prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「HACHI 約束の犬」

2009年09月16日 | 映画
ストーリーからすると秋田犬に限らず犬ならなんでもよさそうだが、あまり愛想を振りまく感じではないけれど忠実におとなしく待っている「画」とするとやはり秋田犬でないと格好がつかない。どうです上手でしょう可愛いでしょうといった芝居ではなく、何か黙々と歩き黙々と待っている感じ。
冒頭の日本の寺とか、ケイリー・ヒロユキ・タガワの日系教授といった日本的なアイテムはご愛嬌。

実際のハチ公が駅前にいたかったのは酔っ払いが餌として与える焼鳥目当てだったからという説があり(実際死後解剖されると消化器に焼鳥の串が刺さっていたという)、邦画の「ハチ公物語」ではこの噂をいったん取り上げておいて否定していた。その噂を怒って否定する役をやっていたのがたしか山城新吾だった。
今回は焼鳥ではなくホットドッグなので、そういう余計な心配はいりません。
また、ハチ公の話が広まったのはかなりの程度戦前の皇国教育で忠義が強調されたためで、元祖「ハチ公」ではそうやって持ち上げていた日本政府が、戦況が厳しくなるとハチの銅像を供出させて鋳潰してしまうという皮肉が最初の構想では入っていたが(脚本・新藤兼人らしい)長くなりすぎるのでカットされていたが、これも当然関係なくなっている。

「子猫物語」「南極物語」当時やたら流行った(今もか)日本の動物映画はみんな捨て犬捨て猫の話ではないか、誰も引き取ろうとしないしそれを映画が指摘もしないと故荻昌弘は指摘していたが、そういう残滓はここにもある。

こちらみたいに犬好きではない人間が見ると泣きはしないが、芝居はがっちり撮れているなとは思う。
音楽がピアノ・ソロ中心なのがラッセ・ハルストレム監督印。
(☆☆☆)


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