愛ちゃんは欧米・日本でのオルガンコンサートの活動と、オルガンの啓蒙活動に熱心な若いオルガニストです。今回のコンサートでは初級レクチャーと題して、オルガンのパイプの見本を使っての解説と、即、パイプオルガンで実践しました。
(終演後ロビーに見本を展示したものを撮影)
先ず、愛ちゃんが中学生の時に使ったリコーダを持ってきて、吹いてみました。パイプオルガンはそのリコーダを逆さまにして縦に並べたようなものとのことです。リコーダは上から息を吹き込んで音を出しますが、パイプオルガンは鍵盤を叩くことによって、パイプの下から(電動)空気を吹き込むと音がでるということです。ピアノは叩くことによって音を出しますが、パイプオルガンは空気を吹き込むことによって音がでるしくみです。
ピアノもオルガンも見た目は白い鍵盤と黒い鍵盤が並んでいて同じような楽器ですが、音の出かたは全く違うことが良く分かりました。1つの鍵盤に1つのパイプだそうです。ペダルはピアノと同じように足で踏みます。このペダルのそれぞれに1本ずつパイプがあります。このパイプは一番太い長いものです。ペダルは音響を助けるものではなく白黒の鍵盤の1個と同じ役目のようです。
(十分には理解できていませんが)楽譜にはどのパイプの音を使うかということまでは書いていないので、演奏会の前にその会場のオルガンの最高の音色を引き出すために音作りに励むとのことです。どのオルガンもオンリーワンで、会場の音響もそれぞれ全く異なるので、コンサート前にはすべてチェックして、音色を作り出すそうです。今回の愛ちゃんは演奏の2日前から缶詰になっての音作りをしたようです。
府中の森芸術劇場・ウィーンホールのパイプオルガンは北ドイツで作られたものです。
愛ちゃんと今回のオルガンアスタントの野田美香さんは北ドイツのリューベックに留学していたので、この北ドイツ製のオルガンにはとても親しみをもったようです。
愛ちゃんのブログをご覧になると、しっかり主婦業もしていることがわかります。冬を控えて暖炉の薪を割ったり、積んだり、、、あららら、大切な手は大丈夫なのかしらと、、、
今回のコンサートで、たくましく成長なさって頼もしくなったすがたでの軽やかな演奏に喝采
トークもとてもお上手になりました
2部はトランペットのレクチャーがありました。歴代のトランペットの説明は初めて聞くことばかりで興味深かったです。そして、傑作な試みもありました。。。。トランペットの曲がりくねった部分を延ばしてみたらと、、、
ガスのホースの先端に100円ショップで買った漏斗を付けて、息を吹き込むと、、、いい音です
終演後、観客はオルガン見学を、出演者はロビーで皆さんと交流を、、、
愛ちゃん
愛ちゃんご自身がブログにコンサートについてUPしましたのでごらんになると楽しいですよ。クリックしてください。
(コンサートのプログラムをコピーします)
パイプオルガンレクチャーコンサート~初めてのオルガン&ミニコンサート~
日 程: 2010年2月3日(水) 14:00開演
会 場: 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
出演者: パイプオルガン:吉田 愛トランペット:山崎聡、山崎亜津砂アシスタント・演奏補助:野田美香
プログラム
≪1部 パイプオルガンの初級レクチャー≫
演奏&レクチャー:吉田 愛
J.スタンリー(1713-1786)
ヴォランタリー ヘ長調
J.Ch.F.バッハ(1732-1795)
「きらきら星」のよる変奏曲より
J.S・バッハ(1685-1750)
ペダル練習曲
V.ペトラーリ(1832-1889)
「グローリアのための詩句」より
≪2部 オルガン&トランペットの響き≫
演奏:山崎聡 山崎亜津砂 吉田愛
M-.C.シャリパンテエ(1634-1704)
トランペット・チューン(プレリュード)「テ・デウム」より
J.クラーク(1659-1707)
トランペット・ヴォランタリー ニ長調
G.カッチーニ(1545-1618)
アヴェ・マリア
W.A.モーツアルト(1756-1791)
アヴェ・ベルム・コルプス ニ長調
J.S.バッハ(1685-1750)
トッカータとフーガ二 長調
A.ヴィヴァルディ(1679-1741)
2つのトランペットのための協奏曲ハ長調
曲目紹介(文は吉田愛)
1部パイプオルガンの初級レクチャー
J.スタンリー:ヴォランタリー ヘ長調
盲目のJ.スタンリーは、ロンドンの教会オルガニストとして活躍し、その卓越した演奏は、当時イギリス中に知れ渡っていました。後に英国王室楽長に就任し、オペラやオラトリオも作曲しています。また、友人G.F.ヘンデルの死後、彼の有名なオラトリオ演奏会を継続させることにも貢献していました。
本日演奏するのこの「ヴォランタリー」は、彼が出版した30曲のオルガン作品集のひとつで、穏やかな導入部のアンダンテに続いて、金管楽器のデゥエットを模倣した祝祭的な楽章が印象的です。
