prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ヨーロッパ諸学の危機および超越論的現象学」エトムント・フッサール

2006年05月07日 | 
なんとか、読了。
眠り薬代わりに読むといいとか、石のサンドイッチなんて言われる超難物だとは聞いていたが、大げさではないね。

題名に「諸学」とついているように、哲学以外の学問、特に心理学と幾何学についての言及が目立つ。
ただ、この場合の心理学が今でいう心理学とどの程度同じなのか、違うのか判断がつかず。
なんでこの本読むようになったのかというと、もともと自然科学とか数学みたいに哲学とは全然関係なさそうな学問の方法が多分に哲学・形而上学から出ていると聞いたから。
あるいは幾何学的な世界観から近代哲学が発達したのでもある。

話はそれるが、当たり前みたいに理科系・文科系という具合に人間の思考法の傾向を分けてしまうのに違和感がずっとあった。
なんでそういう分け方ができたかというと明治になって教育機関を作るのに、まず近代国家の格好を作るための官僚機構を育てるのに法学部・産業を興すのに農学部などを作ることから始めて、ヨーロッパの大学にはそれ以前になくてはならなかった思考法の基礎としての哲学がすっぽ抜けていたから。

哲学という言葉はフィロソフィー(知を愛する学)の訳語として西周が中国の文献から希哲学=知を望む学という言葉をあてはめようとして作りかけたところで、どういうわけか希が抜けてしまって意味が通じなくなったのだという。

ごく最近まで、哲学書などまるで読んだことがなくて、それでとりあえず困りもしなかったが、いざぽつぽつ読んでみると、やたら細分化してしまった学問をつなぐ今まで抜けていた部分が少しは見えてきたみたい。



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