prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「女中ッ子」

2024年10月20日 | 映画
1955年作。
「気違い部落」ほどではなくても、もろに差別用語?が使われたタイトル。
そのせいか、1976年に森昌子主演でリメイクされたときは「どんぐりッ子」になった。

音楽担当が伊福部昭で「怪獣大戦争」マーチが運動会のシーンに流れるのだが、「怪獣大戦争」は1965年の製作で、この「女中ッ子」は1955年の製作だからこっちの方が早い。
というか、1955年といったら「ゴジラ」第一作の翌年だ。曲だけ先にできていたのではないか。

2時間22分と長尺なのは都会に出てきた左幸子の女中さんを描くと共に、故郷の秋田の場面もかなりの尺数をとって、なんならナマハゲの習俗もたっぷり描いている。左の母親役が東山千栄子なのだから厚みが違う。
吹雪も真向から撮っているのに驚かされる。

「無法松の一生」の車引きの無法松を女中にしたみたいなもので、身分の違いというものが厳然としてある世界で、身分の低い者が決して卑屈にならず子供に対して決然として教育的指導を行う話としてまとめられるだろう。

田舎に子供が雪の中をひとりで歩いて訪ねていくのに、駅員や行きずりの人もさほど心配な様子を見せないのは当時の感覚だと普通だったのだろうか。児童福祉法が公布された1947年から、さほど経っていない。

雪国で走っている蒸気機関車から左が荷物を投げ出してこともなげに自分も跳び下りるのに驚いた。