prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「誰も守ってくれない」

2009年02月09日 | 映画
ほとんどの登場人物が家族と一緒の場面がなく、家族は声だけ、写真だけといった出方をしていることが多く、それでいて脇役の新聞記者にまでたとえば子供が今どうなっているのか描きこんでいて、主役二人が擬似父娘なのとコントラストになっている。

おそろしく手早く官僚的に容疑者の両親を離婚させて再婚させ、苗字を妻方のものに変えて身元を隠す、というあたり、嘘の身分証明はさせるわけにはいかないが、身元は隠さないといけないという警察のお役所としての事情がうかがえる。

新聞記者の抜け駆け取材の悪質さを描いているのかと思うと、あっというまにネットでの祭り騒動にエスカレートする。マスとなった人間は図式にしかならないにせよ、ちょっとネット人種の描き方が図式的な気はする。

犯人の家に並んでいる本棚に、天童荒太の「永遠の仔」がちらっと見える。どの程度意識的なのか知らないが、あれも家族(崩壊)の話だった。

保護対象になる少女の彼氏が、一見男女どちらかわからない、奇妙なニュアンスのキャスティングが凝っている。
(☆☆☆★★★)


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