『エドガー・ソーテル物語』(デイヴィッド・ロブレスキー著/金原瑞人訳 NHK出版・2011年)
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長い長い物語です。 写真で分厚さがちょっと伝わるといいんだけど…
上下巻でなく こんなぶ厚い物語を読んだのは、 小3の時の 完訳の『宝島』以来ではないだろか、、 子供心にこんな厚い本が読めるわけない、、と思ったものです。。 まるで辞典。
『宝島』を想い出したのは 本の厚さばかりじゃなくて、 内容も 少年が長い夏休みに読むのにちょうどいいと感じたりしたからかもしれない。
例えば、、 田舎に伯父さんとか、 お祖父さんとか親戚があって、 農家とか酪農とかやっていて、 そこに1,2週間遊びに行く、、 親と一緒じゃなくて一人で。 おじさんたちは仕事があるから たまにそれを手伝ったり眺めたり、、 でも 放っておかれる時間もあって、、 ひとりで農機具小屋を探検してみたり、、 近くの森や川まで行ってみたり。。。 今どき、 どれだけの子供がそんな経験ができるかわからないけれど、、 そんな時間の中でたった1冊だけ持っていくのに最高の本、、 と思いました。 13,4歳以上なら読めるかな、、
↑の 田舎の体験は、 まさに私自身の子供時代の思い出なのだけど、、 この本を読みながら、 ずっとそんな田舎の光とか 風とか 動物の匂いとか 未知の土地の広大さとか、、 いろんなことを想い出しました。 ひと夏で ひまわりみたいにぐんと成長してしまうんだけど、、 でも、 知らない世界を知ることは、 悲しみや 不条理を知ることでもある。。
***
本の扉に 紹介文が載っているのですが(Amazonなどにも同じ文が載っていますが)、、 むしろあれは読まない方がいいような気がします。 前もってわかってるのは最小限の方がいいと思うな。
米ウィスコンシン州の農場で ソーテル犬と呼ばれる大型犬(どちらかと言うと大型だと思う)を代々育てている家の物語で、 その家の夫婦の子としてエドガーが生まれる。 でもエドガーは生まれつき声を発することが出来ない。 耳は聴こえるけれど、、
そのエドガーの成長と 犬たちとの日々、、 そしてこの家をめぐる大人たちとの物語、、
物語の展開として、、 とある有名な古典作品が下敷きになっていて、、 途中でそのことに気づいてしまうと 悲しいかなストーリー展開がなんとなくわかってしまう。。 (…てことは 結末もこうなっていくのかも…)と想像してしまい、、 その古典作品なんか知らなかったら良かったのに、、と思いました。 そこは残念だったけど、、
でも、、 とにかく犬たちの描写力は素晴らしいです。 犬の不思議な動きとか、 人間に対する反応とか、 触れた時の体温とかまで、 じかに触っているみたい。 それがとってもわくわくもするし、、 ある時はもういたたまれなくなるし。。
ところどころ犬の視点で書かれる章もあって、、 犬が状況を感じ取り、 のみ込もうとしているときの、 混乱したり 何かを悟ったりするそういう気持ちが痛いほど伝わってくる。 犬とちょっとでも触れあった人ならわかるでしょうけれど、 犬たちはほんと一生懸命なのですよね、、 うまく理解できてなくてもとにかく必死で何かをしようとする。。
それに比べて、、 人間というもののわからなさ。
少年エドガーが成長していく過程で、 両親に守られて何も不安なく暮らせていた幼年時代から、 外の世界や他人と向き合わなければならない時がやってくる。 普通なら、 長い子供時代を経て、 大学とか行って外の世界へ一歩踏み出し、 そうやって世界をだんだん学んでいくものだけれど、 そうではない場合もある。 突然として大人の世界と向き合わなくてはならなくなる子供もいる。
***
とっても長い物語で、 このソーテル家の歴史や、 犬たちのこともすご~く詳しく書いてあるのだけれど、 人事のなりゆきに関してはちゃんと説明してくれない部分が多く、 関わってくる人についても いったいどんな人なんだろうとか、 どこで何やってきた人なんだろうとか、、 あの後あの人はどうなったんだろうとか、、 ミステリアスな部分が多いのも面白いです。
物語の後半は、 さながらサスペンスの味わいもあるし。
内容は全く違うけれども、 大自然と関係していく少年(青年)の成長物語という面では、 映画化もされた ジョン・クラカワーの『荒野へ』とも 少~しつながる部分もあるように思います。 どうやら ハリウッドの映画化の話もあるそうで、、 なるほどそうでしょう。 でもね、 あの犬の言葉で描かれているくだりは ぜひとも文章で味わって欲しいです。 たまらない気持ちになります。 翻訳も見事だと思います。
途中で別れた犬たちや、、 ラストでの犬たちのことが、、 いつまでも いつまでも 心に残る物語です。
