prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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没後10年 黒澤明特集 脚本家・橋本忍が語る黒澤明~“七人の侍”誕生の軌跡~

2008年08月29日 | 映画
基本的には「複眼の映像 私と黒澤明」で描かれている内容とほぼ一緒なのだが、「七人の侍」の油絵でいうなら初に描かれて後に隠された下絵にあたる「侍の一日」の後半の盛り上がりを橋本忍当人の語りで、まるで目に見えるようにありありと語られるのを聞けたのが大きな収穫。

それにしても、十年以上入退院を繰り返していたとは思えない90歳にしてメリハリの利いた口調に驚く。

シナリオを共作して、それで誰の書いたものを選ぶのか、というところで「生きる」「七人の侍」では小国英雄が自分では決して書かずにジャッジ役に徹した、リーダーの言うことだからと黒澤を含めたライターがそれに従った、といういうあたり、何やら溝口健二が決して自分では書かず、ひたすら書き手を絞りあげたのとちょっと似ている。小国が黒澤より6歳年上だから成り立ったとも言えるけれど、ジャッジ役が黒澤に移ったあたりからややバランスが崩れてきたようにも思える。

ちなみに、橋本忍は黒澤より8歳年下。
「乱」をプロデュースした原正人氏は、共同作業できるのは年の差十歳まで、と語っていたけれど、常識的にもそれくらいだろうと思う。


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