星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

指揮あってこそオケは歌い吠える…:井上道義指揮 東京オペラシティシリーズ 第133回

2023-06-04 | LIVEにまつわるあれこれ
東京オペラシティコンサートホール

指揮:井上道義 東京交響楽団

武満徹:3つの映画音楽より
第1曲 映画『ホゼー・トレス』から「訓練と休息の音楽」
第3曲 映画『他人の顔』から「ワルツ」
井上道義:交響詩「鏡の眼」

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
 チェロ:上野通明
エルガー:南国にて op.50



昨日の土曜日、 オペラシティで井上道義さん&東響さんを聴いてまいりました。 ブラボーでした♪

本日は新潟で公演、ということで もう終わったかしらとtwitter を見てみたら 夕方からの公演だったのですね。 では先に昨日の感想ちょこっとだけ書いておきます。(明日以降追記します)

昨年、 みなとみらいホールでN響さんと道義さんの公演を見て以来、 東響さんと道義さんとの演奏を観てみたい! という気持ちがさらに強くなって、 そしたら今年のラインナップでオペラシティの公演があって、 楽しみにしていました。 しかも! マエストロ自作の交響詩が聴けるなんてラッキーです。

結論から先に。。 前半がほんとうに素晴らしくて、 わがままを言えば思い切って前半と後半を入れ替えてしまっていいんじゃないかと思うくらい、 武満徹の2曲と道義さんの交響詩が印象的でした。 この組み合わせで録音してたら良いなぁと思うほど。
そして、 前半も後半のエルガーも、 東響さんの見事な反応の良さに(やっぱり東響さんは楽しい!)と大満足でした。

タケミツの楽曲のスリリングかつ艶めかしい情感、、 道義さんの踊るような指揮にオケも見事に揺れて…

「鏡の眼」もこの楽団の演奏で聴くことが出来て良かった。 遠慮のないはじけるような演奏。 ダイナミズムと憂愁と、 西洋と日本と、 解放と孤独と、 いろんなものを感じました。 いつもながら思いきりの良い打楽器陣。 心臓の鼓動のような、 夢幻のような、 どう奏でているのか不思議な音色も聴かれました。 
道義さんの思いのままの指揮に応える楽団、、 マエストロはどうお感じになったでしょう… 面白いように応えてくれる、と満足してくださったらいいなぁ… 

ほんとうは だからこそこの交響詩で終わってマエストロを讃えることが出来たら良かったなぁ、なんて思っていたのです。

後半エルガー。 上野通明さんのチェロの音色はしっとり落ち着いているけれども、 音色のなかに若々しさがある。 このチェロ協奏曲はいろんな人の録音を聴いていて、 ジャクリーヌ・デュ・プレの最も有名な演奏などは聴いていると死にたくなってしまうので出来たらそんな悲痛な感じでは無いと良いなと思っていました。 この曲の明るい部分、 やっぱり若々しい音色というのもあるし、 なんだか道義さんが振るとエルガーもプロコフィエフのようななんだかバレエ音楽のような雰囲気になるのかしら…と。

ゆったりと左右に大きくうねる道義さんの指揮に、 見事にぴったりと連動している金管隊の揺れを見るのも、 じつに楽しかったです。 

そういう楽団と指揮とが連動している楽しさは、 最後の「南国にて」で最高潮に。。 揺れる、ゆらぐ、、 うねる、踊る、、。  ゆらめく光と渡りくる風。。 この大きなうねりは… 海の波ではないな、と そう、風です。 すごくすごく風を感じました。 

帰りにお友だちは (風と共に去りぬみたいだった!)と言っていて、 なるほど~ 笑。 私もなんだか映画音楽を聴いているような感じもして、 だから武満さんで始まって このエルガーにつながるのかな… とか。。

とにかく指揮者さんとオケが連動する楽しさをいっぱいに感じることが出来た、 大満足のプログラムでした。 最後に道義さんがコンマスのニキティンさんと肩を組むなんて素敵なシーンも見られて… ニキティンさんも笑顔、 うしろの楽団員さんも笑顔、、 マエストロも笑顔で、 とっても良かったです。


追加は 明日書けたら・・・


 ** 6/7 追記 **

新潟公演のあとの 井上道義さんのブログが更新されました。。 (不安が的中して…)公演のあと病院に即入院されてしまったとのこと・・・
https://www.michiyoshi-inoue.com/2023/06/_131.html#blog

オペラシティでのカーテンコール時に腰に手をあてていらしたのは、 ポースだったのか、 それとも腰が痛かったのかしら… と同行者と心配していたのです。。 でも憶測で書けないし、、 それで新潟公演の様子がわかるのを待っていたのです…

あぁ 早くマエストロの結石が全快されますように。 スケジュールが詰まっていてとてもとても心配でした。。 でもオペラシティの公演中はあんなに左右に大きく動いて、、 どんなに痛かったことでしょう…(涙)


追記するほどのことではありませんが 頭にあること、、 少しだけ書いておきましょう。。

今回のプログラムの武満徹の映画音楽 最初の「訓練と休息の音楽」、 会場でプログラムをいただいて読むまで この音楽が使われた映画『ホゼー・トレス』というのが ボクサーのドキュメンタリーだとういうのを知らずにいました。 前もって音楽だけ聴いていた時に 低音弦のビートがとてもスリリングでそれに重なるヴァイオリンは妖しく、、 次の部分では対照的にとてもエレガントに、、 武満さんはなんて素敵な音楽をつくるのだろう… と

実際に会場で聴いた時は 弦の響きやうねりがさらに増して、、 それで道義さんの動きなどから、、 (なるほどボクシングの音楽だったか…)と。。 ボクシングのトレーニングと休息の時間を音楽にあらわすなんて、、。 短いながらもじつにスリリングな時間でした。

『他人の顔』からの「ワルツ」は、 ずっと以前 石川セリさんの『翼〜武満徹ポップ・ソングス』というCDを持っていてそれで愛聴していて、、 あのなかで「ワルツ」はドイツ語の歌詞で歌われていて その印象がものすごく強くて、 だからなんとなく映画『愛の嵐』のようなダークな美しさも感じていて、、

いま検索したら(https://columbia.jp/artist-info/takemitsu/discography/COCY-78624.html)あのドイツ語の歌詞は ドイツ文学者岩淵達治さんの歌詞でした。 あのCDは他には谷川俊太郎さんの素晴らしい詩があり、、 武満さんの楽曲にそれらの詩がつけられたのは、 武満さんがセリさんに自分の楽曲を歌って欲しい、、と思われたのだと 確かCDで読んだような… 

私はそんな風に 武満さんをポップスのほうから知ったので オーケストラで聴くのは初めてでした。 オーケストラの「ワルツ」も思いのほか音楽の揺れが大きくてドラマチックで、、 道義さんとオケの方々が一緒に大きく揺れていたのが 今も眼に残っています。。


道義さん作の「鏡の眼」 、、以前 別のタイトルがついていたものを動画で聴いて カッコいい曲だなぁ と思って楽しみにしていました。 私はクラシック素人なのでいろんな影響関係とかはわからないけれど、 上にも書いたような明と暗、 いろんな対極にある感情や世界観、、 そういうものが表現されていると思われて、 それを作曲者みずからの指示で東響さんのオケがどんな風に表現するか、、 それを見てみたいと思っていました。

、、 ほんとうはこの楽曲だけはオペラシティじゃなくて ミューザかサントリーホールで道義さんの指揮をしっかり見ながら聴いてみたかったなぁ。。 私は眼も耳も悪いので オペラシティの遠くからだとやっぱり指揮者さんの表情やオケの方たちの細かい動作とか見えなくて歯痒いのでした。 届いてくる音楽は素晴らしかった。 これは何の音? どこで弾いてるの? って思う部分がいっぱいだったけど… 

この日は金管隊の思い切りの良さが際立っていたように思いました。 東響さんの打楽器隊はここのところ絶好調なのでこの日も胸のすくような爆発をみせてくれていましたし。。

タイトルにも書きましたけど、 やっぱり指揮者あってこそオケの皆さんが生命を得たように輝き歌い、 揺れ動き吼える、 そういう指揮とオケの一体感を見たいし感じたいのです。 指揮で煽ってもあんまり反応せずに実直な音色で、、 という楽団は私の好みではないし。。 だから東響さんで聴くことができて良かったです。


エルガーについて書く時間がなくなっちゃった。。

エルガーの楽曲としてどう演奏するのが正しいのかは私などには言えないですが、 さっきも書いたように指揮者が導くとおりに揺れ動き奏でるさまを存分に味わうことが出来ました。。 『南国にて(アラッシオ)』でのヴィオラの独奏美しかった!!


東響さんと道義マエストロとの共演はもう見られないのかしら… 来年もしまた観られたらいいな… 

みっきーまんの結石が早くすっかり消失して 思い切り全身で指揮される姿が見られますように。。 


ふれー ふれーー ♪

何度でも…?:ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 第710回定期演奏会

2023-05-23 | LIVEにまつわるあれこれ
  ** 5/21記 **

東京交響楽団 第710回 定期演奏会 サントリーホール
指揮=ジョナサン・ノット

リゲティ:ムジカ・リチェルカータ 第2番
 ピアノ=小埜寺美樹
マーラー:交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」


昨夜行って来ました。 楽しかった!
本日のミューザ公演のニコ生中継もあるので、その後にまた書こうと思いますので簡単に。。

最初のリゲティ。 予習で初めて聴いた時は(ベルトラン・シャマユさんの演奏でした) はぁ? とびっくりしましたが、 なるほどピアノもハンマーで叩く楽器である… そうピアノは打楽器でもあるのね… と思って だからノットさんはマーラー6番と結びつけたのかしら、、 と考えておりました。 その予想が実際に聴いてどう感じるか、 楽しみにしていました。。

つづく マーラー6番。 こちらも生演奏を聴くのは初めて。

ノットさんのマーラーは うねる、流れる、渦巻く・・・  こちらも予習で聴いたのとは全然ちがうマーラーでした。 圧倒的な緊張感に始まる第一楽章。 なんて美しいんだろう… と胸がいっぱいになる部分が何度もあった第二、 第三楽章。 驚きと混沌と示唆、思索、課題、、 いろいろ考えさせられた第四楽章。

緩急を複雑に変化させるノットさんの指揮だから、 その中で(特に打楽器さんなどは)そのうねりの中で音を奏でるのは大変だろうなぁ と感じたのと、 それゆえに (もっとノットさんをちゃんと見て!)という想いがちょっとしたのと。。 決して乱れているとかではないのです、 (金管さんなども)精度はもっともっと上がるんじゃないかなと思わせてくれる期待度が東響さんには感じるのです。 (こちらが素人耳なのでわからないけれど)

弦さんは素晴らしかったなぁ… ニキティンさん美しかったなぁ。。

以前にも(東響さん以外の楽団さんのときに) 音を終える瞬間を大事にして欲しい、 音の終着点をどう奏でるか、、ということを感じましたけど、 昨日のように大編成だと 特に出だしでバンと合わせる瞬間はものすごく美しいのに、それぞれが鳴らし終えるそのときどきをもっと大事にして欲しいと思ったり、、 (音としてそう聞こえているのか、それともこちらの眼が勝手にそう判断しているのか、 自分でもその辺があやふやなので) それはニコ生さんの中継を見て聴いて、 もっとよく考えてみたいなと思っているところ。。

