ソマリアの海賊について政治的な実態に切り込もうというわけでもあまりない。
世界を動かす海賊 (ちくま新書)竹田いさみ著によると、昔の海賊のように船に積んである金目のものを狙うのではなく、最初から船員を誘拐して身代金を奪うのに特化してきており、GPSをつけたドル紙幣の包みを指定した海の一地点に落とさせて後で取りに行くいった具合に手口も高度に訓練されているのが普通で、ここで描かれている海賊はかなり間抜けで野蛮な感じ。長老の言うことが絶対みたいな描き方、本当だろうか。違うとして、ソマリア政府からの抗議というのはありえないわけだが。
しかもそう訓練したのが欧米の元軍人による訓練施設であり、「支援」の一環として行われたという皮肉な事情も完全に外している。
もともと漁師で、先進国が漁場を荒らしたから食えなくなって海賊になったのだというメディア用のアピールが嘘であることは指摘している。
残ったのは、だだっ広い海の真ん中で海賊に襲われたら逃げようがない恐怖と、人質にとられて救出されるまでのサスペンス一本で、これに集中した分、凄まじい。長丁場ということもあってくたくたになる。
トム・ハンクス以外知っている俳優が出ておらず、その分特に海賊の四人など本物かと思うくらいリアル。
シールズによる狙撃作戦や、救出した後の医者の手当てなど、全般にわたってマニュアルができているみたい。
努力や根性でどうにかできる事態ではないということだろう、身も蓋もない。
(☆☆☆★★★)
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