prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」

2017年05月23日 | 映画
ずいぶん変わったタイトルだけれど原作は詩集だそうで、だからといって映像詩風の作りではなく、土木作業員の男の子と看護師の女の子という低賃金重労働に従事している若者たちの殺伐とした生活風景が基本。
看護師であるヒロインを含めて喫煙率の高いこと。

ただしリアリズム一本かというとそうでもないので、男の子のしゃべり方がやたらと饒舌だったり(発達障害ではないのか)、手が上がらなくなって社会の窓が開けっぱなしになっている中年労働者とか、松田龍平の思いがけない顛末など、描写に独特のひらめきとコクがある。

自暴自棄になったりセックスや暴力に走ったりしてもおかしくない状況で、実際男たちはしきりとキャバクラに行きたがったりするし、そこで出会ったりするのだが、不思議と性的な匂いは薄い。

ただお話らしいお話がないので、どこでラストになってもおかしくないシーンが何度も繰り返されて、後半どうしてもダレる。

詩集の映画化自体珍しく、寺山修司が自作の歌集「田園に死す」を脚色監督した例はあるけれど、ここでは特に詩の引用や朗読といったところはないので、ふつうの劇映画として見ることができるけれど、多少はもともとどんな詩なのか知りたくはなる。
(☆☆☆)

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ 公式ホームページ

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