勘違いをしていたお客様とのトラブルも起こるようになりました」とのこと。
しかしそれも、利用者の裾野が拡大した証かもしれません。
ただそのことで、「コミュニケショーンなど求めない」という客層も増えるかもしれません。
ビジネスとコミュニティの活性化とのバランスはどうなるでしょうか。
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ちなみに、昨年9月の胆振東部地震によるブラックアウトの際、ここWAYAでは、とにかくたくさんの人を受け入れました。
結果的に停電はその日の15時ほどで解消されたのですが、ホテルの中には「サービスができないのでお泊めできません」というところがあった中で、「やれる範囲のサービスしかできないけれど、それでよければ受け入れます」という柔軟なオペレーションができたのは、ホストの側にもゲストの側にも「それでいい」という暗黙の了解があったからでしょう。
「停電の際には、周囲の仲間が食べ物を次々に持ち寄ってきてくれて、食べきるのに三日くらいかかりました(笑)」とも。
私も、宿泊しなくても英語の勉強のために夜だけ参加してみても面白いかもしれません。
こういうニーズが確かにあると思いました。
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