、、 なんだかんだ言っても 東響さん&ノット監督の演奏は楽しい…♪

ひさしぶりのサントリーホール、 しあわせな時間でした。


  ** 追記 **

ニコ生のタイムシフトでミューザ公演のほうも視聴しました。 サントリーホールで感じたもうちょっとの部分は、 ミューザの演奏では殆んど感じなくて、 じつに生き生きとした演奏でした♪

第二楽章の各パートさんが入れ替わりソロを奏でる部分とか、 東響の木管さんやホルンさんの巧さに聞き惚れたり、、 あれ?ここでこんなフレーズあったんだ…とか こんな音が重なっていたのね… と気づかされる部分もいっぱいで、 この曲は1904年完成だそうだけれど、 オーボエさんが奏でるソロのところとか 時おりすごくモダンな、 まるでジャズの前ぶれみたいなフレーズもあったりして、 20世紀の音楽の予兆みたいなのも感じるのでした。

第三楽章は美しい郷愁の世界で、 それぞれの楽器さんの名演にずっと浸っていたくなる美しさ。 ニコ生で聴いていても美しいですが、 ホールで聴くと あちらとこちらのパートさんのソロが重なり合う音の波が、 まるで海の波があとからあとから寄せ来るようでそれが得も言われぬ感動で、 なんども涙出そうになりました。

それもこれも ノットさんの緩急をたゆとわせるゆったりと遅いテンポで聴かせるドラマチックな演奏だからかな、、と思ったり。。 実際ホールで聴いた時も、 なんてドラマチック! まるでオペラみたいにさまざまな映像(音像?)を感じる… と驚いていました。

このゆっくりとしたテンポがとりわけ意識される第四楽章。 この演奏を聴いていると、この遅さが良いと感じられるから不思議。。 そして驚きのハンマー5回は、、 会場ではハンマーの方が立ち上がるのが見えるので、 (え? もう叩くの?) (え、また叩くの?)と友と顔を見合わせていましたが、、むしろ面白かったです。。 この5回の意味って何だろう… とやっぱり考えてしまいました。

これだけゆっくりとした演奏でなかったら ハンマー5回は無理のはずですよね、 うっとうしくなってしまう。。 これだけ時間をかけて演奏しているから5回も成り立つんでしょうけれど…

ハンマーの意味は人生を襲う悲劇の打撃だそうだけれど、 当日 聴き終えた時に (5回だったね…) (マーラーがこの曲を書いてから100年以上経ってるからその間に起こった悲劇が追加された?) (世界を襲った悲劇の数…) などと話していたのです、、 けれど 聴き直してもまだわかりません。

ただ、ハンマーの《音色》も、 いろんな動画のものを聴き比べるのも面白くなって いくつか聴いてみたりして、、 特にバーンスタインの2回のなどは木槌もすごーく巨大で、 打撃音も木が砕けるみたいなメリッ‼ って音まで聞こえる。。 あんな打撃だったら2回が限度、、

東響さんの5回ハンマーの第四楽章は、 なんだか聴いていても見ていても、 打ちのめされる悲劇の音という感じには聴こえなくて、、 なんというか、、 人生のドラマの中で運命に翻弄されながら、 時に打ちのめされ でもまた立ち上がり、 ふたたび困難に襲い掛かられ、 でもまだ前に進み、、 っていう感じに七転び八起きではないけれども、 まるでドリカムさんの歌のような、 「何度でも立ち上がってみせるよ」みたいな… そんな印象も。。

馬が駆けていくようなリズムや めまぐるしく変化する混沌の調べを突き破って打ち鳴らされる打撃音は、 なんだか悲劇のハンマーというより 逆に人生を鼓舞するハンマー5回のようにも聞こえてしまうのでした。 行けーーーーー! みたいな(笑

第四楽章の後半て、 なんだかゲーム音楽みたいな(勇ましい)フレーズがたくさん感じられません? いろんな打楽器さんの入れ替わり立ち替わりも見ていて楽しかったし、 シンバル3人揃い踏みも良かった♪ 最後にまたハンマーさんが立ち上がった時にはラストは、あの箱を打ち砕いてくれないかしら… なんて思ったり…。 う~ん やっぱり悲劇のなかにも勇気を感じる演奏だったなぁ…


こんな長丁場の演奏を熱演してくださった東響さん&ノット監督には拍手拍手です。 とても刺激的な演奏会でした。

 

無音の美と躍動の美:クシシュトフ・ウルバンスキ指揮 東京交響楽団 名曲全集第186回

2023-04-24 | LIVEにまつわるあれこれ
先週につづいてのウルバンスキ指揮の東響さんの公演に行ってまいりました。 幸せ。
(いつものようにクラシック素人の感想ですのでむずかしいことは書けませんが…)

今回の曲目は…

東京交響楽団 名曲全集第186回  ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
ピアノ:ヤン・リシエツキ

メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」 序曲
ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 op.21
 アンコール ショパン:夜想曲第21番 ハ短調 (遺作)

ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」



先週は 黒Tシャツにジャケットを羽織っての指揮だったウルバンスキさん。。 「今日はネクタイかしら…」 「ショパン振るんだからネクタイでしょう」 という予想はあっさり覆され、今日も黒Tシャツでした。

最初は「真夏の夜の夢」 序曲。 先週の「ロメオとジュリエット」につづいてシェイクスピアです♪

冒頭、、 (あれ? 管さん緊張してる…?) なんだか先週と違う、、 伸びやかさがちょっとありません。。 でも弦さんの美しい響きが奏でられだすと良くなりました。 今日のコンマスはニキティンさん。 今日の3曲の感じでは(勝手に)ちょっと意外な感じがしてたのですが、 (前に拝見したコンマスさん 椅子から立ち上がらんばかりに動きのある、あのイメージを「真夏の夜の夢」に持っていたので…)
でも、ニキティンさん率いるヴァイオリンさんの軽やかな響き! 美しい~~。。

次の ヤン・リシエツキさんのショパンピアノ協奏曲2番。 クラシック素人の私にはただもう好きかそうでないか、という好みの基準しか持ち合わせていないのですが、 (ショパンで気持ちよく寝てしまわないようにしないとね…) なんてお友だちに言っていたそのイメージが全く覆される演奏でした。

お写真で見ただけだと繊細な感じのしたリシエツキさん、 すらりと背の高いかたでした。 膝はピアノに着きそう、 手も大きい。。 そして弾き始めたらその音色の力強さにまず驚き。。 強く弾いているのではないのにクリアで力強い微音。。 なめらかな部分とダイナミックな部分のドラマ性と確実さ。。 
オケとの第一楽章 やはりなんだか緊張してるように思えた管さんも、 リシエツキさんのピアノが入ってからは俄然、 オーケストラ全体が変わりました。

ゆっくりと溜めて弾く部分と躍動する部分と 緩急のあるリシエツキさんのピアノに、 指揮のウルバンスキさんはぐっと身体を傾けて様子をうかがい、 絶妙にオケを導く。。 このピアノとオーケストラの呼吸をぴったり合わせるのはさぞ集中力を要すだろうなぁ… と思いつつ、 じっと眼を凝らしていましたが オケとピアノの呼吸が重なり合った瞬間のうつくしさは感動的でした。 こんなにショパンの楽曲で(良い意味の)緊張感とスリリングさと高揚感につつまれるとは思っていませんでした。
リシエツキさんも ウルバンスキさんも オケの皆さんも見事だった。。

じっとオケの皆さんを見てタイミングを合わせるリシエツキさん(時には嬉しそうなにこやかな表情でオケの皆さんとアイコンタクト)と リシエツキさんを見てオケを導くウルバンスキさん。。 確かに楽譜をめくっている一瞬の時間も無駄にしない、凝縮された時間がそこにありました。。 

無知な話なんですけど 私、ショパンがポーランド出身て知らなかったんです、、 フランスの音楽家のような気がしてて。。 楽曲のイメージも。 だけど今回のリシエツキ&ウルバンスキのピアノ協奏曲では なんか全然 今までのイメージとは違った、 もっと湿度のある叙情性というのか、 民族性というのか、 ダイナミズムというのかな、、 そういう迫力を感じました。 全然イメージが変わって、、 リシエツキさんのショパン 素晴らしい演奏でした♪

 ***

さて、、 ウルバンスキ氏が振る シン「新世界より」。

ウルバンスキ氏ファンの私は 昨年の夏、The Dresden Philharmonic の演奏をウェブで試聴してしまったために 驚きのシン!「新世界より」というのではなかったのですけど… 

ここでもオーケストラさんの感じは最初堅いかんじがしてたのですけど 楽章が進むごとに良くなって 最終的には最高潮! な感じになりました。 ドレスデンでの公演よりも 楽章ごとの輪郭がもっとくっきりして、 緩急も変わって、 ウルバンスキさんの出したいものがはっきり音に表れているようにも思えました。

とにかく素晴らしかったのが、 音の最小の響きの美しさと すべての音が消える瞬間の 無音の美しさ。。 その瞬間 すべての楽団員さんもお客さんも、 全員が呼吸を止めているんじゃないかと思うほど ぴたっと音楽が静止する無音の美。。 まさに シン! 新世界より だったんじゃないかと思うほど。。

ウルバンスキさん&東響さんの演奏ではピアニッシモの美しさのことをずっと前から感じていましたが、 今回も涙がでるほど美しかった。。 そして楽曲の盛り上がりだけに頼らず 微細な響き 各楽器の音色のすみずみまで気を配るマエストロの姿勢にはつくづく頭が下がるというか 尊敬する思いです。

だからこその最終楽章の あの疾走感が活きるというか。。 新大陸の発見、というよりもっと 壮大な宇宙まで行ってしまうような…

帰り道でお友だちと (最後のほうスターウォーズみたいだったよね)(やっぱり思った? 私もジョン・ウィリアムズに繋がってると思った)(ウルバンスキさんも ライトセーバー振ってるみたいだったし…笑)と大いに盛り上がったのです。。 そして ラストの消え入るような、 ゆっくりと ゆっくりと、、

そう 宇宙の果てに 遠くとおく消えていく ちいさな光のような管さんの音… ♪


そして まだ見ぬ新たな世界へ…。。


 ***

ウルバンスキさんを初めて観たのが 2016年のアレクサンダー・ロマノフスキーさんとの公演でした(そのときの日記>>)。 あのときも30代前半のイケメンふたりの共演。 今、あのときの写真を見返すと ウルバンスキさんもロマノフスキーさんも、若い…

何の知識もなく公演を観て、 明晰かつ新鮮な指揮ぶりに魅了されてずっとウルバンスキさんの公演を楽しみに見てきました。 ふ~ん イケメンだね… と頷いていたお兄様がたにも自分の耳は間違ってなかったと自信をもって言えます、、 ウルバンスキさん 素晴しい指揮者さんになられました。
今 40歳とのことですので これからの10年の充実ぶりがさらに楽しみです。 アクティブで反応のすばらしい東響さんとの演奏も これからもきっと続けてくださるでしょうね。。 今回、 ニキティンさんとのコンビもすごく良くて なんだかニキティンさんが楽しそうに弾いてらしたのも良かったなぁ。。


今回の公演、 ニコ生の配信が29日まで見られることになっています。 私もこれを書き終えたら あらためて ヤン・リシエツキさんのショパンと 大地から宇宙への シン・新世界より、 ふたたび感動を味わいたいと思います。

ノット監督が前にやってくださったように、 ウルバンスキ氏のコメント返しなどもあったらいいですね。。 ウルバンスキさんが公演をやってみてどう思われているか、 いつも知りたいなと思っているのです…





指揮者クシシュトフ・ウルバンスキについての日記一覧>>




 ***

(ちょっとだけ追記)

