星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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林檎ものがたり

2012-12-02 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
今年もまた 玄関のUMAくんがクリスマス仕様になる季節となりました。 後ろの橇には、 こないだ故郷からとどいた林檎をのっけてみました。 かぼちゃの馬車ならぬ、 林檎の馬車です。

故郷の家から歩いて5分ほどの ○○さんのお家の果樹園でとれた林檎。 私が子供の頃には、 まだりんご園や、 ぶどう園や、 キャベツ畑などもそこかしこに残っていましたが、 すっかり住宅地に変わって、、 でも 今でもあのりんご園で育った まっかな林檎ちゃんたちを手にすることが出来るのはほんとに嬉しいことです。

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林檎といえば、、 今まで 島崎藤村の「初恋」の詩や、 『若草物語』のジョーのことなど、 ここに書いたけれど、、

林檎のものがたり、 と言えば 忘れられない1970年代の田淵由美子さんの漫画。



おおやちきさんの漫画のことは前に書きましたが、 ちき様のマンガは芸術品であったのに対して、 田淵さんのマンガは どれも胸がキュンとなる やさしくて せつない 青春の一ページという感じ。 時代で言えば かぐや姫なんかのフォーク全盛期で、 まだ小学生だった自分は意味もよくわからず「神田川」とか歌っていたけれど、 雰囲気としてはかぐや姫よりも イルカさんとかチューリップとかに近い気がする。 そんな胸がきゅんとなる物語たち。

田淵さんの作品は、 多くが大学生が登場人物だったのも特徴的で、 だから余計に70年代フォークの雰囲気とかぶっていたのでした。

上の写真の 『林檎ものがたり』に入っている、 りんごにまつわる短編3部作も好きだけれど、 りんごと呼ばれている女の子「林子」ちゃんが出てくる作品 「風色通りのまがりかど」や「菜の花キャベツがささやいて」は可愛かった。。 自分には考えられそうもない すてきな学生結婚のお話だったけど、、。

田淵さんの漫画には、 なぜだか秋から冬のものがたりが多かったような気がする。。 そして、 舞台は東京なのに、 よく雪の降るシーンがあったっけ。。 70年代くらいには、 東京でも雪がたくさん降ったのかしら・・・ 

林檎のまっかなおめめをした、 雪だるまがつくれるくらいに。。。

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今では 林檎といえば ふじやサンふじといった品種ですが、 記憶として70年代のはじめにはまだ多くなかった気がします。 だから、 田淵さんの漫画で描かれる林檎も、 蜜のたっぶり入った甘いふじではなくって、 きっと国光とか 紅玉といった 甘酸っぱい小さな林檎だったんじゃないかと、、 そう思います。


さむくなってきましたね、、

風邪ひきませんように。。