prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「This film is not yet rated」

2009年08月17日 | 映画

アメリカの映倫に当たる機関MPAA(Motion Picture Association of America)の実態に迫ったドキュメンタリー。
それにしても、MPAAのレイティングを決めるメンバーが公表されておらず、他の映画と比べてレイティングに異を唱えるのも受け付けない、というのはいかにも不透明。レイティングされていない映画は、映画館で事実上上映できないので、MPAAは大きな権力を持つことになる。また、大手興行側の影響が強いのでインディペンデント系の映画(このThis film…自体がそうだが)には不利になる。

この映画の監督がメンバーを探っていくプロセスが大半を占めるが、MPAA側の弁護士が出てきてけんもほろろ的交渉にあたる不愉快。しかしこの映画もメンバーの氏名・年齢・家族構成まで暴露するのだから、いいのかとも思わせる。
そのせいか今ではメンバーは公表され、比較論も許されるようになったという。必ずキリスト教関係者が入っているというのが、ハリウッドはユダヤ人社会だからという偏見に対抗するため、というのがアメリカらしい。

日本でも映倫マークが入っていない映画は映画館で上映しない、というのが全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)の申し合わせで決まっているが、全興連の会長の大藏滿彦氏って、ピンク映画製作の大蔵映画社長ではないか。おもしろい国だね、日本って。

昔の話だが、「ツィゴイネルワイゼン」が移動式特設ドーム・シネマプラセットで上映された時には映倫を通していなかったらしい。特にひっかかるようなシーンもないが。