被爆者一世と二世の親子の話を交錯させ、シーンによっては過去と現在の人物が同じ画面に収まる、昔だったら「野いちご」あたりのアートフィルムでないと使わなかったかなり高度な表現を使っているのだが、まったく難しい感じなしにこなれている。過去を色を抜いた画調にして、田中麗奈に鮮やかなオレンジ色のジャケットを着せているコントラストを強調して色彩設計が効果的。
原爆の惨禍が直接死んだ人たちだけでなく、生き続けている人間さらにはその子孫にまで累を及ぼすのをぱっと見てわかる画にしている。
ただないものねだりをすると、これ原爆の何たるかを知らないインテリではないアメリカ人が見て何らかの感慨持つだろうか。