著者には自伝的シナリオが黒木和雄監督の「祭りの準備」、自身が監督した「郷愁」と、あと橋本忍監督の「南の風と海」とがあるが、そのどれでも描いていない高知県中村に移ってくるまでの京都の生活と、いかにも文化人的な気質の画家の父親がバーバリズム横溢する土佐の気風になじめないで過ごしている姿を描いている。画家の世界が上からの「引き」が大事という記述もあけすけ。
創作にあたってかなり事実を変えている部分とその理由を書いていたり、「南の風と海」が師の橋本忍によってどう書き直されたかを並べて解説しているのもおもしろい。
ロマンポルノ前後の日活やATGでの仕事だといくら四十年近く前とはいえ一本20~30万円というのは安い。佐藤忠男氏に「名作とは安いものだ」と言われてしまうわけだ。
「赤ちょうちん」のヒロイン(秋吉久美子)が鳥アレルギーという設定は友人の女性シナリオライターのを借りたり、転々と引っ越しする大筋は深沢七郎の「月のアベニン山」をヒントにしたり、いろいろなところからかき集めて書いている裏も明かしている。
ただ帯の惹句に本書とあまり関わりがないことおおっぴらに書くことは詐欺行為に近いのでは。始めから著者の自叙伝的な書物であるとわかっていながら。
このような行為は著者や読者に対して失礼なのではと思いました。
p.s.書物に限らず映像分野での誇張された嘘の宣伝行為はなんとかならないかと日々思います。消費者は安易に財布の紐を緩めていけませんね。
(#゜Д゜)<ボナースといっしょのポテトはいかかですか!!
って感じです。すみません話が飛んでしました。ではノシ