J.Ch.F.バッハ「きらきら星」のよる変奏曲より
日本で「きらきら星」として知られるこのテーマは、元々フランスの童謡「お母さん話して」として誕生、その後ドイツでは「明日サンタクロースがやって来る」という歌詞が付けられるなど、世界各国で親しまれています。W.A.モーツアルトもこのテーマに基づくピアノ変奏曲を作曲しています。
本日は大バッハの息子の一人、ヨハン・クリフト・フリードリヒのよるその変奏曲から、テーマと続く11の変奏をオルガンの様々な音色でお聞きください。
J.S・バッハ ペダル練習曲
大バッハの息子カール・フィリップ・エマヌエルによる自筆譜で伝えられている、この未完の「ペダル練習曲」は、失われたオルガン・トッカータの一部分なのか、または、バッハが息子たちのオルガン教育用に作曲した練習曲だったか、真実はわからないままです。いずれにしても、2本足を駆使した単旋律は、豊かなハーモニーとファンタジーに溢れています。
V.ペトラーリ「グローリアのための詩句」より
G.ロッシーニやG.ヴェルディが活躍した最盛期のイタリアでは、教会でもオペラの音楽が堂々と演奏され、ミサに来る人にとを慰め楽しませていました。オルガン・ヴィルトゥオーゾの名で知られたベルガモ出身のV.ペトラーリは、そんな時代を代表する一人で、教会音楽の傍らオペラやバレイ音楽も手がけていました。
「グローリアのための詩句」は、ミサで神の栄光を讃える祈りの場で演奏される作品ですが、オペラの一幕を彷彿とさせます。
オルガン&トランペットの響き
M-.C.シャリパンテエ トランペット・チューン(プレリュード)「テ・デウム」より
M-.C.シャリパンテエは17世紀フランスを代表する作曲家の一人、ローマのG.カリッシミの師事し、イタリアの音楽習慣をフランスへ持ち帰ってきました。彼は晩年、パリ・シテ島にあるサント・シャペル教会の楽長として活躍しますが、この作品は、その時期に作曲した教会音楽「テ・デウム」の、「凱旋行進曲」として知られる前奏曲です。本日はふたつのトランペットとオルガンの編曲で演奏します。
J.クラーク トランペット・ヴォランタリー ニ長調
ヴォランタリーとは、イギリスの礼拝堂で演奏されるオルガン曲のこと。王室礼拝堂のオルガニストを務めたJ.クラークによるこの作品は「デンマーク王子の行進」とも呼ばれ、その後、H.パーセルがトランペット用に編曲したことで有名になりました。近年では、チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式で演奏されてことでも親しまれています。二長調の開放的な響きが美しい行進曲です。
G.カッチーニ アヴェ・マリア
シューベルトやグノーの「アヴェ・マリア」と並んで、広く親しまれている作品。しかし、本当にG.カッチーニの作品かどうかはうたがわしいく、現在では20世紀のロシアの作曲家V.ヴァヴィロフの作というのが有力のようです。
繰り返される神秘的なメリディと、それを支える重厚な和音が魅力的な作品です。
W.A.モーツアルト アヴェ・ベルム・コルプス ニ長調
この作品は、カトリックの聖体秘蹟の祈り「アヴェ・ベルム・コルプス」のしに基づいて作曲されました。原曲は混声4部合唱と弦合奏。これはモーツアルトが、バーデンで治療していた妻コンスタンツェの世話をしていた友人で合唱指揮者のA.シュトルへ、その感謝を込めて贈呈した作品です。
46小節の小品でありながら、晩年のモーツアルトの傑作のひとつとして数えられています。
J.S.バッハ トッカータとフーガ二 長調
多感な青年バッハは、当時一世を風靡していた北ドイツのオルガンの巨匠たちのもとを訪れ、彼らの即興的でヴィルトゥオーゾな音楽から多くの影響を受け、自身の作品に模倣しながら取り入れ学んでいました。これはそれらの作品のひとつです。
冒頭の1オクターブを重複したユニゾンの旋律やペダルのソロ、オルガンの2段鍵盤を駆使したエコーの効果など、印象的なモティーフが次々と展開し、若いバッハのオルガニストとしての卓越した技量を垣間見ることができます。
A.ヴィヴァルディ 2つのトランペットのための協奏曲ハ長調
「四季」や「調和の霊感」の作曲者として有名なA.ヴィヴァルディはヴェネツィアで活躍した音楽家。多くの減額協奏曲や商況作品を残していますが、この作品は2つのトランペットと弦楽合奏のために書かれた、珍しい編成の作品です。
ファンファーレ風の華やかなオープニングに続き、二本のソロ・トランペットが互いに掛け合ったら、3度の美しいハーモニーを作り出し、トランペットの魅力が十二分に楽しめます。橋渡し風の短いラルゴ楽章を経て、3拍子の軽快なカノンで華やかに幕を閉じます。
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