prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「南極料理人」

2009年09月13日 | 映画
雪に閉じ込められてずっと同じむさくるしい男ばかりと顔を合わせているという、「シャイニング」みたいに暴発してもおかしくない(やや近くなるところもある)状況で、食べるという生きていく上で一番基本的なところでいろいろ工夫をこらして乗り切っていく、淡々とした中の切実なユーモアが面白い。

生きていく上での基本を押さえている分、水が大事といってどうやって作るのか(雪を切り出すところで満足して、どう融かすのかわからない)、どうやって溜めておくのか、廃水はどう処理しているのか、ゴミはどう処分しているのかといった生活の上の基本的な描写が抜けているのは気になる。

堺雅人が相手が娘と知らないままテレビ電話で話すあたり、南極側からは日本の相手が見えていない描写がすっぽ抜けている。基本が面白い分、細かいところの詰めがやや甘い。
かわいい動物がいないと不満そうな男の子の後ろでペンギンのリアルな模型がけっこう不気味なあたりは巧まざるユーモアが出ていた。

基地の棚に並んでいるのはVHSばかりで、インターネットもIP電話もないあたり、1996年というそれほど昔ではないのにずいぶん大昔の感じ。
(☆☆☆★★)


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