上記で ショパンがポーランド出身だと知らなかった、と恥ずかしいことを書いていますが、『戦場のピアニスト』でなぜショパンが流れていたのか、とか 考えれば判る事なのに(恥)。。 それに、ピアニストのお友だちから以前、 ショパンは亡くなってから心臓だけ故郷に帰ったのだと聞いていたことも思い出しました。 ショパンさん、 リシエツキさん、 ごめんなさい。。

もうひとつ、
アレクサンダー・ロマノフスキーさんの事を書いたので少し付け足し。。

ロシアによるウクライナ侵攻後、ウクライナ出身のロマノフスキーさんの動向も気にしていて… でも昨年の秋 破壊されたマリウポリの街で(ロシア側の立場で)ピアノ演奏をしたことが理由で 英国の王立音楽大学の教授を解任されたとか、、 そんなニュースにやりきれない思いでした。

今日(26日) ちょっと検索をしたら 昨年11月には ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団の公演でモスクワで演奏もしている。 LIVE映像がMoscow Philharmonic Societyの動画にあがっている。 曲目は ショパンのピアノ協奏曲第1番とシューベルトのザ・グレート。 ロシアプログラムではなかった…。 指揮者はイグナット・ソルジェニーツィン。 あの(ソ連から追放され、のちにロシアへ帰還した)作家ソルジェニーツィンの息子さんだそう…

複雑な気持ちでさきほどロマノフスキーさんの演奏映像を見ていた。。 とても良い演奏だった、、 やはりこの人のピアノは好きだといまも思う… でも本当にどう考えたらいいのかわからない。。 演奏後、たくさんの花束をもらって、、 アンコール曲は ショパン夜想曲第20番 嬰ハ短調。 日本でのリサイタルでも弾いていた曲だったし、 『戦場のピアニスト』で有名な曲。 これもとても良い演奏だった、、 悲痛とも思えるような…。。  どんな思いで弾いてらしたのかはわからない… ただ、じっと眼を閉じて天に顔を向けるようにして弾き終えて、、 そっと指で眼をぬぐっていた。 胸がつまりました…

ほんとうに、、 こんな戦争 早く終わりになって欲しい。。 早く…


そう願うだけです…

歓びと感謝…♪:クシシュトフ・ウルバンスキ指揮 東京交響楽団 川崎定期演奏会 第90回

2023-04-17 | LIVEにまつわるあれこれ
昨日はミューザ川崎で東京交響楽団さん 川崎定期演奏会 第90回 聴いてまいりました。 プログラムは…

プロコフィエフ:バレエ組曲 「ロメオとジュリエット」より
 モンターギュ家とキャピュレット家
 情景
 朝の踊り
 少女ジュリエット
 仮面
 ロメオとジュリエット
 踊り
 タイボルトの死
 朝のセレナーデ
 百合の花を手にした娘たちの踊り
 ジュリエットの墓前のロメオ
 ジュリエットの死

コネッソン:Heiterkeit (合唱とオーケストラのためのカンタータ)
シマノフスキ:スターバト・マーテル op.53

東京交響楽団
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
ソプラノ:シモーナ・シャトゥロヴァ
メゾソプラノ:ゲルヒルト・ロンベルガー
バリトン:与那城敬
合唱:東響コーラス



ウルバンスキ氏いつもながらの一挙一動一挙手一投足、 全身で踊るようなきめ細かな指揮に 即応する楽団さんとの鮮やかな演奏の美しさ・・・

今週予習でずうっとスターバト・マーテルに意識がいってましたが、まず「ロメオとジュリエット」にやられました。 東響さんの各パートさん、 全楽器さんの素晴らしさ! キレッキレの指揮と一体化する演奏、、 言葉にすると 何? なに?… と考えてたのですけど、 鮮烈、、 鮮明、、 あざやかさ、、

生で聴くの初めてのくせに(こんなロメオとジュリエット きっともう二度と聴けない!)と勝手に確信しながら聴いていました。 バレエ音楽の楽しさ、躍動感も。 悲劇にはちがいないのだけれど、 すべての曲がきらきらと輝いて、 一曲おわるごとに(うわっ…)という叫びと拍手をしそうになるのを必死で堪えて見てました。

ウルバンスキ指揮では タコ4、ツァラなど記憶に刻まれている名演があったけれど 今や伝説となっているハルサイの頃は私は知りません。。 昨日のバレエ音楽ロメジュリを聴きながら、 (あぁ、ハルサイもさぞや驚きとワクワクに満ちた演奏だったろう…)と想像されました。

オーボエさん、フルートさん、ティンパニさん、、管さん弦さん、、 みなさんすばらしかった。。

特に打楽器連はタイミングが命、、 ウルバンスキさんの振り降ろされる手と膝(!)の動きと一体化する寸分の隙も無いティンパニさんの15連打!! すごい、のひと言。。 音のスタイリッシュさといい、 こんなの東響さんでしか聴いたことありません。

管楽器さんの優雅かつキラキラの躍動感あふれる響きも美しかったなあ、、 ヴァイオリンさんの微音のさざなみも、、 低音弦さんの深さも、、 あ! 初めて聴いたオルガンさんの入った曲も、、 懐かしい感じの牧歌的な曲調で、、

最後に消えゆくような 小さくちいさく終わっていくジュリエットの死まで、、 ほんとうに鮮烈かつ叙情的なロメ&ジュリでした。 すばらしかった。。

 ***

後半の コネッソン:Heiterkeit (晴れやかさ 静穏)
行く前にいろいろ検索してみたけれど、 この曲の情報が得られずに何の予備知識もなく鑑賞。。 もっと現代音楽ぽい難解さを想像していたけれど、 穏やかさを感じる曲調で 短い中にもドラマがあって、、 それから東響コーラスさんの美しさにびっくりして・・・

その驚きと感動は 次の スターバト・マーテルへ。。
ここでも東響さんの各パートさんの演奏がみごとで… そしてソプラノのシモーナさんの歌がながれだすと その透明感に感動。。 そして何より東響コーラスさんたちの圧倒的な響き!!

ウルバンスキさんは今まで 爆音というかあんまり最大限に音を響き渡らせるという感じはなくて、 どちらかというと静謐な、ピアニッシモの美しさが印象に残っていたのですが、 昨日のミューザの響き渡ること! 

コーラスさんと楽団さんとソリストさんとの音色がホールいっぱいに響き渡ったときの感動。。 音でいっぱいになった、というのではなくて 美でいっぱいになった! と思いました。 なんてなんて美しいの、、って。

このポーランド語の美しい合唱と演奏の一体感を、 ウルバンスキさんは指揮しながら体感なさって今どう思われているかしら…と訊いてみたい気がしました。 まるでミューザがひとつの大聖堂のような、 その中で美しい祈りの声を聴いているような、 ほんとうにそんな気持ちに私は包まれていました。

圧倒的な第5章の盛り上がりのあとで 第6章がはじまると、 もう涙腺崩壊しそうに…

スターバト・マーテルはけっこう聴き込んで行ったのです。。 いろんな楽団さんの録音を聴きながら、 自己流に、ソプラノさんはこの位すなおに歌ってくれたらいいな、とか メゾソプラノさんはもうすこし張りが欲しいな、とか バリトンさんもこのくらい響き渡る声だったらいいな、とか 自分勝手なことを感じて聴いていて、、 でもその希望がすべて叶えられた素晴らしいソリストさん達でした。

前回のカルミナ・ブラーナもほんとうに幸せな体験でしたけど、 昨日のロメオとジュリエットにスターバト・マーテルもぜったいに忘れられない体験になりました。 


ただただ… この日は他の楽団さんの公演ともかぶっていたようで、 空席がたくさんあったことが何より勿体ないばかり・・・ おそらく年間チケットなどお持ちのかたも多いのでしょう、、 私が予約しようとした時にはバルコニー席とか埋まっていたはずだったのに、、 う~~んもったいない。。

東響コーラスさんもとにかく素晴らしかったので、 東響コーラスさんとの第九、、 聴いてみたくなりました。。 いつもノットさんの第九 なかなか都合がつかず、 チケットもすぐ売れてしまうので観た事ないのです。。 いつか必ず~~ ☆彡





春の音楽 ♪

2023-03-28 | LIVEにまつわるあれこれ


日曜日、 音大生さんたちの選抜オーケストラを聴いてきました。 演奏されたのは…

ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」Op.235
伊福部 昭:シンフォニア・タプカーラ
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』

井上道義 指揮
音楽大学フェスティバル・オーケストラ(首都圏9音楽大学選抜オーケストラ)


シュトラウスが奏でられ始めて、、 (弦の音 若々しい!)、、 (管楽器さんや打楽器さんも 若者らしく思い切りが良いわ…)と思って聴いていました。

マエストロが得意とされる伊福部さんの曲もエネルギッシュ。。 独奏トランペットさん美しかった。。 「シンフォニア・タプカーラ」のタプカーラは「立って踊る」という意味だそうで、最後の音とともに楽団員さん達、 ぱっと立ち上がる。 決まりました♪ 、、わたしなどがあれをやろうとしたら椅子から立った瞬間よろけて絶対ころびます、、


メインの「春の祭典」 
道義さん指揮だと ハルサイも伊福部調になるのでしょうか、、 そんなことを想いつつ、、 変拍子バリバリの辺りでは (あれ? 今どきの若いかたは洋楽とか聴かないから変拍子苦手なのかしら…)という印象も。。

あとでマエストロのブログを拝見して頷きました。。 この3年間のコロナ期間 学生さん達は集団練習が困難だったのですね。 とりわけ身体で覚えるような変拍子を合わせるのはさぞ大変だったのでしょう、、 コロナ生活の3年の時間は学生さんにとって本当に貴重な時間が失われたんだと痛感しました。

でも 渾身の演奏、 渾身の指揮、、 最後はマエストロみずから生贄となって舞台から裸足で転がり落ちました。。 なんとなくわかってはいてもお身体を心配してしまいましたが 両手を高く上げて見事に舞いました。 流石バレエで鍛えたお身体です。

twitter にその様子が載っていました>>

https://www.michiyoshi-inoue.com/2023/03/12_1.html#blog

マエストロのブログに 人生最後の春の祭典とありました。 そして学生さん達は人生初の難曲、 そして人生の門出。 これから先も演奏家人生を歩まれるのでしょう。 これから幾度となく新たな楽曲に挑まれ、 そして何度となく原点の楽曲に立ち帰られることでしょう。


満開の桜のときに春の命あふれる演奏会でした♪

 ***


ミューザに行く前に お茶のひととき。。




ほんに美味しいショートケーキでございました  しあわせ …♡



来月も音楽の月になりそうです…

楽器の歌声…♪:ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 川崎定期演奏会 第89回

2022-11-30 | LIVEにまつわるあれこれ
ミューザへ東響さんを聴きに行って来ました。

良かった! 感激しました。 いつでも感動をくれる東響さんとノット監督、 ほんと素晴らしいチームです。 あとで書き直すかもしれないけど、 忘れてしまわないうちに感動だけ…


シューマン:「マンフレッド」序曲
シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
 ヴァイオリン:アンティエ・ヴァイトハース
アンコール バッハ:パルティータ第2番 より《サラバンド》

ベートーヴェン:交響曲 第2番 ニ長調 op.36

ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団

 

シューマン マンフレッド。 指揮台に乗った瞬間、 ひららら~~と手をうねらせて曲を始める唐突な感じに私がちょっと戸惑い、、 (なんかあれ? って感じ) よくわからないけれど一瞬気をそがれて それで集中を欠いてしまった自分。。 演奏は良かったと思う、、ニコ生見て よく見直したい。。

