まず典型的なアルチンボルドの作品を一枚見せておいて、いきなりオーソドックスな自画像につなぐのにびっくり。さらに父親の肖像画が続き、ダ・ヴィンチの素描も連なったりしてアルチンボルドが奇想以前にすごい描写力の持ち主であることを示す。
生まれ故郷のミラノからウィーンに渡り、ハプスブルグ家のフェルディナンド一世に仕えるようになってから有名な寄せ絵を描くようになるわけだが、その背後にハプスブルグ家の帝国主義から来る世界中の文物を収集して分類研究する博物学の発達があることが解説される。
当時とすると南米から渡って来て間もないナスやキュウリの類も寄せ絵の素材に使われていたりして、荒唐無稽に見える画風も世界を四元素や四季といった分類法によってあまねく絡めとろうとするハプスブルグ家の権威高揚のためという面があることも示され、ハプスブルグ家の面々の肖像画も並ぶ。
さらに他の作家による寄せ絵も並び、その中に皿に描かれた男根を組み合わせた顔というのがあって、女性客が三人ぐるりと取り囲んでいたのがなかなかおかしかった。
本を組み合わせた司書の肖像、ボトル類を組み合わせたソムリエの肖像など、マンガチックというか風刺的な作品がほぼ締めくくりに置かれる。
流れのはっきりした、わかりやすい構成の展示だったと思う。
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