星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

the end of the world

2005-04-12 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
昨日の日記がまるで読まれたかのように、
BXから夜、メールが届いていた。
 [ Last night at CBGB was only the beginning. ]ですって(笑)

 ***

CBGBがなかなか繋がらないので読みたかった本が読めてしまった。
デイヴィッド・アーモンド著 『火を喰う者たち』。
前にも書いたとおり、やはり主人公は少年だった。イギリス北部の寂れた町に暮らす、中学生になったばかりの男の子。時代は1962年秋。TVがキューバ危機のニュースを伝えている。

キューバ危機の年。ウチでは兄貴が赤ん坊。私はまだ生まれてない。
読みながら少し不思議に思ったのは、、登場人物(英国の人たち)に、戦争の記憶がとても強いこと。
第2次大戦に出征したお父さんと、その友人、戦争の後、おかしくなってしまったらしい「火喰い男」、、、彼らの間で、「また戦争がはじまるのか・・・」という不安が募る。
'62年の日本、、、高度成長の真っ只中で、、父親たちがそんな風に戦争の恐怖に脅えていたのかどうか、、、。原爆を体験した国民でも、、日本人は忘れる事が得意なのかな。。父がいないから、キューバ危機の時、何していたか聞く事も出来ないな。。

アーモンドの作品、この前に読んだ『肩胛骨は翼のなごり』でもそうだったな、と感じたのは、不可思議で恐ろしい「異質な者」と、守られなければ存在できない「最もか弱い者」の両方が登場すること。前者は、翼を持つ男だったし、今度は火喰い男。後者は、心臓の病気を持つ赤ちゃんで、今度のでは、、仔鹿かな、、。子供の眼を通して、不可解で恐ろしい存在と、か弱い命の両方が、自分と分け隔てのないたいせつな命、として描かれる。

それにしても・・・。世界が最後の戦争を始めるかも知れない時に、
  「もしどうしてもだれかを召さなくてはならないとしたら、このぼくを」
と祈れる少年の美しさが、いまの、日本の私たちは理解できるといえるだろうか、、、。自分の恋人や、子供の為にだったら、「自分を身代わりに…」と言うだろう、、けど、、「すべての生き物」のために祈れるかな、、、。祈れるようでありたいな。。たとえ救い主などいなくとも。。

でもこの物語は、キューバ危機にまつわる重い話だけではないです。
映画『リトル・ダンサー』も、英国の炭鉱町の物語だったけど、あの時の父ちゃんと同じ、不屈の魂を持った父さんと、、それから、これはちょっと出来すぎとも言える位の、素敵な母さん。いつも歌を歌い、周りを愛で一杯にする「天使」。
こんな素敵な母さん、、、映画にするなら誰?、、と考えたけどわからない。。でも、、今の私は・・・英国人じゃないけど、コートニー・ラブをちょっと想像してる、、、。このところさんざん書いてきたR.E.M.のことも、<世界の終末>も、<火喰い男>も、コートニーも、みんな繋がっている世界だと感じてるから、、、それはまた。。
父さんは、、誰? ロバート・カーライルじゃ細すぎ。。彼には「火喰い男」をやってもらおうか。

・・・かつて、吉井さんが「外国で飛行機が落ちました、、、僕は何をおもえばいいんだろ」と歌った気持ち・・・見知らぬ他者や、遠い世界と、自分とが等価になること、、、それが、愛することだし、人間としての成長だと思うしね。。そんな世界観が好きです。

同じくキューバ危機を描いた映画『13デイズ』
あのラストで、ケヴィン・コスナーが言った台詞が忘れられないんだ。。「人間と悪魔を分けるものは、○○だ」と。。確か、、、そう言ったと思う。あの映画もまた見たいな。JFケネディを演じた俳優さん、見事でした。

デイヴィッド・アーモンド著 『火を喰う者たち』
『肩胛骨は翼のなごり』
映画『13デイズ』(DVD)
映画『リトル・ダンサー』(DVD)