ヴァイトハースさんのヴァイオリン協奏曲。 なんという滑らかな音色! すごく難しいことをなさっていると思うのだが、全くそんな感じがせず 身体をしなやかに動かしているその魔法の匣から美しさが宙に溢れ出してくるかのよう… 
オケの対向配置のせいかコントラバスさんがしっかり聞こえ、ヴァイトハースさんの音の背後にバスがずーっと低く流れているのが見事に美しかった。 通奏低音という(音楽理論のことはわからないので文学理論で使われるような意味での骨格を支えているもの、という意味)言葉を感じていた。
ヴァイトハースさんは独りで前に出たりしない音。 チェロさんとのハーモニー、 オケのそれぞれとの調和がすばらしい美しさ。 特別な弦かなにかでもあるみたいな軋みも金属音もなにもない《音色》そのものが奏でられてうっとりした。

アンコールのバッハ。 もう溜息。。 ひっそりと祈りのように胸をうつ。。 でもものすごく難しいことを弾いているのだとわかる、、どうやったらあんな風に弾けるの… バッハ聴けて良かった。

ノット監督のベト2。 なんてフレッシュな、 瑞々しい躍動感ある演奏。。 東響さん大好き! ノット監督の指示にみごとなまでに反応して一体になる。 モーツァルトを感じるようなフレッシュな交響曲に。
マンフレッドの最初で感じた違和感みたいなのがどこにもなく、 第一楽章からラストまで、 ノットさんとオケが一体で立ち上がり、 鎮まり、、またうねり、、 はじけた。 最高! ベト2は短いし、 大曲でもないかもしれないけど、 退屈なところなんて全く無い発見が凝縮されていて、 今日のはCD化していいような演奏だったと思う。 フルートさん木管さん美しかった。

シューマンのなかにベトの第九ぽいところもあり、 ベト2番のなかにも第九に通じていく感じもあり、、(幸福の音色)、、 そんなところがノットさんは両者をならべた所以かなぁ、、、と想像。。 
こんな素晴らしいドキドキと音楽の冒険を味合わせてもらえて、 ノットさん東響さん 今年もありがとう~~、と カーテンコールで一生懸命手を振りました♪

あとで ニコ生見て 再確認します。


一週間のはじまり ☆彡


 *** 追記 ***

ニコ生であらためて視聴しました。

ヴァイトハースさんのバイオリンの音色は 配信で聴いてもその滑らかさ、 押しつけがましくない上質な音色であることが伝わってきます。 とりわけ第二楽章など、 弦を弾いている、という感じがちっともしなくて、 ヴァイトハースさんが体を揺れ動かすたびに音楽が立ち昇ってくるような、 そんな感じがします。 時おりチェロさんのほうを向いたりして、 チェロさんとヴァイトハースさん、 歌い合っていますよね。。
ヴァイオリンのきしきし鳴る音が好きでない私は オケと一体になるヴァイトハースさんの音色にうっとりでした。

会場で聴くと、 (録音のマイクは奏者の近くに置かれているでしょうから) ある程度の空間をつたわって届くヴァイオリンの音色はさらにまろやかになって、 楽器を奏でている、というより ヴァイトハースさんの身体が歌っているような、 音楽そのものが鳴っているという感じで、、

殊に、しんと静まり返った空間に バッハの《サラバンド》が立ち昇ってくるようすは やはり会場でしか味わえないもの… その《場》がつくりだすその場だけの音楽なのでした。。

驚いたのは、 ヴァイトハースさんの使っているヴァイオリンが現代の工房のものだということ。 ペーター・グライナーのものだそうです。
ウィキを見たら、 「人の歌声に近い楽器、つまり2,000 -4,000 Hzの周波数に焦点を当てた楽器を作ることを目指している」とあって、、 それだからあんなに自然な 金属ぽさの無い穏やかな音色なのかな、、と思ったりしました。
 (シュテファン=ペーター・グライナー wiki >>


先に戻って 「マンフレッド序曲」、 聴き直すほどに好きになっていく曲です。 憂愁と不穏さ、、 そのなかにある英雄的な調べ。。 詩人バイロンの書いた詩劇「マンフレッド」は ほんの一部しか読んだ事がないけれど、 これもまたあらためてウィキでおさらいをすると、 マンフレッドが精霊たちに「忘却」をくれと求めて、それはできないと拒絶される、、 あぁまさにロマン派だわ… 、、 忘却がかなわぬならば追憶にさいなまれるしかない… 
シューマンのメロディにはそんなバイロンの葛藤や想いがよくあらわれているようです。

ベートーヴェン2番は付け加えることなし。。 ニコ生のカメラさんがいろんなパートさんを切り替えて映してくださるごとに、 それらのパートさんの生き生きした音色とノットさんの動きが共鳴しているのが楽しくて、、 もう一度見たくなります。








今年もミューザのクリスマスツリー見れました

マエストロ素敵でした…♪:井上道義指揮 NHK交響楽団 横浜みなとみらいホール 大ホール

2022-11-04 | LIVEにまつわるあれこれ


1年ぶりの横浜みなとみらい。。 
みなとみらいホールで演奏会を聴くのは 2020年のニューイヤーコンサート以来でしょうか。。

本日の指揮者 井上道義さんはずっとずっと観てみたいかたでした。 TVや動画などで指揮するお姿は幾度も拝見していて、 そのエネルギッシュでエレガントな指揮の様子をぜひ実際に、 とずーっと思っていたのですがなかなか機会なく、、 そうしているうちに 24年末での引退宣言・・・ 吃驚でした。。

今回の公演はつい数日前に決めたのです。 席が取れそうだったのでお友だちに(急だけど…)と尋ねたら、、 (わたし達の年になると、機会があったら逃しちゃいけないよ)とOKしてくれたので歓び勇んで、、♪

ところが、、ね。 公演直前になって、 みなとみらいホール改修後の騒動が。。 
バルコニー席の手すり前に落下防止の金網が設置されてしまってステージが見えないと‼ 、、そんなバカな… って思いましたよ、、 だって、指揮者さんや楽団員さんを間近で見たいが為のサイド席なのですもの。。 クラシックコンサートゆえ立ち上がって見る人もいないでしょうし、 なぜこんな網が? と思ったら、 スマホやチラシの落下が今までにあったというのですが、、 それなら丁寧にアナウンスして鞄に仕舞うなどすれば良いこと、、 
片耳失聴の私はバルコニー席が好き。 今回取ったのもバルコニーでした。。

前日になって急遽、 席は振替して下さるとの通知が出たものの (どんな感じか行ってみて決めようね…)と出かけてみて、、 実際すわってみて、、 見えなかったです。。。 手すり下に新たに取り付けられた鉄柵とともに、 なんだか檻に入れられたみたいな存在感。 多少の不自由ならバルコニーにいようと思ったのですが、、仕方なく正面席に振り替えていただきました。。 

 ***

でも、 演奏会はとても素敵でした。 ホール完成お祝いにふさわしい楽曲、 美しいパイプオルガン《ルーシー》を正面に、 ステージに飾られた薔薇が華やか。

シュトラウスⅡ : ワルツ《南国のバラ》
マーラー : リュッケルトの詩による5つの歌曲
サン=サーンス : 交響曲第3番「オルガン付き」

井上道義指揮 NHK交響楽団
カウンターテナー: 藤木大地
オルガン: 近藤岳


マエストロミッチーは登場の瞬間から魅せて下さいました。 台に乗る動作もしなやか、、 客席に振り向いて バレエダンサーのように脚を交差させて礼・・・ そして始まったシュトラウスの指揮ではほんと踊っておられました。。 道義さんの後ろ姿はとてもすらりと脚が長くて 指揮台のうえでバレエを踊っているようで、、 (私が踊れるなら…)駆け寄ってその隣で一緒に踊り出したい感じでした。。 そんな気分に誘われる演奏でした。

じつは私、 N響を生で聴くのが初めて。。 N響さんは安定の、 堅実で重厚な響きの楽団、、というイメージで、 どちらかというと指揮者さんへの反応がはっきり現れる演奏が好みの自分は 今まで観る機会なくきてしまったのですが、、 やはり安定感はさすが、、 弦の音色もとても美しく感じました。

マーラーのリュッケルトの歌曲。 
付け焼き刃の予習では テノールの男性と、 ソプラノの女性の両方の歌唱を聴いていました。 けど、 カウンターテナーの方の歌唱は見つからなかったので想像がつきません。。 どんな感じなんだろう、、と楽しみにしていました。

始まってびっくり・・・ 素晴しいです。 藤木さんのお声はハイトーンなのに厚みと深みがあって とても安心感のあるお声です。 そして感動したのが そのお声が木管楽器の音色とぴったり合うのです。 先に聴いていたテノールやソプラノ歌手のかたの歌唱が、 演奏の前面に、 うまく言えないけど別の存在として際立つのに対して、 藤木さんの歌唱は楽器そのものとなって楽団さんと共に歌っている感じ。 N響の木管さんも美しかった~。

第5曲は演奏がフィナーレへ向けて大音響になっていくので、 テノールの朗々と高らかに歌い上げる迫力にはかなわないかなーーと思う所はありましたが、、 たぶん私の耳と席の関係でしょう。。 もう少しステージに近かったらよく聞こえていた筈。。 
カウンターテナーで歌うこの歌曲、、 私はとても好きになりました。 テノールやソプラノで聴いたよりも 藤木さんの歌唱とN響がひとつの世界になっていたようで、 素晴しかったです。

休憩をはさんでの サン=サーンス 3番
、、席の振り替えのお陰で 正面後方で聴くことができてこれはこれで良かったのかもしれません。 ホール全体で奏でられるパイプオルガン。 ひとつにまとまった重厚な演奏。。 N響さんの一糸乱れぬ弦の響きに 祝祭感あふれる金管の艶、、 

でもほんの少し欲を言えば、、 ミッチーの指揮の動きにもっとビビッドに反応するN響さんの演奏も聴いてみたかったかな。。 あのシンコペーション(と言うのだろうか)のところ、、 ミッチーはかなり溜める感じで指揮なさっているように見えたし、 ちょっと打楽器さんが合ってない部分も? あと、フィナーレ近くの金管さんの和音が…。 でもどれも小さなことです。。 

2年前にこのホールで聴いた秋山先生の東響さんも、 とても柔らかな暖かい音色に響くホールだなと思いましたが、 今回もホール全体がつつまれるようで、 全体的にとても優しいひとつのまとまりを感じました。 心配したような金網や鉄線がパイプオルガンの響きに共振するようなこともなかったように思います。。 それだけにやはり元のステージ近くの席で楽団さんと指揮の姿を見たかったなーー

そんなことを思いつつの終演。。 拍手の後、 井上道義さんは 「今日のN響すばらしかったと思わない? このホールも…いろいろあったけど、 みんなでこのホールを育てていきましょうよ!」 と笑顔で。 その言葉を聞いてなんて大きなかただろうと思いました。。 開幕にケチが付いてしまったなどと私が思ったのに比べて、 ミッチーはこの先ずっとこのホールで音楽が奏でられ、人々に愛されホールが育っていくということを考えていらっしゃる。。 まさに文化は育てていくもの、、 お役所とか誰かに作って貰って与えられるのが当たり前と思ってはいけないのですね。。

 ***

これを書いている間に、 ミッチーがブログを更新していらっしゃいました。 昨日のことを振り返って…
https://www.michiyoshi-inoue.com/2022/11/_nhk_1.html#blog

