演奏会場がそれほどバカげて大きくない劇場で、クラシックな内装というのが面白い。「ラスト・ワルツ」が「椿姫」に使われた巨大なシャンデリアを会場の上に吊ったのと通じるセンス。
あそこではあらかじめ完全にカメラワークが振付けられていたそうだが、今回も驚くほどクリアにステージが撮られている(撮影・ロバート・リチャードソン)。
エンドタイトルでフィルム・ローダー(詰め替え係)という職能の名前がずらっと十人以上並んでいるのだから、相当フィルムを回してるのだろう。
MTV的なつながり無視のかちゃかちゃしたカット割でなく、カメラの位置もムリがなくて見やすい。
過去のストーンズのインタビュー映像(同じくクレジットによると日本で撮られたものもあった)がときどきインサートされ、「いつまでストーンズは続くか」といった質問が何度も投げかけられるのが、何十年も続いた今となっては一種のユーモアになっている。
ストーンズの面々のパーソナリティはみな印象的だが、チャーリー・ワッツの不機嫌なようでなんだかお茶目な感じが個人的にはお気に入り。