prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ビジランテ」

2018年01月17日 | 映画
政治と土地と開発利権の絡みあいといったモチーフそのものは昔だったらヤクザ映画で扱われた典型だが、それを土地の持ち主である三兄弟を通して描くことで政治劇であるよりは冒頭でいきなり描かれる暴君の政治家の父親という兄弟の性格の違いといい「カラマーゾフの兄弟」を思わせるどろどろした葛藤が描かれる。

長男の大森南朋がいったん一人だけ家出していたのが突然戻ってきたもので、長男であるにも関わらずよそもの感が強い。それが皮肉なことに住む場所も性格も父親と重なるところが大きいのが、現地の主そのものが他者というねじれを感じさせる。

女の子たちの扱いがまったく実質的に人身売買なのがすさまじく殺伐としていて、心胆を冷やす。

冒頭で子供たちがなぜ逃げているのか、また土に埋められたのは何なのか伏せておいて後でわからせていくことで埋められた物に一種の象徴性を与えている。

ビジランテ=自警団とはアメリカのものみたいな印象があったが、閉鎖的なコミュニティがよそものに対して警戒の棘を立てている姿、という点では日本でも同じように成立している感。

重厚なタッチは迫力あるけれど、終盤重すぎてややもたつくのは惜しい。
(☆☆☆★★)

「ビジランテ」 公式ホームページ

「ビジランテ」 - 映画.com



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1月16日(火)のつぶやき

2018年01月17日 | Weblog