これを読んでふたたび自分の狭量さを反省します。。 「赦し」という言葉。。 井上さんが来年なさる自伝的オペラのテーマでもありますね。。 そして、、 ミッチーは本当にバレエをなさっていたのですね、、 わぁ牧神だ、、 

昨日の道義さんも大変スタイリッシュでエレガントな動きで どうして引退など… と思うほどで…。 またミッチーの指揮する演奏会、 観に行きたいです。。 行けるといいな。






みなとみらいは早くもクリスマスの輝きにあふれていました。



これから年末への日々、、



やすらぎと



ぬくもりある時間になりますように…






東京交響楽団ほか・・・(仮)

2022-07-17 | LIVEにまつわるあれこれ
昨日はサントリーホールへ東京交響楽団さんを聴きに行って来ました。 楽しかった♪ 感激でした。。

この春は 東響さんからちょっと浮気して、 ほかの楽団さんや指揮者さんの演奏も聴いてみようと、 ワクチン接種を終えた3月と5月にも サントリーホールへ出かけたのですが、 日記にのこすことが出来ず・・・

理由はいろいろで 戦争が始まってしまって日々のニュースにピリピリしていたからかもしれないし、単に時間がなかっただけかもしれないし、、 何を書いて良いのか感想がまとまらなかったことも、、

それはともかく、、

昨日感じたことは やっぱり私は東響さんの演奏が好きだし、 ノット監督とこの楽団との演奏をもっと聴きたいと再確認したことでした。。 なんでだろう…  、、いつでもわくわくをくれる、 たとえ完璧でなくても いつも冒険があり、 挑戦があり、 驚きがあり、 そして感動をくれるから、かな。。

あと、、 以前に〈音の着地点〉ということを書いた事があったけれど、、 東響さんの(ノット監督の指揮にあわせて) 音が消えさる時の音…(日本語ヘンですが) その瞬間の音の止め方、 音の消し方、 余韻をふわっと消す、 その瞬間の全員のまとまりがすごく好き。 これはこの春、 ほかの楽団さんを聴いた時にも思ったのです、、 もっと音の止め方に神経を配れば良いのに…と。

音が大きくて迫力ある演奏では気づけない〈音の着地点〉、、 音の最後の最後まで気を配ること、、 東響さんは全体的に(ノット監督以外の指揮でも) 爆音にならないところが好き。。 ピアニッシモの美しさも今までにも何度も経験させてもらったし、 今回も音が消え去る瞬間の美しさをあらためて認識しました。 

東京交響楽団 7月16日(土) サントリーホール
ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)-鏡より
ベルク:七つの初期の歌 ソプラノ:ユリア・クライター
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
指揮:ジョナサン・ノット


ラヴェルの曲は初めてだったけど、 以前ウィーンフィルで聴いた「海」を思い出しました。 きらきらとした海のゆらめきを感じさせる曲。 

ベルクは 曲は難解で私には咀嚼しきれていないのだけれど、 ユリアさんの広がりのある歌声が乗っかるとなぜだか安心した気持ちで聴いていられました。

ノットさんのマーラー5番。 ノットさんの… とわざわざ書きたくなるノットさんの冒険的な指揮に導かれたマーラー5番。 ひきずるような葬送行進曲、、 ここを聴いて (行進曲といってもファンファーレにするつもりはノットさんには無いんだ。これは葬列なのだからこのずるずるとひきずるような重い第一楽章でいいんだ)と思いました。 

そして嵐のような第二楽章。 第二楽章でこれ? と驚くほど弦の方々 椅子から立ち上がりそうに身体を揺らしてノット監督の振りに応えます。 

あとは細かく書かずに、、 ホルンさん美しかった。 ハープさん見事だった。 木管さんは毎回安定のうつくしさ。。 ティンパニさん繊細でした。 ラストはコンマスさん含め、 弦の方たち身体のうねりが大変なことになってました。。 

結果的にすごいものを見させていただいたと感激し感謝するマーラー5番でした。 楽しかった!


 ***

おぼえがき・・・


東京都交響楽団 3月27日(日) サントリーホール
アンナ・ソルヴァルドスドッティル:メタコスモス(2017)[日本初演]
ブルックナー:交響曲第7番

指揮:アラン・ギルバート


日本フィル 5月28日(土曜日) サントリーホール
伊福部昭:ピアノと管絃楽のための《リトミカ・オスティナータ》 ピアノ:務川慧悟
マーラー:交響曲第4番 ​ソプラノ:三宅理恵
指揮:カーチュン・ウォン


 (追記ができたらするかも・・・)



熱暑が続いたかと思えば 大雨になって、、 

これからの気候は毎年こんなふうに災害級の異変に悩まされることになるのでしょう…



できるだけ災害がおこらない事を願って…


みんな元気でいられますように。。

吉井和哉 THE SILENT VISION TOUR 2021-22 TOKYO DOME CITY HALL

2022-01-17 | LIVEにまつわるあれこれ
先週のおでかけから今日で3日、、 体調は全く問題ナシ。 
オミクロン株の潜伏期間は3日程度? 今週は外出予定も入れていないし、 検査キットも用意してあるし、 それも使うことなくこのまま元気に乗り切るでしょう。。 ちゃんと行く前にアメリカの情報とかも読んで 自分なりにオミクロンに勝てるかどうかも判断して決めたのよ。。

 ***


今月末に楽しみにしていたヴァイオリニストさんの来日中止のお知らせがきました。 来月行きたいと思っていたピアニストさんの公演も、 別の方が演奏することになりました。 できれば今月いっぱいくらいは感染が抑えられるのでは…と期待もしていたけれど、、、仕方ない、ね、、

、、 この2年間を経て、 今までとは考え方を変えよう、と思うようになったんです。 何年か前の新年に書いたように たくさんのコンサートの予定を楽しみにして、 それをモチベーションに元気でいられるよう頑張ろう、と そう思うことも励みにはなるけれど、 今は予定が予定通りに行くことのほうが稀なほどの世の中です。 その度に落ち込んでいたら心が折れてしまう…

念願通りのコンサートがもし見られたら、 それは本当に幸せなこと。 だから胸いっぱいに満喫しよう。。 もし日程が変更になっても、 演者さんが変更されたとしても、 そこに参加できるのならそれも幸せと満喫しよう。。 予定が変わって 自分の都合や体調が合わなくなったら、 それはお休みしなさいという思し召しと納得する。。 双六のように「一回やすみ」、、 次の機会を楽しみに…

コロナの要因ばかりではないですね、、 この週末にも突然の津波警報が出たり、 そのことで鉄道が止まったり、 明日なにが起こるかなんて何も予想が出来ない。 このところの気候変動も考えたら、 豪雨災害や台風や、 予測のつかないことばかり。。

だから、 物事を一度限りのチャンスととらえるのでなく、 自分との貴重なめぐりあわせと思うようにしたい、、。 時と時が出会って、 場所と場所が一致して、、 そして出会えるめぐりあわせ。。

 ***


先週金曜日 吉井和哉さんの TOKYO DOME CITY HALL 。  幸せだった~~。 ほんとうに楽しかった~。

もう何年前になるだろう… ジョン・メイヤーさんのLIVEで 当時はJCBホールと言ってたこのホールがすごく気に入って、、 それで、 いつかこんな場所で吉井さんのライブを観てみたい、、とずっと思ってた。。 2017年の Celebrating David Bowie Japan に吉井さんが参加されて、 ますますその想いは強くなって、、 

願いがひとつ叶いました。。 やっぱりこのホールのLIVE、 楽しかった。

私ひとりの想い込みじゃなく、 誰もが楽しんでいて 誰もがすごく間近にメンバーを感じられる とっても親密な 一体化した良い空間、 素敵な歌の場になっていたらいいな。。 そう吉井さんも思ってくれていたらいいなぁ。。 そうだったらいいなぁ。。 
、、これから後のツアーは延期になってしまったけれど、、 あの素敵な時間が いつかまた 待ち望んでいる人たちの元へ届けられるなら、 すごく良いLIVEになるだろうから。。


メンバーの方々も素晴らしい演奏をしていて、 吉井さんの正面モニターのあたりに バックの様子が見えるように三面鏡みたいなのを置いてあげたいくらい、、 私たちが見ているメンバー全体の様子 ぜんぶをそのまま一緒に見せてあげたいと思いました。 吉井さんの歌声と一体化した渾身の演奏には泣いてしまったし、、 インストゥルメンタルでやった間奏曲も メンバー全員のプレイが素晴らしくて鳥肌でした。。 書きたいことはいっぱいあるんだけど…

ZEPP TOKYO で初めて生で聴くことができた「みらいのうた」、、 この曲のベースラインと、 後半にむけて変化していくドラムスが大好きで、、 レコーディングメンバーの演奏も素晴らしいんですが、 これをナボリタンズが奏でるのをずーっと楽しみにしていたのです。 あのZEPPで聴いた「みらいのうた」も忘れられない、、


、、長い期間 通院以外にはお家をでることもなかった私には THE SILENT VISION TOUR  というから おとなしく座って見るライヴかと思いきや それこそドS過ぎるセットリストで 11月のZEPPの帰り道はよろよろでしたが、 もう一度ZEPPで見たかったZEPPらしいリストだったし、、 今回はずっとずっとあのまま楽しく踊っていたかった。 楽しくて、 幸せで、、

この幸せをありがとう。。 あのライブ会場の空間で味わえる喜びは リモートでは決して味わえないものです。


 ***


先日の日記で、、 あのままコロナ禍が続いていたら 音楽とは縁を切った生活を選んでいただろう、、と書いてしまったけれど、、 それは 自分が日常をつづけていくために自分を守ることが必要だったという意味と同時に、、 自分の大好きな人 自分のたいせつな人がもしも万が一、 コロナに苦しむようなことがあったら… と、 その不安に圧し潰されそうになるのが耐えられなかったというのも、、

人工心肺や人工呼吸器を体験している身としては、 もしも誰かがそんな目に遭ったら回復しても必ず肺に大きなダメージが残る。 誰にもそんな目に遭って欲しくない、、 自分の家族はもちろん、、 ライブをする側の人も、 参加する人も。。 ぜったいにコロナなんかに罹っては駄目。  デルタ株が猛威を振るっていた頃は その思いが強すぎて、 とてもライブのことを考えることは出来なかった。。 


でも、 きちんと情報を確かめて きちんと自分の身体を見極めて、 そのうえで自分で判断が出来れば、 必ずまたこうやって幸せな時間を取り戻すことができる。。 今の世の中、 一瞬で状況は変わっていくから、、 そのとき、 そのときで 最善と思える決断をすること…  それしかない…


怖れず、、 勇気をもって


自分をたいせつに…




それがきっと 最良の選択なんだと思う。







今回 TOKYO DOME CITY HALL  に参加できて、、 また あたらしい願い事がうまれました。。 いつの日か こういうLIVEを見てみたいという願い事。。




どんなLIVEかは、、 それは いまは内緒、、




いつか 叶え…



みらいのゆめ


感謝と感動♪:ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 川崎定期演奏会 第84回

2021-12-06 | LIVEにまつわるあれこれ
街がクリスマスの装飾に彩られるなか、 わたしにとって今年最後の公演に行って来ました。 

先月のウルバンスキ指揮 東響さんの公演を観たあと、 生の演奏をコンサートホールで聴ける歓びをとにかくもう一度味わっておきたくて (感染の抑えられている今なら大丈夫!)と、 すぐに予約したのでした。

