尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

芸協の真打昇進披露公演(浅草演芸ホール昼席)を聞く

2020年10月30日 22時32分50秒 | 落語(講談・浪曲)
 久しぶりに浅草演芸ホールで落語を聞いてきた。落語芸術協会で5月に予定されていた真打昇進披露公演が非常事態宣言で出来なかった。それが10月中旬から行われていて、浅草も今日が千秋楽である。だから行ったというよりも、浅草の歯医者に通っているのである。夕方5時に予約があったので、12時頃から4時半頃まで演芸ホールにいたわけである。
 
 昇進するのは二つ目のユニット「成金」メンバーだった昔昔亭A太郎(せきせきてい・えーたろう)、瀧川鯉八(たきがわ・こいはち)、桂伸衛門(かつら・しんえもん)の3人。「成金」メンバーでは柳亭小痴楽神田伯山がすでに昇進したが、どっちも大した実力の持ち主だった。では今回の3人はどうだろうか。桂伸衛門はまだ伸三だったときだが、伯山の披露興行で超絶的におかしい「寿限無」の発展型を聞いている。しかし、後の二人、昔昔亭A太郎瀧川鯉八は機会がなくて聞いたことがない。ところがこれが素晴らしく独自な新作で沸かせてくれた。

 観客制限は撤廃されたが、寄席はまだ半分しか客を入れていない。普段は1回の「仲入り」(途中休憩)を2回取っている。(その分芸人数は少ない。)今日は新真打以外にも人気者が多く、ほぼいっぱい入っていた。最初のうちは春風亭昇々柳亭小痴楽ねづっちと沸かせて、桂文治師匠が大受けして仲入り。続いて、新真打の師匠、桂伸治師匠、昔昔亭桃太郎師匠。東京ボーイズの歌謡漫談をはさんで、芸協会長の春風亭昇太が登場。久しぶりに新作を聞いた。
(新真打三人の色紙)
 そしてお目当ての披露口上。A太郎が「いい男」だという話が皆から出る。昔ならまさに役者といったハンサム。伸衛門も「カワイイ」という人もあり、昇太会長のように否定する人もあり。しかし鯉八は体が大きく、皆が顔はともかく実力はとか言って笑わせる。ところが本日のトリの鯉八を見ると、実際に話を始めればその生き生きとした表情に魅せられた。それ以上に、口上で師匠連が独特の発想とか言う意味がよく判った。何だこれはという感じの、ニキビに悩む中学生と祖母の「ニキビをつぶす快感」をめぐるやり取り。ぶっ飛んだ発想に驚いた。
(終幕後の新真打三人)
 一方、A太郎もホームランを打った野球選手のヒーローインタビューの話。嫁姑のいさかいを面白おかしく語る新作に抱腹絶倒。こんな笑える新作を作るんだとこれも驚き。伸衛門は白い犬が人間になるという「元犬」。これはまあ何回も聞いているので驚きはないが、犬の様子など安定した面白さ。三者三様で満足出来る新真打だった。来年5月には再び「成金」メンバーの昇進が予定されている。また見に行きたいなと思った。
(ナイツ土屋の絵)
 なお、「プレバト」の水彩画部門で高く評価されたナイツ土屋の「浅草演芸ホール」の絵が飾られている。小さいので見落としないように。真打昇進披露は、今後池袋演芸場、国立演芸場と11月20日まで続く。
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