prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「プロデューサーズ」

2006年05月20日 | 映画
焼け太りというのか、わざとコケる芝居を作ることがプロデューサーサイドとしては儲かるという摩訶不思議なシステムをメインに据えたオリジナル映画のアイデアがなんといっても素晴らしい(余談ながら拙作「フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリ」はこのオリジナルのアイデアをヒントにしている。興味のある方は読まれたし)。
もっとも、当時に比べてリスクヘッジがヘッジを通り越してマネーゲームになるというのは、ショー・ビジネスみたいな特殊とされる世界だけでなくごく一般的になっている観あり。
今だったら、弁護士が確実に顔を出してくるだろう。

「ヒットラーの春」なんてトンデモなミュージカルを、ユダヤ人であることを売り物にしているメル・ブルックスが考えた、ということ自体、もろに差別を裏返した笑い。
ラストカットでちらっと顔を出すが、さすがに老けたが、油っ気は十分。若い客だと誰だかわからない向きも多いのではないか。作詞作曲まで堂々とこなしているのだから、すごい。

海千山千という言葉を画にかいたようなプロデューサー、“ピーナッツ”のライナスのように毛布にしがみついている会計士、夫の遺産で男遊びに耽る85歳以上の未亡人たち、ヒットラーかぶれの劇作家、オカマの巣窟みたいな役者と演出家とスタッフたち、と、まあよくこれだけアクの強い連中を集めたもの。
ゲテすれすれだが、役者がみんな指先までみっちり芝居している感じで、見せること。

無理に映画的にしないで、場の感覚を大切にしてがっちり芝居を重ねていくような演出。

ネイサン・レインの部屋に‘KING LEER’というポスターが貼ってある。「リア王」KING LEARのもじりなのはもちろんだが、LEERというのは、「横目、色目、流し目」という意味。未亡人を誘って金を集めているのに合わせているというわけ。
(☆☆☆★★)



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