ジョナサン・ノット音楽監督指揮の東京交響楽団を観るのは 恥ずかしながら私はまだ2度目? 昨年の第九公演をはじめ、 配信などで何度もノット監督の姿を拝見しているのでそんな気がしないのですが、 振り返ったら 2018年のマーラーの10番、 ブルックナーの9番という「遺作」公演のとき以来でした。

今回は、、

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83
 ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲


 ***

当初発表のピアニストのかたが体調不良により来日できないことになり、 11月末までピアニストの発表がなかったのですが、 ソロリサイタルで来日公演をなさっていたゲルハルト・オピッツさんが、急遽弾いてくださることになり、 代役という言葉にはあたらないような大ベテランの演奏に触れることができたのでした。

オピッツさんの演奏ぶりは まるで鍵盤のうえを両手で優雅に撫でているかのようなのに そこから驚くようなゴージャスな響きが生まれてきて、 あの響きが生まれるのは お身体が大きいせいでしょうか…? 安定感たっぷりの心地良さでした。   

そしてともかく美しかったのは オケの方と一緒に弾くところ。。 オーボエさんとだったり、 チェロさんとだったり。 そのときの共鳴し合うハーモニーの得も言われぬうつくしさ。 あ、そうそう、、 今回 席に着いた時、 楽器の配置がいつもと逆になっているのに気づいて、、 クラシック無知の私はこういう楽器の配置は誰が決めるんだろう… 楽譜に書いてあるのかな… などと不思議に思っていました(対抗配置というのだそうです)

でもその配置が私の耳とこの日の席にはどんぴしゃりで、 弦の響き合い、 コントラバスの存在感、 ピッチカートの弾み、 そこへ溶け込む優雅でゴージャスなピアノの響き、、 すべてが一体化したシンフォニーの美しさにうっとりと聴き入っていました。

特に特にチェロさんとピアノの共演はほんとうに素晴らしくて、 終わった時 オピッツさんがチェロさんをしきりに称えていらしたのも拍手喝采でした。 オピッツさん自身も感動なさったのか、 ノット監督と思わず両手で握手、、 このコロナ禍の世の中になってから、 両手を握り合うのはタブーになってしまいましたけど、 本当に気持ちが高まったらそうしてしまうのよくわかります。。 こちらまで胸アツ…

ブラヴォーが言えない代わりに弾けるような拍手の嵐が起こっていました。
 
 ***

後半のルトスワフスキ。

ルトスワフスキはポーランドの指揮者ウルバンスキ君もレコーディングしており、 いかにも緻密に構築するウルバンスキ氏が大好きそうな… と思っていましたら、、 ノット監督率いるルトスワフスキの熱量の凄さに圧倒されました~~!!

ルトスワフスキを生で聴くのは初めてだったのですが、 生で聴くとこんなにも立体的でマジカルで、 あれよあれよと驚きの連続で、 ノット監督はものすごいエネルギッシュ。 

曲のタイプは全然ちがうけど、 ちょっとボレロのように同じ旋律で楽器がつぎつぎに加わって行ったり、 追いかけっこをするように こちらの楽器のあとをあちらの楽器がエコーのようについて行く、 というように音楽がすごく立体的に幾何学的に構築される。 ノット監督は暗譜で縦横無尽に指先と身体全体でそれを捌く(暗譜でないとあのめくるめく楽曲でページをめくっているヒマはないと思えるほど)。 見ているこちらもスリリングとわくわくが止まらない。。

対抗配置というのが このときも強く印象づけられました。 なんだかあっちとこっち、 対角線上に楽器が鳴ったり、 こちらからあちらへ、、 旋律を追いかける様子が波のような曲線のような、、 音に図形を感じ取ったり、 音に色彩を感じ取ったりする能力のある人が世の中にはいるそうですが、、 昨日のルトスワフスキを聴いていた私にはつぎつぎに変容するいろんな図形がいっぱい見えるような気がしました。

やはりこれは現場で そこで鳴っている楽器の音に身を浸してこその音楽だと思いました。 それが出来ることの喜び。。 ノット監督の様子も、 全身で嬉々としてオケを操り、 どんどん前傾姿勢になって、、笑
(このときも3年前のブルックナー9番を思い出し、 あの時はノットさんに東響さんが喰らいついて行く、という感じに思えたのが、 今度は一緒に一体化して燃焼しているみたいに見えて、 共に長い年月を歩んできた結果なんだろうな…と感動でした)

ラストはノット監督の〆のガッツポーズ! やったぁ… 完全燃焼。。。


、、 音楽的な感想が書けなくてスミマセン。。 素晴しかったです。 ノット監督にずっとずっと東響さんと一緒にやっていただきたいです。 一人一人を讃えるように全身で喜びをあらわしながら オケの間を歩き、 客席のあちこちに手を振って挨拶なさるノットさん、、 そのお姿には音楽を愛する情熱や この状況のなかで音楽の場をひとびとと共有できる喜びがいっぱいに感じられて、 ほんとに愛さずにはいられません。。 こちらもただただ感謝感激です。。

楽しかった~~。  素晴しかった~~。


昨日の公演もニコ生の中継がされて、 私もこのあとまた思い出しながら、 みなさまのコメント見ながら、 ふたたび楽しめる、、 それもまた幸せ♪ (大絶賛のようでしたね)
https://live.nicovideo.jp/watch/lv334559166

ノット監督はこのまま日本に滞在されて 年末の第九を振って下さるそうです。。 オミクロン株の様子如何では来年 また海外の演奏家のかたの来日も困難になったり 演奏会に行けなくなったりするかもしれない、、。 そう思うと一回一回の機会がほんとうに貴重に思える。。



音と音が響きあう空間。

そこにいて 耳をすまして 音が描く調和とダイナミズムのなかに身を置ける有難さ。




ミューザのクリスマスツリーにも 音楽がいっぱいでした♪

毎年聴きたい♪ カルミナ・ブラーナ:ウルバンスキ指揮 東京交響楽団 2021.11.14

2021-11-15 | LIVEにまつわるあれこれ
先週につづいてミューザ川崎に行ってまいりました。

あぁ 素晴しかった! 楽曲の終盤のクライマックスに差し掛かる時、 あぁもうすぐ終わってしまう。 もう一回聴きたい、 初めからいますぐ聴きたい! って思っていました。


指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ 東京交響楽団

曲目:シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲第1番 op.35
ヴァイオリン:弓 新

曲目:オルフ カルミナ・ブラーナ
コーラス:新国立劇場合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊
バリトン:町 英和
テノール:彌勒忠史
ソプラノ:盛田 麻央





 ***

前半のシマノフスキは、 付け焼き刃で何度か聴いた程度の私には何も申し上げられないような難しい曲で、 楽譜も読めない私にはいったいこの楽曲のリズムや音符がどうなっているのか よく楽団員さんたちはこの不思議な楽曲を弾きこなせるものだとただ感嘆の曲で、、

南国か東洋かの神秘の森の鳥のさえずりをイメージさせる ふるえるような さざめくような ヴァイオリンの調べ。 
今回、 コロナの影響で このシマノフスキのソリストも、 カルミナ・ブラーナのオペラ歌手の方たちも日本人の代役の方々へ変更になったのですが、 みなさん短期間での準備とは思えない素晴らしい演奏をなさって、 ヴァイオリンの弓 新さんの技術も素晴らしかったです。 予習で聴いた他の演奏家のなかには 技巧的すぎて音色がなんだか耳につく感じがして楽しめなかったものもありましたが、 弓さんの音色はオケと溶け込んで 流れるような美しさに浸れました。 

終盤 弓さんがソロで即興演奏をするところ(カデンツァというのだと最近知りました) 先週の児玉さんのピアノ演奏のときと同様、 ソリストを際立たせるようにウルバンスキさんは指揮台からそっと降りて見守るのですが、 ソロ部分が終わる瞬前にひらりと台に立ってオケをうねる様に盛り上げていく絶妙のタイミング、、 いつもながらため息ものでした。

 ***

圧巻は カルミナ・ブラーナ。 
行かれた方々の(土曜日のサントリーホールと日曜のミューザと) SNSでの歓びの感想を ずっと見させて頂きながら 今日一日じゅう幸せににまにましていられます(笑) そのくらい幸せにつつまれた感動の演奏でした。

素晴しかったのはもうすべてなんですけど、 コロナの影響でたぶん本来の三分の一くらいの人数で歌っていたと思われる 新国立劇場合唱団のみなさん、 人数のことなど感じさせない迫力でした。 合唱団のなかでソロで順番に歌われた方たちも美しかったし、 左右にゆ~らゆ~らスイングしながらの合唱! カルミナ・ブラーナの愉しい部分、 こうやって歌ってもいいんだ、、 とっても楽曲に合っていました。
東京少年少女合唱隊のみなさん、 この状況のなかでまだワクチンも(子供さんは)打てずに きっと練習にもさぞや困難があったでしょう。。 うつくしい心洗われる歌声に母のような気持ちでうるうる。。

バリトンの町 英和さんのお声は温かかったです。 酔っ払いの大僧正も名演技でした。
酒場で焼き鳥にされる運命の かなしい白鳥を演じた彌勒さん! もう、もう、、 マスクのなかで吹き出すのを必死に堪えました。 なにより! 可憐な乙女をみごとに歌い上げたソプラノの盛田 麻央さんには感動。。 youtubeで見ていった今までの海外のソプラノさんよりも一番わたしは盛田さんの歌声が好きです。

今回、 代役で日本のかたが歌うことになったのは私はむしろ良かったような気がします。 合唱団とオケとソロ歌手のかたたちとの全部の一体感、、 オケの人たちにも歌わせようとするマエストロのこだわり(むちゃぶり?) 結果、大成功だったと思うのです。 みなさん素晴らしかった。

あぁ オケの方たちの名演奏にも触れなくちゃ。。 この曲では すごくフルートに期待して行ったんです。 フルートさん素晴らしかったです。 東響さんの管楽器隊のすばらしさはいつも感嘆すること多いですが 今回もファゴットさんもオーボエさんもいつもながら見事。 

フォークロアな音色を奏でるときの弦の音色もうきうき湧き立つようだったし、 パーカッション陣もウルバンスキ氏のびしっっ! というキメの腕振りに気持ちいいくらいに決まっていて。

マエストロについては もう言う事なしです。 これだけの楽曲を暗譜で自分のなかでイメージを完璧に構築して、 一瞬のスキもなく的確、明確、明晰に指示して思いのサウンドを引き出す。。 なにより音楽を愛する気持ち、 楽しむ気持ちが伝わってくる指揮。 この先 ウルバンスキ君のファンがどんどん増えそうで、、 チケット取りにくくなったらどうしよう、、と お気に入りの私は要らぬ心配までしてしまいます。。

指揮する姿の美しさ、 イケメン、 かっこいい、、 という言葉はもう百回くらいSNSで見たので、 私は書きません(笑)、、 その通りでございます。

前回、 ジョージアのトビリシ交響楽団の素朴なカルミナ・ブラーナのことを書きましたけど、 ウルバンスキさんのカルミナ・ブラーナは 人間賛歌 という言葉がぴったりだと思いました。 笑いも涙も、 苦難も歓びも、 愛も恋も酒も欲望も、、 いろいろあるけれど結局のところ素晴らしい! と全身全霊で称え合う歌。。

だから ほんとうに今年の このコロナが日本で静かにおさまりつつあるこの時に演奏できて 本当に良かったと思います。 できることなら何度も何度も聴きたい。。 もしもミューザが土曜日で、 日曜日の晩がサントリーホールだったら、 急遽両方でかけていたかもしれません。 それくらいもう一度聴きたかった。 もう一度演奏すればもっともっとさらに良くなっていった気がするし、 だから毎年聴きたい、なんて思うのです。

