星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

病院で出会った、、 ともだち。

2007-10-03 | …まつわる日もいろいろ
先日 読んだ本、、
アメリカ大陸を 列車で横断する物語だったのですが
そのなかで
列車の旅で出会う人は 飛行機の旅などとは違い、
短期間であるにもかかわらず、 まるでそのひとの人生まるごと知り合ってしまうような
密度の濃いふれあいがある、、 というようなことが書かれていました。

特急列車、 寝台列車なんかでも、 日本では
殆ど見知らぬ人とは言葉を交わすことがないように思っていたので、
ここを読んだ時には、、 (これはアメリカだからかなあ、、) と思ってました。

でも、、 もしかしたら、、 この列車に近い状況が、 日本にもある、、と気づきました。
それは、 「病院」の中の話。

いままでに 9度も入院をした私でも、 それぞれのなかで出会った人のことはなかなか忘れない。
長くてひと月か、ひと月半、、 短い人で数日、、 たったそれだけの出会いでも
生涯わすれないだろうと思う人は たくさんいます。
悲しくてここでは話せない記憶の中の人も たくさんいます、、 けど、

きっと 今も どこかで、 病気をかかえながら、 病気とともに暮らし続けているんだろうなあ
と思うと、 その方たちがかけがえのない知り合い、 同志みたいな気がして来ます。

 ***

術後、数週間のころ、 
ようやくとぼとぼロビーまで歩けるようになった私が、 ソファでメールを打っていると
向かいに坐っていたおじさんが、
「オレもあんたくらいの娘がいてなぁ、そうやってメール打ってるんだ」 と話し掛けてきました。
「ほんと? おじさんお幾つ?」と尋ねたら、 「60」とかそんな答えだったから、
その娘さんは私よりも随分若いのかもしれないけど(笑)、、

それをきっかけに、 おじさんはしばしば私に声を掛けてきました。
でも、おじさん、、 ある日、 浮かない表情で、
「切らなきゃいけない、ってさ。 ここ(胸)切るんだぜ」、、とせつなそうに言うのです。
私は、ぐいっとパジャマの襟元を下げて、
「わたしもう やっちゃったよ!」 ところころ笑ってみせました。
  (同じ病棟なんだもの、ね・笑)
おじさんは いまさらながら驚いたみたいに、「あんたも心臓かい?」って。。

お話きいてみると、おじさんは冠動脈のバイパス手術のよう。
「大丈夫だって! ○○先生にお任せすれば絶対だいじょうぶだって」と、私は言い、
「、、でもじつはね、わたしもそう他の患者さんに言われたの、 ○○先生だから大丈夫!って」
そう話しました。
、、、 これは本当のことなの。 実は執刀の先生はべつだったけど、 冠動脈の先生も
きっと優秀だと思ったから、、。

おじさんの手術の前日にも、 たくさん言葉を交わしたけど、
嬉しかったのは、 じゃあね、って部屋へ戻ろうとした時、 おじさんが
「もう友だちだな」 って言ってくれたこと。。  娘から、 友だちになったの、私。

 ***

先月 会ったお友だちが、
仕事の制服の胸に ピンクリボンをつけてました。 いまも治療中の彼女。

みんな、 生きていくんだよね、 いつまでつづくかわからない闘いのときをね。

いっしょだよ、、 って。 ピンクの撫子。