prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「蓮如とその母」

2022年02月14日 | 映画
日本を代表する人形アニメ作家・川本喜八郎の初の長編。
平井清隆の小説「蓮如とその母」が原作。滋賀県同和問題研究所など4団体が映画化を企画。

三國連太郎が重要な役で声の出演をしている。のちに蓮如の教えの始祖である親鸞の映画「親鸞 白い道」を原作・製作・脚本・監督・出演で作っているのとも通じるのだろう。

脚本が新藤兼人で、人形アニメだからといって特に通常のドラマの書き方と変えておらず、セリフ劇をいかに動きに制限のある人形アニメで表現するかというハードルを作ることにもなった。
蓮如は母と姉の存在に支えられる男で、そのあたり新藤にとってはシナリオ技術の提供だけでなくノレる題材とも思える。
親鸞は妻帯を認めたわけだが、蓮如は子供たちのおむつを自ら洗うところからはじめ、子沢山の上に、人はすべて母から生まれるとい教えに加え、女がいなければ男は働けないと説く。

男女の平等むしろ女性の方が大事という教えに加え、どんな卑しい身分の人間でも悪人でも念仏を唱えて阿弥陀如来に身をゆだねれば救われるという教えは鎌倉仏教が広まった根源だろうし、御仏から見ればすべての人は平等だし救われるという考えは今でも通用するところがある。

91分と比較的短いとはいえ人形アニメで長編は大変らしく、実写映像が随所にはさまれる。
それが水増しではなく、美的でもあり、ちょうどいい息抜きにもなっているし、記録的価値もある。

セリフを聞かせるのに口をぱくぱく動かすといった処理はまったくしないのが日本製らしい(ウルトラマンもそう)。アメリカ製アニメがリップ・シンクにこだわるのとは対照的。

セリフを言いよどんだりする、動きがまったくなくなってしまい人形が素の無生物になりそうなところで時間が止まらず、芝居の「間」になっている。このあたりのワザは類がない。

黒柳徹子と岸田今日子が似顔の人形で声が当人がアテているのがゴ愛嬌。
エンドタイトルに原口智生の名前がある。






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