今度はいつ ウルバンスキ指揮の東響さんが見られるのかなぁ、、、

歌ありが素晴らしかったので、 ウルバンスキ指揮のロッシーニとかってどんなかしら。。 ジョン・ウィリアムズも楽しそう。。 でも華やかなものよりも 以前にベルリンフィルでウルバンスキ君が振ったモルダウを東響さんの演奏で聴いてみたい。 あるいはシベリウスや。

あ、そうだ。 昨年のインディアナポリス交響楽団へのものだけれど マエストロのX’マス メッセージの映像がありました。 ご自宅なのかしら、、 ピアノを奏でるマエストロの向こう 大きな窓越しに北国らしい寒そうな、 でも美しい海辺の景色が望めます。
Happy Holidays from our Maestro


 ***


12月のノットさんもチケ取ってしまいました。


來1月にも 楽しみな公演があります。。 東響さんではないけれど見たいピアニストさんの来日も。。


このまま

できれば第六波が来ないで欲しいな。。 ずっとこれからもコンサートに行けるように。。 

いざ コンサートホールへ♪: ウルバンスキ指揮 東京交響楽団

2021-11-07 | LIVEにまつわるあれこれ
昨日はミューザ川崎へ。

コロナ禍の世の中になって以来、 通院と日々のお買い物以外で外出したのは 昨年秋のウィーンフィルただ一度。。 しかもウィーンフィルの時は怪我をしていて杖なしには歩けない状態だったので もう決死の覚悟でした 悲愴と言ってもいいくらい。

お洒落してお出掛け… なんて気持ちになれたのはコロナ後初めてです、、 パンプス履いたのも2年ぶりくらいで歩き方もおぼつかない感じでした(笑

でも 嬉しかった~~。 やっとやっと 街の景色を楽しみながら歩けること。 コンサートホールのかがやきに浸れること。 オーケストラの生音に触れられること。 


ウルバンスキさんの指揮は 今回で4度目です。 最初は2016年の東響さんでチャイコ4番、 つづいて2017年 NDRでツァラトゥストラ、 2018年東響とのタコ4番、、 どれも驚きの演奏でした。 

ウルバンスキさんの明解に指示をとばす指揮ぶりが素人の私には心地よかったのと、 いろいろ予習で聴いていったCDなどからは想像もつかない、 いろんな音色を引き出してくれる、 え? これが? という驚きをいつも与えてくれる、 そういう部分にすごく魅かれてウルバンスキさんの来日には毎回行こう、 と思ってきたのでした。 そして今回は…

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ 東京交響楽団
ピアノ:児玉麻里さん

 モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
 ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op.98


ニコ生で中継がされて いまも視聴できるのですよね。 私も明日以降 またおさらいをしてゆっくり視たいと思ってます。 感想はそのあとで、、 もし追加できれば、、 


ブラームスだけに関して言えば、 牧歌的な部分やゆったりとたゆとうような壮大さもあって、 かと思えばストラヴィンスキー? かと思うような煌びやかさも。。 ストラヴィンスキー得意なウルバンスキさんだからかなあ、、 なんてヘンなことを思ったり。。 ウルバンスキさんが前に振ったモルダウが頭をよぎったり。。 やはり予習で聴いていったブラ4番とは違う驚きがたくさんありました。





そしてなんて幸せなことかしら、、 また来週もコンサートホールへ行ける。 夢みたい。。 けど今度は夢じゃない。。

ウルバンスキ指揮の カルミナ・ブラーナ。 こちらのほうが大本命 待ち望んでいました。 どんなカルミナ・ブラーナになるのでしょう、、 想像もつかない。。

いろいろ予習もしましたけれど、 最近視聴したもので とても心に響いたのがこちら⤵  ジョージア(グルジア)のトビリシ交響楽団のもの。 指揮は ヴァフタン・カヒッゼさん(Vakhtang Kakhidze)
https://www.youtube.com/watch?v=fkeC_s70kuQ

カルミナ・ブラーナの歌のもととなったのが修道院で発見された古い詩で、 民衆の風俗 四季や恋や踊りや酒場や 男と乙女の愛の掛け合いの歌や、 そして運命の歯車に翻弄される命、、 そういう土着的な色合いを考えるとなんだかこのトビリシ交響楽団の合唱と演奏がとても私には新鮮でした。

もちろん ウルバンスキさんにこれと同様の解釈を、 なんてことはまったく思いませんけれど、、


ほんとうに来週も楽しみ!

運命の車輪はこの地上に怖ろしい病をもたらして私たちを二年近くも苦しめました。 その力には逆らえず さまざまな困難に耐えて不自由を強いられ我慢を重ねてきましたね。 そうしてようやく 夜があけるようにこの国に光がさしてきて(まだ世界では大変な状況がつづいてますが…) 

ひとびとが やっと集って歌を歌い、 多くの人があつまってその演奏を楽しむことができるようになった喜び。。

今年聴く カルミナ・ブラーナ、  とてもとても楽しみです。


ワレリー・ゲルギエフ指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団@サントリーホール

2020-11-18 | LIVEにまつわるあれこれ
ちゃんとした感想など書けないけれど、 思い出だけ残しておこう…

あの日 新聞を開いたとき、 あの広告欄が輝いて見えました。。 (え!? ウィーンフィル来るの? 来れるの??) (追加公演ですって…!) (チケット買えるかも……)

、、なんだか 大戦中の封鎖された灰色の街にオーケストラが来てくれるような、、 いつかの 「ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番」という番組で観たような 奇跡の演奏会みたいな、、 そんな気持ちで追加公演のチケットを求めました。。

、、だって今年、、 本当に、 ほんとうは、、 ベルリンフィル in Tokyo 2020 を観ることを夢見ていたのだもの、、 ドゥダメル指揮で。。 新宿御苑の一万人コンサートで第九を聴くのを(抽選に当たるかもわからないのに) ずっと楽しみにしていたのだもの。。 その夢も泡と消えて…  、、たくさんの他のコンサートもすべて中止になって、、

11月に楽しみにしていた、 東響さんの公演も 指揮者のノットさんが来日できなくなってしまったし…… 

 ***

ゲルギエフさんの指揮のウィーンフィルを見に行けるなんて、 たぶん一生に一度かぎりのことかもしれないので、 数日前から緊張しっぱなしでしたが、 でも、 (ウィーンフィルだから…)と思って聴くのはよそう、 とだけ決めて、、 サントリーホールの席につき、、

ステージの上にぽつりぽつり 楽器の音を出している楽団員さんを眺めます。。 ハープ、、 第一ヴァイオリンさん、、 木管さん、、 

(・・・ ! ・・・)

音出しのその 音 がすでに違う、、 なに これ…?


この (何これ?) は、そのあとも幾度となく頭をかけめぐりました。。



ドビュッシー:『牧神の午後への前奏曲』
ドビュッシー:交響詩『海』~3つの交響的スケッチ~

ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』(全曲、1910年版)

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ワレリー・ゲルギエフ



「牧神」は 昨年8月、PMFでゲルギエフさんの指揮で一度聴いているのですが 感想を書いてなくて、、 今 過去ログを見たら、 どうも私の具合が悪かったみたいで何も書き残してない。。 おぼろげな記憶を辿って思うに、 PMFの演奏もとても繊細で音楽としてうっとりと楽しめた覚えがあるのだけれど、、 今回は気がつけば終わってしまっていた「牧神」でした、、

なんだろう、、 媚薬の粉がきらきらするようなハープや、 ニンフの歌声のようなフルートや、、 今、 ハープやフルートと書いていますけれど、 何て言ったらいいのかな、、 楽器が奏でられているということに気づかない感じ、、。 楽器など見たことも無い人間が 目の前に不思議な弦とか箱とかを見て、 そしたらそこから えも言われぬ美しい音が出てくる、、 それを初めて目にしたらきっと魔法と思うでしょう。 そんな感じ。

え? え…? と思っているうちに「牧神」は終わってしまい、、 この驚きがますます高まるのが次の「海」

これはもう 「海」という音楽でなくて 「海」でした。 波打ち際の泡、、 波頭できらめく太陽、、 うねり、、 風、、

魔法の箱や 魔法の杖を持った人たちが 腕をさっと動かすと、 そこに水が生まれ、 波がうごき、 泡がきらめく、、 (前にも書きましたが)難聴の私には 音の方位はほんとうなら存在しないはずなのに、 音の場が見える、、 こちらに泡、、 あそこに波、、 まばゆい光、、 

前回、 これはもう 音 ではなく、 美 なのだな、、 と書きました。 この世界の美しい自然が奇跡であるように、 美そのものが眼前にあらわれている奇跡。

ヴァイオリンも、 金管も、 打楽器も、、 みんな見知っている楽器なのにどれも初めて耳にするもののように 心が驚く。 金管楽器からは自然の光がこぼれているようだったし… 打楽器はまるで金でできたシャボン玉がパンと目の前で弾けるみたいな… 、、音を聴いている という感覚じゃないの。 そこ、 ここ、、 と音の場に魔法がつぎつぎあらわれるみたい。 そしてクライマックスになると全体の映像と色彩がすべてひとつになって、、 マスクをしたまま(たぶんぽかんと口を開けたまま) 涙がこぼれてきました。

休憩時間になっても動けない…  (凄いねぇ… ほんとにすごいんだね…) って、 そんな言葉しか出てこない、、

今回、 別プログラムがチャイコフスキーの「悲愴」で、 そちらも聴いてみたかったと最初思いましたが、 「牧神」「海」 そして「火の鳥」、、 まさに夢幻の世界。 魔法の世界に浸っているようでした。

「火の鳥」の大団円の飛翔、、 音が大きいのにすべてがクリアで、 重なり合うパーカッション陣も コンマ何秒まで一致しているみたいで、、 (でも正直そんなことよりも) ただただ幸せで、、 (もしどこかに天国があるとしても 天国なんか行かなくてもいい… わたしここにいる… このままずっとここにいたい…) って思っていました。 

病に息をつめた日々の中で、 すばらしい魔法で「火の鳥」を見せてくれたオーケストラ…

感謝と、、 感動と、、 


でも、

ほんとうに驚いたのは、 そのあとだったのです。


アンコールの 「皇帝円舞曲」 ヨハン・シュトラウス二世。 まさに (何これ~~~~) !!! 
ここまででも十分驚きの連続だったのに、、 (こ、これがウィーンフィルだったのかぁ…) と。。 すべての演奏者が揃った時のなんという精度。 なんと華やかな音色。。 この瞬間、 サントリーホールは楽友協会。 弦を操る楽団員さんたち、 みなさんすごく楽しそうに身体を大きくうねらせて、、

このときばかりは 指揮のゲルギエフさんが目に入ってきません。。 毎年のお正月にTV越しにうっとりとこれを聴いていたのに、、 今聴いている これは現実? 夢?  、、観衆みんながそう驚いて 感激しているのを 楽団員さんたちは知ってて愉快に思っているかのように、 ほんとに楽しそうに弾いていらっしゃいました。

このオーケストラのもっとも得意な、 もっとも熟練した、 その演奏というのは もう別次元のものなんだなぁ… とただただ驚き。。 ほんとうに幸せなワルツでした。 


 ***

ウィーンフィルの皆さんは最終日の公演の後すぐに帰国されて、 でもウィーンではロックダウンが続いていて、 帰ってからも演奏の叶わない日々が続き、、 でも 来年のニューイヤーコンサートはやるつもりでいるとのこと。。 絶対にやって欲しい。 お客さんのすべてが二週間の自粛期間をとったとしても、 全員の検査をしてでも、 それでも開催して欲しい。 世界中に待っている人たちがいると思うし。。

