星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

写真家。

2002-06-23 | アートにまつわるあれこれ
 絵も好きだけれど、写真を見るのも好き。今朝の日曜美術館、メインのヌスバウムも素晴らしかったけど、京都(だったかな?)でサラ・ムーンも写真展をしているそうで、こっちでもまたやらないかな、、と。

 昼間、ふらっと入った本屋さんで買ったのが、ハービー山口さんの『女王陛下のロンドン』。ハービーさんは、ミュージシャンの写真で有名な方だと思っていて、頁をめくったらジョー・ストラマーや、ジョニー・ロットンがとても素敵に写っていた。ハービーさんの写真は優しい。ボーイ・ジョージやD・シルヴィアンや美しい男の人が好きなのかもしれない。
 とても有名な人だと思っていたから、このエッセイで「人生の要領が悪い僕は・・」と、無名時代のことに触れているのを読んで、そうだったのか、と。。ハービーさんがエルスケンの事を書いていたのも何か嬉しかった。
 エルスケンを知ったのは93年のBunkamuraでの回顧展。当時まだ東京に住んでいなくて、用事で上京するたびに何か展覧会を観るのが楽しみで、エルスケンは確か写真展のポスターだけ見て何も知らずに出掛けたんだっけ。。その時のカタログをめくる。サンジェルマン・デ・プレやアムステルダムの、パブで酔いつぶれる男や、娼婦が写っているけど、みんな決して美しい姿をしているわけでもないのに、どこか自分の人生をちゃんと受け入れてる顔をしているのが素敵で。象を追いかけ続けて疲れて死んだ男とか、、なんか納得した顔をしているし・・エルスケンが人間をとても愛してるように見えたし、愛してる、と思った人間を撮ったのだと思った。

 ・・私は、人間を愛しているかと聞かれたら、自分しか愛していないとも思えるし、誰かを死にそうな位愛しているかもしれない、とも思える。それすら身勝手だと思うから、ハービーさんやエルスケンのような優しい写真を見たいと思うのかもしれない。

日曜の朝。

2002-01-14 | アートにまつわるあれこれ
 日曜の朝は、ゆっくり眠っていたいのはもちろんだけれど、できれば朝寝坊はしたくない。年末に珈琲豆を送って貰ったので、それをガリガリ挽いて珈琲を入れて、机に向かって新聞の束を広げる。1週間分の記事の中から気になる記事や気になる本をジャキジャキと。それをしないと新聞を捨てられない。昨年末からの忙しさやら、寝込んでしまったことやらで、新聞がもっと溜まって部屋は「片付けられない女」って私のことかしら、っていう状態。。。

でもね、珈琲飲みながら、たまに窓一面の青空なんか見上げつつ、ジャキジャキやるのは至福のひとときなの。それで日曜美術館を見る。これが一番嬉しい日曜の朝。

 今朝はずいぶん古い新聞までおさらいしてしまったけど、アフガンのメリーゴーランドの写真に目が釘付けになった。大見出ししか見ない日もあって見落としていた写真。
褐色の泥と石の地面に、切り出しただけの木の支柱を立てて、東屋つくるみたいに、というか蝙蝠傘の骨のように横木を張って青いシートを被せ、そこにワイヤーで小さな木馬をぶら下げただけの・・・これが回転するのか、もししたとしても危険きわまりないメリーゴーランドに、子供たちは曲芸乗りのような格好で逆さまになってぶらさがっている。その嬌声が聞こえてきそうな写真。ありったけの物資で作ったこの急ごしらえのメリーゴーランドに、子供たちはどんなに喜んだことか。

 そしてもうひとつは今では「爆心地」と呼ばれることもある無人となった現場の写真。

余りに高すぎて先端が見えないくらい高いビル・・回転木馬を作ったのも人。崩れ去った塔を作ったのも人。破壊したのも。
 でも、曲乗りをしている子供がこのあと落っこちて怪我しなかったか心配。
ぜったいするだろうな、これは。でも怪我してもまた、乗るんだろうな。

メープルソープの眼。

2001-11-07 | アートにまつわるあれこれ
ついこの前までそんなことはなかったのに、夜のキャンパスは急に冷え込むようになりました。廊下に落葉が吹き込んでいたりして、少し淋しげ。今夜はとりわけ風が強くてコートの前を合わせて思わず足早になるのですが、濃紺色の闇の中で、樹々が海嘯のようにざわめくのを聴くのは好きです。

メープルソープの伝記を読みました。彼自身の生の記録でもありますが、70~80年代のNYにひしめきあっていたアーティスト群像の興味深い記録でもあります。パティ・スミスの1stのジャケットは、女性アーティストとして可愛らしくもないし、ぼさぼさの髪にうっすらと髭まで見えて、レコード会社は写真の修正を考えたとか・・・。でも、もしあの写真でなかったら、たぶん12(13?)歳の私はパティ・スミスに魅了されることはなかったでしょう。たった1枚の写真に惹きつけられ、それでたどっていったら確かに自分が求めていたものだったという直感が働くことは・・・そうですね、あるのですよね。


オノ・ヨ-コさんのFREIGHT TRAIN

2001-09-23 | アートにまつわるあれこれ
夕方、横浜へ出掛け、赤レンガ倉庫のある公園でオノ・ヨーコさんの作品を見てきました。ドイツの貨物車両を使用した作品で、銃で撃ち抜かれた車両のたくさんの穴から、夜空の星のように光が漏れていました。そして内部から聞こえて来るのは人々の悲鳴のようでもあり、祈りの声のようでもあり・・

 今日はことのほか空気が澄んでいて、暮れていく赤レンガ倉庫の上の藍色の空に、美しい三日月がかかっていました。夕暮れと共に若い人たちがどんどんヨ-コさんの作品を見る為に集まって来ていました。作品を見て、何ができるのでもない、何が変わるのでもない、けれども銃痕から漏れる過去の痛ましい記憶を、今、NYを思い、現在の、現実の、自分の痛みとして沈黙しながら貨車を見つめるたくさんの人たち。

 今年ほど、あなたに会えて良かった、あなたに会いたい、話したい、話せて良かった、あなたが元気で良かった・・とたくさんの人に呼び掛けた年はかつて無かったと思います。「偶然は神様が決めた必然」と私に語ってくれた人・・私は、にわかにはその言葉を実感できなかったけれど、たくさんの素晴らしい偶然に出会うたび、いつもあなたに会えて良かった、といろんな人に感謝したくなるのです。今日も素敵な偶然に出会えたから。そうしてきっときっといつかみんなが、会いたい人に会えますように。。。