尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

ブラジル映画「ぶあいそうな手紙」

2020年08月09日 23時08分06秒 |  〃  (新作外国映画)
 ブラジル映画「ぶあいそうな手紙」という映画を見る気になったのは、南部のポルトアレグレで撮影されたと知ったからである。ブラジル10位の大都市で、人口148万人ほど。南部にあって、ウルグアイに近い。僕は小さい頃から地図を見るのが大好きで、字面だけで興味を引かれる町が世界中にあった。ブラジルのポルトアレグレとかレシフェ、チリのバルバライソなんかも名前の響きが気になった都市である。まあ見てみれば、確かにロケはしているけど、ほとんどは古いアパートの中で進行する映画だった。でも珍しいぐらい「男性老人映画」だった。

 78歳のエルネストは、もう眼が非常に悪くなっている。妻はすでに亡く、息子がサンパウロにいる。隣の部屋に住むハビエルと時々チェスをするぐらい。ホームヘルパーの女性が来ているが、昼間は何とか壁伝いに外食に出たりしている。そんなエルネストに珍しく手紙が来るが、自分では眼が悪いから読みにくい。ヘルパーさんに読んで貰おうとするが、ウルグアイから来たスペイン語の手紙なので、ポルトガル語のブラジル人には読みにくい。

 そんな時に、門のところで犬を連れた若い女性と出会う。上の階に住む女性の姪で、病気をしたおばに代わって犬の散歩を頼まれているという。そのビアという目が大きな女性なら、手紙を読めるんじゃないかと頼んでみたら、やはりスペイン語の手紙を上手に読んだ。それは若き日の友人の妻からで、友人が死んだという知らせだった。昔は3人でよく遊んだり議論したらしい。その後、エルネストはブラジルに移って48年。会うこともなかった女性からの手紙に、返事を書きたくてもエルネストは書けない。そこでビアは彼に代わって書くという。
(エルネストとビア)
 このビアとは何者か。素性の判らない人間を入れるもんじゃないと言うヘルパーは、逆にエルネストがクビにしてしまった。しかし、実際ビアの様子にはおかしな感じも見受けられ、どうなってしまうんだろう。ありそうな展開としては、「若い女性にイカレてしまう老人」「老人をたぶらかして財産などをねらう女」「年の差を超えて惹かれ合ってしまう男女」などがあり得るけど、この映画はそういう展開にはならず、最後まで「手紙の代筆」が軸となって進んで行く。
 
 世界に映画は多いけれど、「お爺さん映画」は少ないと思う。「お婆さん映画」の方が多いし、一家を描く中で「老夫婦」が出てくる映画ならいっぱい思いつく。大体、大スクリーンでクローズアップするのに耐えられるのは若いうちだ。世界中の映画の大部分は、10代20代のヘテロセクシャルの男女がくっついたり離れたり、過去や未来に行ったりゾンビになったりする映画である。老人を主人公にすること自体が珍しい。世界中で男の寿命の方が短いから、独居男性老人自体が少ないはずだ。かつての若きスターの老後まで付き合うファンも少ないだろう。
(アナ・ルイーザ・アゼヴェード監督)
 アート映画や社会派映画を探せば、男性老人映画も少しは見つかる(ベルイマン「野いちご」など)と思うけど、この映画ほど生活臭はしない。何だか僕は身につまされてしまった。監督はアナ・ルイーザ・アゼヴェード(1959~)という女性である。派手なところはないが、ていねいな演出が良かった。あまり見ることが出来ない外国の映画を見るのが大好きなんだけど、これは外国事情と言うより「老人事情」を探る映画だった。俳優の名前を書いても仕方ないから書かないけど、ところどころでブラジルのカエターノ・ヴェローゾの歌がうまく使われて情緒を盛り上げる。年を取ったら、出来ないことを取り繕ったりせずに生きたいもんだと思った。
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マスク熱中症と肌荒れ、どう防ぐか

2020年08月09日 22時14分07秒 | 自分の話&日記
 長かった梅雨がようやく8月に明けたら、今度は猛暑日になった。夜に暑くて目が覚めたので、トイレに行ったら30度もあったが、もう涼しく感じられるぐらいだ。それなら家で過ごしていればいいようなもんだけど、やっぱり出掛けている。家にいるだけだと体力が衰えてしまうし、体も「暑熱順化」させないといけない。昨日は恵比寿まで生誕100年記念フェデリコ・フェリーニ映画祭を2本見た。全作品を1度は見ているけど、何度でも見たくなるのである。 

 そこで困るのが「熱中症対策」と「マスク対策」である。最寄り駅から恵比寿までは電車1本で行ける。しかし、これが各駅停車55分間もある。この間、夏はずっと冷房に耐えるのも大変だ。そして今は「マスク」をしないといけない。「新しい生活様式」ということだが、映画館が入れてくれないのだからやむを得ない。冷房のあるところはまだしも、猛暑の街中はどうすればいいのか。

 暑い時間帯は道行く人も少ないので、もう「駅近くまではできるだけ外す」しかないと思う。マスクより「日傘」で距離を取る方がいい。猛暑日(35度以上)の予報がある日は、日傘の効力は圧倒的である。それでも電車の中でも(冷房があるのに)マスクの中が暑いなあという時がある。そういう時に役立つと「ハッカスプレー」が人気だというニュースを見た。
(ハッカスプレー)
 そうか、僕は防虫効果でハッカスプレーを使っていたけど、持ってたものは自然に気化してなくなってしまった。改めて買うと、1000円。最初はスプレーし過ぎて、涙が止まらない。本が読めなくなってしまった。普通は軽く一滴マスクの端に掛ければいい感じ。ミントがダメな人は無理だが、猛暑の日は清涼感があるには違いない。眼がショボショボするぐらいは我慢出来るという人は役立つかなと思う。しかし、もっと大変なことがあった。「マスク肌荒れ」だ。

 マスク内が蒸れ蒸れになってしまい、皮膚の角質層がふやけてしまい、マスクを外したときに皮膚が乾燥してしまうんだそうだ。マスク内で「汗荒れ」が起きる人が多いと思う。顔をゴシゴシ洗ってはいけないという。マスクしているから「保湿」されてと思いやすいが、そうじゃないという。肌の持っているバリアー機能を守るための「保湿」がいるんだという話。これは僕は5月下旬に暑い日があった時に、もうやられてしまった。何とかしないと外出もできない。

 これは「男性用化粧品」を使うしかないと思う。今まで頭髪用やアフターシェーブは別にして、肌用は使ったことがない。使わなくても、肌は十分すぎるぐらいに潤っていることが多かった。しかし、今年は常時マスクという異常事態だ。そこでニベアのローションを買ってみたが、清涼感はあるものの肌にピリピリする感じだった。もう一ついるのである。乳液も買って、朝の洗顔後にローションを塗っておき、その後に乳液を塗る二段作戦で、ようやくマスクを半日していても大丈夫な感じになった。
(ニベアの男性用ローション)
 何がいいかは人によって違うと思うので、それぞれの特徴に合わせて試行するしかない。自分の選択がベストというわけじゃない。でもこういう日常の細々とした「コロナ時代の生活様式」も、5年後、10年後に忘れてしまうと思って書き残しておくわけだ。近くのドラッグストアに行けば、そんなに高くなくていっぱい売ってる。何でもない人はいいけど、症状が出ている人は手当てを考えないといけない。「マスクをしないといけない」が優先するあまり、熱中症になったり肌がボロボロになっては本末転倒だ。そんな猛暑の日々である。
(マスク熱中症の危険性)
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