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長い長い物語です。 写真で分厚さがちょっと伝わるといいんだけど…
上下巻でなく こんなぶ厚い物語を読んだのは、 小3の時の 完訳の『宝島』以来ではないだろか、、 子供心にこんな厚い本が読めるわけない、、と思ったものです。。 まるで辞典。
『宝島』を想い出したのは 本の厚さばかりじゃなくて、 内容も 少年が長い夏休みに読むのにちょうどいいと感じたりしたからかもしれない。
例えば、、 田舎に伯父さんとか、 お祖父さんとか親戚があって、 農家とか酪農とかやっていて、 そこに1,2週間遊びに行く、、 親と一緒じゃなくて一人で。 おじさんたちは仕事があるから たまにそれを手伝ったり眺めたり、、 でも 放っておかれる時間もあって、、 ひとりで農機具小屋を探検してみたり、、 近くの森や川まで行ってみたり。。。 今どき、 どれだけの子供がそんな経験ができるかわからないけれど、、 そんな時間の中でたった1冊だけ持っていくのに最高の本、、 と思いました。 13,4歳以上なら読めるかな、、
↑の 田舎の体験は、 まさに私自身の子供時代の思い出なのだけど、、 この本を読みながら、 ずっとそんな田舎の光とか 風とか 動物の匂いとか 未知の土地の広大さとか、、 いろんなことを想い出しました。 ひと夏で ひまわりみたいにぐんと成長してしまうんだけど、、 でも、 知らない世界を知ることは、 悲しみや 不条理を知ることでもある。。
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本の扉に 紹介文が載っているのですが(Amazonなどにも同じ文が載っていますが)、、 むしろあれは読まない方がいいような気がします。 前もってわかってるのは最小限の方がいいと思うな。
米ウィスコンシン州の農場で ソーテル犬と呼ばれる大型犬(どちらかと言うと大型だと思う)を代々育てている家の物語で、 その家の夫婦の子としてエドガーが生まれる。 でもエドガーは生まれつき声を発することが出来ない。 耳は聴こえるけれど、、
そのエドガーの成長と 犬たちとの日々、、 そしてこの家をめぐる大人たちとの物語、、
物語の展開として、、 とある有名な古典作品が下敷きになっていて、、 途中でそのことに気づいてしまうと 悲しいかなストーリー展開がなんとなくわかってしまう。。 (…てことは 結末もこうなっていくのかも…)と想像してしまい、、 その古典作品なんか知らなかったら良かったのに、、と思いました。 そこは残念だったけど、、
でも、、 とにかく犬たちの描写力は素晴らしいです。 犬の不思議な動きとか、 人間に対する反応とか、 触れた時の体温とかまで、 じかに触っているみたい。 それがとってもわくわくもするし、、 ある時はもういたたまれなくなるし。。
ところどころ犬の視点で書かれる章もあって、、 犬が状況を感じ取り、 のみ込もうとしているときの、 混乱したり 何かを悟ったりするそういう気持ちが痛いほど伝わってくる。 犬とちょっとでも触れあった人ならわかるでしょうけれど、 犬たちはほんと一生懸命なのですよね、、 うまく理解できてなくてもとにかく必死で何かをしようとする。。
それに比べて、、 人間というもののわからなさ。
少年エドガーが成長していく過程で、 両親に守られて何も不安なく暮らせていた幼年時代から、 外の世界や他人と向き合わなければならない時がやってくる。 普通なら、 長い子供時代を経て、 大学とか行って外の世界へ一歩踏み出し、 そうやって世界をだんだん学んでいくものだけれど、 そうではない場合もある。 突然として大人の世界と向き合わなくてはならなくなる子供もいる。
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とっても長い物語で、 このソーテル家の歴史や、 犬たちのこともすご~く詳しく書いてあるのだけれど、 人事のなりゆきに関してはちゃんと説明してくれない部分が多く、 関わってくる人についても いったいどんな人なんだろうとか、 どこで何やってきた人なんだろうとか、、 あの後あの人はどうなったんだろうとか、、 ミステリアスな部分が多いのも面白いです。
物語の後半は、 さながらサスペンスの味わいもあるし。
内容は全く違うけれども、 大自然と関係していく少年(青年)の成長物語という面では、 映画化もされた ジョン・クラカワーの『荒野へ』とも 少~しつながる部分もあるように思います。 どうやら ハリウッドの映画化の話もあるそうで、、 なるほどそうでしょう。 でもね、 あの犬の言葉で描かれているくだりは ぜひとも文章で味わって欲しいです。 たまらない気持ちになります。 翻訳も見事だと思います。
途中で別れた犬たちや、、 ラストでの犬たちのことが、、 いつまでも いつまでも 心に残る物語です。