これくらい見た後に気持ちよくなった映画も珍しい。誇張でなく、終盤は色んな意味での涙が流れっぱなし。
同じようなベールをかぶって夜の列車に乗っていたふたりの花嫁が新婚の夫にせかされたもので暗くて取り違えられた、というミステリアスかつ喜劇的な出だしから、いわゆる旧式な社会構造を描こうとしているのかと思ったら、あれよあれよという間にはるかな未来につながってくるのに目を見張った。
見た後で監督のキラン・ラオが女性と知り、なるほど納得。
「きっと、うまくいく」主演のアミール・カーンが製作にまわったわけだが、教育というものの価値を主軸に置いているところは共通している。
登場人物ひとりひとりの描き込み、それぞれがそれぞれに幸せになる展開
も見事。
プラスマイナスでバランスをとるのではなく、プラスにプラスが重なる。
携帯がものすごく古い型で警察がfaxを使っていたりするからひと時代前の話なのだろう。