タイトルになっている「ふれる。」とは、ひとつの漁船に複数の人たち乗って意思を統一するのを媒介する寓話的な存在の生き物のこと。
その統一された意思が各人に別々にあるのか、それを超えてひとつになっているのかというのが曖昧で、それも敢えて曖昧にしている。
こういうホモソーシャルな関係で女性があらかじめ疎外されていて、図らずも三角関係になっていたのに気がつかないでいる。
作中「蜘蛛の糸」みたいと言及されるようなずいぶんと微妙なバランスの関係を、アニメで取り上げるということ自体、かなり先鋭な表現と映る。
画がリアリズム寄りなのとデジタル技術も取り込んだ多彩なもので、ふれるは小動物のような姿をしていて目を特に可愛くしていない。文字通り全身総毛立つ姿など威嚇ともとれる。