レポート >>https://ontomo-mag.com/article/report/after-wphweek2020/

       https://ebravo.jp/archives/69626


今回の来日のインタビューではないのですが、 和樹さん、 直樹さんのヘーデンボルク兄弟のインタビュー記事をみつけました。 「辛いときに聴く音楽」のお話。。 このインタビューを受けたときには、 二年後の世界がこんなコロナ禍で 世界中のひとびとが長くつらい時間を耐えていかなければならなくなるなんて、 誰も思いもしなかったでしょうけれど、、

 文春オンライン >>https://bunshun.jp/articles/-/9402

インタビューの中で 「舞踏会の音楽」について、、 長い冬、 死の季節を乗り越えるための… という部分があって、 成程と思いました。 今回のアンコールの あの胸躍るシュトラウスのワルツ、、 それをコロナ禍の今、 過酷な行程を経て来日して下さったウィーンフィルで聴けたこと、、


このつらい季節を乗り越えて、 来年またニューイヤーコンサートで聴けますように。。


あの 魔法のような、 目の前に音の光景がまざまざと浮かび上がる歓び、、 それは 録音とか配信では同じように体感できるものでは決してないから、、 だから 再び 必ず、、 またいろんな演奏会がたくさんの人の前で行なえる世の中になって欲しい、、 なるはずだと信じてる。。


そのために また耐えていこうと思う。


音は消せても、 美はけっして消せないから。。


永遠に消えないから。。





観客のいないコンサート

2020-03-09 | LIVEにまつわるあれこれ
昨日 行くはずだった 東京交響楽団 名曲全集第155回@ミューザ川崎シンフォニーホール は、 新型肺炎の影響で中止になり、、 でも 【観客のいない音楽会】として 同じ会場、定刻からの生演奏を中継してくださいました。

https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324588340

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調  
アンコール: ドビュッシー「月の光」
 ピアノ 黒沼香恋さん

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
 パイプオルガン 大木麻理さん
指揮:大友直人さん

PCを 外部スピーカーに繋いで視聴しました。 
ミューザのパイプオルガンを生で聴きたくてこのプログラムを選んだので、 それが聴けないと思うと 配信の音質では… となんとも残念に思っていましたが、 とても感動的な演奏会でした。

牧神のハープに始まり、 東響オケの木管さんの瑞々しい音色、、
ラヴェルの黒沼さんの 柔らかでしなやかでリズミカルなピアノ.。 誰もいない客席に笑顔で挨拶される姿に胸打たれました。。

休憩中、、 事前にお友だちに中継のことを知らせておいたので 見てくれていたらしく、 「すごく良かったね~」とLINEが入って、、 
後半のサン=サーンスは迫力。。 パイプオルガンの音色が会場の空気を震わす体験を あの会場で味わえなかったのはそれは残念だったけれど、 オルガンさんの演奏の姿も、 楽団員さんそれぞれの姿も ちゃんと演奏に合わせてカメラアングルしてくださっていて、 奏者さんの表情を観る楽しみも味わえました。 ティンパニーさんも、 ホルンさんも、 東京交響楽団さんの演奏はいつも新鮮な感動があります。

終わった時、 ブラヴォーの声は聞こえなかったけれど、 大友さんはじめ楽団員さんが手を振ってくださって涙出そうでした。。 LINEのお友だちも「手を振り返しました~」って。
、、 ほかの音楽サークル仲間の方たちにもお知らせしてくれたそうで、 みんなでLINE盛り上がっていたそうです。

ずっと 心配なニュースや、 日常の不便なこととか、 心が硬くちぢこまったみたいになっていたので、 今日のプログラムが 乾いた土に水が染み渡るように優しく聴こえました。 それがとても嬉しかったです。


 ***

ライヴ会場での感染がたくさん報道されていて、、 確かにあの空間が感染リスクが大きいことはわかるし、 今の状況では兎に角、 極力 人の移動や接触を遮断するしか方法は無いので、 経済的な損失を先に考えている場合ではないし。。 対策が遅れれば遅れるほど 余計に損害は長引いて影響が深くなるのは判りきっているのだから、、 今は皆が行動に責任を持つべき時…


基礎疾患しっかりある私、、 そろそろ手持ちの薬が残り少なくなってきたのだけど、、 できたらまだ病院には行きたくないな~、、 (困ってます…)

先月、 発熱した時に パルスオキシメーター買いました。 肺炎症状が出てきたらほんとに病院行かなくては、、と思って…



幸い、 酸素飽和度はずっと正常値のままです。 ただし…(笑) 不整脈発作がこんなにひどいとは思わなかった… (焦…) 心拍数100越えでアラーム鳴ること頻発、、 やば…

新型肺炎も心配しなくちゃいけないけど、、 もう少し収まったら ちゃんと心電図とりに行かねばならない、、 これは怪我の功名とか言うんだろうか……


今度はいつ コンサートに行けるのかな…


イタリアも フランスも 心配です。。 

大阪フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール

2020-01-22 | LIVEにまつわるあれこれ
昨夜は大阪フィルハーモニー交響楽団さんの 第52回東京定期演奏会に行って来ました。 私、大阪フィルさんは初めてです。
(いつものように クラシック初心者&片耳難聴者の私的な鑑賞記です♪)




今回は曲目で選びました。
エルガーのチェロ協奏曲は こちらのウルバンスキ君指揮のCDでほんとよく聴いている好きな曲なので、 このチェロ曲を生で聴いてみたくて…
Elgar Cello Concerto Zuill Bailey (apple music)

昨夜の奏者、 スティーヴン・イッサーリスさんのチェロ演奏をすごくすごく楽しみにしていて、 以前別のかたのチェロ演奏… ラ・フォル・ジュルネだったかな? あのときのチェロが国際フォーラムの少し遠い席で あまり聞こえがよくなかったので、 今度こそは… と思って できるだけチェロに近い席に、、 と。。

、、 でも でも、、 あぁ クラシックコンサートの座席って難しい… 
確かに イッサーリスさんの繊細なチェロのガット弦と弓とが生み出すかすかな音色、、 指使いやピッチカートの響きまで、 すごく楽しむことが出来た席でした、、 だけど サントリーホールのステージって結構狭いのでしょうか、、 ヴァイオリンのかたの椅子はステージの前面すれすれに左右いっぱいに並んで、 客席も横幅いっぱいにステージと並行にならんでいるので 中央部以外の列だと ヴァイオリンさんなどの自分の前方の奏者の音が結構強く聞こえてしまう、、 (特にわたしには…)

サントリーホールって ヴィンヤード(葡萄棚)形状のホールだと思っていましたけど、 そういえば一階S席の並びはほぼ横一直線で ステージよりもかなり低い位置にあるのでしたね、、 いつもバルコニー席ばかりだったので、 今回初めてS席前方を経験したのです。。

オーケストラの演奏が加わると、 イッサーリスさんの柔らかなチェロの響きがオケの弦楽器に埋もれてしまう、、 もっと後ろのほうの席にすれば良かったのかなぁ、、 少なくともステージよりも少し高くなる座席の位置、、 10列以降くらい? 席選びって難しいですね。。

イッサーリスさんがアンコールで弾いた カザルス(ビーミッシュ編)「鳥の歌」 は素晴らしかったです。 静かに繊細に… いつまでもいつまでも聴いていたい音色。。 
エルガーも、 アンコールも、 あっという間に終わってしまった感じがして もっとイッサーリスさんのチェロに浸っていたかったなぁ…

休憩後のブルックナー3番。 
この曲は ARTEコンサートか何かをネットで見ていた時に、 フィンランドの指揮者 Jukka-Pekka Sarasteさんの指揮で聴いたのがとても印象に残って、 それでブルックナー3番聴いてみたい~~ ということで今回の演奏会さがしたのでした。

ユッカ=ペッカさんので聴いた時には なんというか重々しい印象が強かったのでしたが、 大阪フィルさんのは(もちろん座席の関係もあって) ものすごくパワフル。 弦楽器の圧もすごいし、 その向こうからトランペットの管楽器が強く強くまっすぐに響いてきて、、

ほんと席位置の重要さを感じてしまった今回でした。。 もちろん 指揮者さんよりも1階席は後ろにあるわけなんですが、 管楽器の直接音が耳に痛いほどで、 その代わり弦楽器にはばまれて木管とかはすごく抑えられた感じになってしまって、、 それからステージより低い位置にいるためか、 ティンパニーさんの雷鳴のような連打も バルコニー席で聴くような湧き上がってくるような響きには聞こえない。。 あのトランペットさんらと正面に向き合う形の指揮者さんには 全体の音がどういう風に聞こえているのだろう…と すごくそういう所が気になってしまった今回でした。 一階前方席すこし片側寄り、、という座席からすると オケの全体像が完全にはわからずに、 音色も(反響音のない直線的に聞こえる)硬質な響きに感じられて、 せっかくの大阪フィルさんを聴く機会だったのに、 うまく全体像がつかめないものとなってしまいました… (なんにも感想にならずゴメンなさい!)

第四楽章の管楽器など すごい迫力だったので、 あれをもう少し後方席か、 バルコニー席で全体的な音を聴いてみたかったです。 良い演奏だったのはまちがいないと思います。

 ***

新年にみなとみらいホールで聴いたニューイヤーコンサートが、 3階席だったにもかかわらず 全体にとても柔らかな響きで、 確かに音圧・音量という点では若干小さ目にはなるけれど、 でもオーケストラを聴くには少し離れた 上のほうからの位置のほうがいいのかなぁ… と、 今回はすごくいろいろ考えさせられたコンサートでした。 ほんと座席の位置って難しい…

ステージ後方の(一番安い)P席で聴いた サイトウキネンも、 ゲルギエフさん指揮のPMFも、 それぞれの楽器の聞こえ方とか気になる感じはほとんどなく楽しめたんだけどなぁ、、、 ひとつ考えられるのは 楽器よりも低い位置では聞かない方がいいということなのかもね… 

う~む、 でも それぞれのホールの特性とか 座席の位置の聞こえ方とか、、 奥が深い。 また絶対 通ってしまいそう… サントリーホールも、 ミューザも、、

そして ブルックナーは結構 自分は好きだと気づいたので また他の交響曲も聴きに行こうと思ったのでした。

ちなみに、 ユッカ=ペッカ・サラステさんは ご自身のオフィシャル youtube チャンネルを持っていらして 何曲もコンサート映像が載っているのをさきほど発見しました(嬉♪) お得意のシベリウスも聴けます。
ブルックナー3番はこちら⤵
Bruckner: Symphony No. 3 - Jukka-Pekka Saraste & WDR Symphony Orchestra


あと、、 昨日ちょっと思ったのは… 
演奏が終わったときの拍手が、 最近わりと早くなっていませんか…? 昨夜もけっこう演奏が鳴り終わった瞬間にすぐ拍手が来たような気がして、、 

個人的には演奏が止んで、 指揮者さんが動きをとめたあとゆっくりと姿勢を下ろして、、 そのあとの静寂を一呼吸(ひと呼吸って、 息を吸ってーーー吐いてーーくらいの時間のことよ)おいてから、 拍手がじわーっと湧き上がってくるほうが好きなんですけど。。 

終演後の静寂も  音楽だと思うから…