星のひとかけ

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ロートレアモンとシュペルヴィエル

2013-01-22 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
さっき、、 米ラジオKCRWを聴いていたら、 坂本龍一(Ryuichi Sakamoto)さんの「Merry Christmas Mr.Lawrence」がかかりました。 おそらく、、 大島渚監督を追悼してかけてくれたのでしょう。 なんだかうれしかった。

Track Listの現地時間を見ると 2:10AM でした。。 日本で言うところの 草木も眠る丑三つ時。 龍一さんのピアノ曲が流れているあいだ、 この部屋もしんと鎮まった空気につつまれました。

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その時、 ちょうど読んでいたのが シュペルヴィエルの小説で、、 小説の話はまたにしますが・・・

シュペルヴィエルが 故人ロートレアモンに捧げてつくった詩を。。

不勉強なのでロートレアモンもフランスの詩人としか思っていませんでしたが、 生まれは南米ウルグアイの首都モンテビデオという所なのですね。 そしてこのモンテビデオからは3人のフランス文学史に名を残す詩人が生まれていて、

ジュール・ラフォルグと、 ロートレアモンことイジドール・デュカスと、 そしてジュール・シュペルヴィエル。 そうだったんだ・・・


「ロートレアモンに」 という詩は次の一文から始まります。

君が出て来るかと思って、僕は到るところの土を掘ってみた。

 ・・・・・

第三節を引用します↓


或る日僕は、フェルナンド・ノロニャ島附近の大西洋上で君と行き会った / 君はその時、波の形をしていた、ただし只の波ではなく、より真実な、よりきまじめな波だった / 君はウルグヮイへ向って昨日も今日も急いでいた。 / 他の波たちは君の不幸に悠々敬意を表して、わざと君から遠ざかった、 / たった十二秒の生命で、あとは死んでしまう彼らだが / 君のためにはその短い生命を捧げて惜まない彼らだった、 / だが君は、同じく自分も消えると見せかけた / 他の波たちが君も一しょに死んでくれたものと思って安心するように。 / 他の者が橋の下に宿るように君は住居として海を択ぶ男だった / それなのに僕は女と調理場の匂いのする船の上にいて / サン・グラスの後に目を隠していた。 / タンゴにくすぐられて激怒しているマストへ音楽は昇って行った / 君は一八七〇年以来死んでしまっていて精液も出なくなり / それでも平気だと人に思わせるため波にまで身をやつしているのだと思うと / 僕は恥しかった、生きた人間の血の流れている自分の心臓が。

   (堀口大學訳『シュペルヴィエル抄』より)

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前に何度か書いた シュペルヴィエルの短編「ノアの方舟」に出てくる 「泳ぐ男」のイメージも、、 こんな風に 大西洋の波に変容したロートレアモンの魂を、 自分も大西洋を渡ってフランスと南米を行き来しつつ考えていた、、 それと少しは関係があるのかもしれないな、、と思いました。

両者に共通する 「変身」「変容」する登場人物、、 ということも、 南米出身という共通点で考えるとなんかわかりそうな気もする。


シュペルヴィエルは心臓が悪かったんですって。。。 その話もまたいずれ・・・


ジュール・シュペルヴィエルに関する過去ログ>>
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