ニキ・ラウダとジェームス・ハントの二人が並行して交互にほぼ同じ比重で描かれる構成で、それ自体デッドヒートのよう。「フロスト×ニクソン」のピーター・モーガン脚本らしい対決ドラマ。
おもしろいのは、二人がそれぞれ最も力を振り絞り成長するのは、相手と直接競い合っている時ではなく、相手が事故やリタイアで不在になっている時だということ。自分との戦いという面もあるし、イメージの中の敵との戦いということでもあるだろう。
勝った負けたのポイントをドラマの興奮のピークから外しているのも同じ狙いだろう。
二人とそれぞれ結婚する女性の描き方はそれ自体はパターンなのだけれどペアで描かれることで多面的な印象が出た。
レースシーンでありがちな車=ドライバーの主観により、観客をF1マシンに擬似的に乗せるようなアングルは遅れを取り戻そうとごぼう抜きにとばしにとばすところといったごく一部にとどめ、ありとあらゆる角度からまわごとレースの興奮を伝えている。
シーンによっては30台ものカメラをまわしたというが、デジタル時代になってフィルムの消費をまったく気にせずまわせるようになった成果でもあるだろう。
「グランプリ」をジョン・フランケンハイマーが撮った時は120万フィートのフィルムをまわした(単純計算で222時間)のが記録だったそうだけれど、デジタルだともっと平気でまわせるのではないか。
雨模様でレースを行うのがドラマ上の重要な要素になるから当然とはいえ、F1が水しぶきをとばして驀進する情景がすごい。スローモーションで捕らえられた雨や湿り気を帯びた雲の描出も見事。椅子がぶるぶる震えるくらいの音響効果も迫力たっぷり。
製作費3800万ドルというのは「低予算」(ロン・ハワード監督の来日インタビューより)なのかと思うが、スケール感は十分すぎるくらい出ている。
この映画自体資本がアメリカだけでなくイギリス、ドイツからも出ているわけだが、かなりヨーロッパ色が強い。
主人公二人が実名で出てくるのだから当然ではあるけれど、リチャード・バートンとかクルト・ユルゲンスといった映画スターが当人は出てこないにせよ実名で登場するのにちょっと驚く。F1の世界と映画界とモデル界は近いということだろうか。
(☆☆☆★★★)
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本ホームページ
公式サイト
ラッシュ/プライドと友情@ぴあ映画生活
映画『ラッシュ/プライドと友情』 - シネマトゥデイ
おもしろいのは、二人がそれぞれ最も力を振り絞り成長するのは、相手と直接競い合っている時ではなく、相手が事故やリタイアで不在になっている時だということ。自分との戦いという面もあるし、イメージの中の敵との戦いということでもあるだろう。
勝った負けたのポイントをドラマの興奮のピークから外しているのも同じ狙いだろう。
二人とそれぞれ結婚する女性の描き方はそれ自体はパターンなのだけれどペアで描かれることで多面的な印象が出た。
レースシーンでありがちな車=ドライバーの主観により、観客をF1マシンに擬似的に乗せるようなアングルは遅れを取り戻そうとごぼう抜きにとばしにとばすところといったごく一部にとどめ、ありとあらゆる角度からまわごとレースの興奮を伝えている。
シーンによっては30台ものカメラをまわしたというが、デジタル時代になってフィルムの消費をまったく気にせずまわせるようになった成果でもあるだろう。
「グランプリ」をジョン・フランケンハイマーが撮った時は120万フィートのフィルムをまわした(単純計算で222時間)のが記録だったそうだけれど、デジタルだともっと平気でまわせるのではないか。
雨模様でレースを行うのがドラマ上の重要な要素になるから当然とはいえ、F1が水しぶきをとばして驀進する情景がすごい。スローモーションで捕らえられた雨や湿り気を帯びた雲の描出も見事。椅子がぶるぶる震えるくらいの音響効果も迫力たっぷり。
製作費3800万ドルというのは「低予算」(ロン・ハワード監督の来日インタビューより)なのかと思うが、スケール感は十分すぎるくらい出ている。
この映画自体資本がアメリカだけでなくイギリス、ドイツからも出ているわけだが、かなりヨーロッパ色が強い。
主人公二人が実名で出てくるのだから当然ではあるけれど、リチャード・バートンとかクルト・ユルゲンスといった映画スターが当人は出てこないにせよ実名で登場するのにちょっと驚く。F1の世界と映画界とモデル界は近いということだろうか。
(☆☆☆★★★)
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