prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「椿三十郎」の考証

2005年04月12日 | 重箱の隅
江戸時代、花がぽとりと落ちるのが首を打ち落とされるようで不吉と、武家屋敷には決して椿を植えなかった。侍の多い江戸では魚をさばく時に切腹を連想させるからと腹から切らず背開きにしたり、葵の御紋に切り口が似ているからときゅうりを食べなかったというのと似たしきたり。
ところで「椿三十郎」の椿屋敷には庭いっぱいに何百ともつかない数の椿が咲いている。つまりまるっきりの作り物、ホラ話として作っているということ。ラストの血の噴射だってまるっきり噴水みたいですからね。ところがこれが“リアル”と間違えられて、下手な水芸みたいな血の噴射が流行った(今でもやってる)のだから困ったもの。



ナースキティ

2005年04月11日 | Weblog
献血をしたら、ナースキティのボールペン(写真)をもらう。なんだか、おかしい。
しきりとニュースで献血量が足りない足りないといっていたが、ずいぶん混んでいたぞ。
水分補給で抹茶オレというなんだか無気味な飲み物を飲む。抹茶ババロアを先日食べたが、それをうんと安くしたみたい。

「路地の向こうに」

2005年04月10日 | Weblog
イエローページ第34回公演 下北沢「劇」小劇場にて

同じキャラクターの若い時と歳くった時を別々の役者がやっている。映像では当たり前だが、芝居でやると逆にけっこう混乱する。全然似ていないのだから。
大東亜戦争と「霧笛が俺を呼んでいる」の時代(1960)と現代とが同居している世界。
不思議と子供客多し。
1時間15分くらいと短いのが有難い。



「フェーンチャン ぼくの恋人」

2005年04月09日 | 映画
主人公の男の子がドラえもんのシャツを着ていて、ジャイアンそのまんまのガキ大将が出てくるなど、どこの国にも通じる“昔の子供時代”をそのまんま映像化したみたい。夕陽に向かって連れションするところなど、あるあるああいうこと、と思わせる。

ちょろっとゲームが出てきたりするが、遊びといえばゴム投げやゴムとび、サッカーといった素朴なもの。ちらっと「ウルトラマン」の絵が壁に貼ってあったり、今更ながら日本の子供ものがちょいちょい顔を出す。

ニ羽の鳥が並んでいる映像がときどき挟み込まれて、だんだん二羽の距離が離れ、しまいに一羽が飛び立つのと女の子が引っ越して行ってしまうのとをかけあわせた表現など、ありがちだが印象に残る。
(☆☆☆★★)



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「レーシング・ストライプス」

2005年04月08日 | 映画
何のひねりもないけれど、その分安心して見ていられる。
動物が喋るのは慣れてきたから驚きもない代わり違和感もないが、クライマックスのレースで体がウマより二まわりは小さいシマウマが勝つのを不自然でなく見せているのは、裏で相当手がかかっているのだろう。

吹き替え版で見たのだが、演出が最近の「釣りバカ」の本木克英監督というのはちょっとびっくり。
脇のコンビをオセロの二人が関西弁でやっているけれど、見ている間はまったく気付かなかった。成功してるってことですかね。
(☆☆☆)



レーシング・ストライプス - Amazon

イーストウッドと硫黄島

2005年04月07日 | Weblog
イーストウッドが来日、硫黄島の戦いを映画化するとのこと。
「硫黄島の英雄」って映画がありましたね。ピューリッツァー賞を受賞した擂鉢山の山頂に米軍兵士たちが星条旗が立てている有名な写真があるけれども、その兵士の一人(インディアン)が戦争の宣伝に利用され利用価値がなくなって放り出されて、酔っぱらって車に轢かれて死んだ悲劇を描いたもの。
ジョン・ウェイン主演「硫黄島の砂」の日本兵の描き方はイカニモのアメリカから見た日本兵でしたが、イーストウッド版ではどうなることか。

ガスレンジに使う乾電池が切れたというので交換してもダメ。接触不良らしいのでアルミホイルを小さく畳んで電池の間に挟んだら解決したが、ショートしないだろうね。



「エターナル・サンシャイン」

2005年04月05日 | 映画
記憶をコントロールするマシン、というどこかカート・ヴォネガット風の仕掛けがストーリー上のメインで、見ようによってはポップ版「野いちご」といったところだが、どこまでが回想で、どこからが作られた、あるいは削られた記憶なのかという区別がつきにくくメリハリが足りない。サリゲナサを装う描写が裏目に出た感じ。

意匠を剥がしてみると、気の弱い平凡な男と奔放な女とのすれ違い混じりのラブストーリーで、割と平凡。平凡だからいけないわけではないが、主演二人ともに好演している割に役者にまかせっぱなしの感じでコクがない。

だいたい、恋愛絡みの記憶を残しておこうというのならともかく、消そうとするという発想そのものがちょっと納得しにくい。
(☆☆☆)



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「ナショナル・トレジャー」

2005年04月04日 | 映画
シケた宝探しもの。独立宣言書程度が手がかりでは伝奇的なムードもロマンも出ない。フリーメースンがどうのこうのと、トンデモ本がかった壮大な展開になるかと期待(?)させたが、出してみただけ。宝を隠している機械仕掛けにでも凝ってくれてくれるかと思ったが、それもだめ。
冒頭にクリストファー・プラマーが顔を出すのを初めとして役者の顔ぶれは揃っているが、誰一人として生かせていない。
(☆☆★)



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「9000マイルの約束」

2005年04月04日 | 映画
第2次大戦が終わってからもソ連の強制労働所に収容されっぱなしにされたドイツ兵が、脱走して故郷の家族のもとまで9000マイルを踏破して帰り着いた実話の映画化。
日本兵のシベリア抑留のドイツ版みたいなもので、ソ連はドイツ相手にもンなことしてたのかと思わせる。戦時捕虜と違ってどう扱うか決まっておらず、収容する方の胸先三寸なのでいつ解放されるのかわからないあたりも一緒。もっとも日本はシベリアと地続きではないので歩いて脱走してくることはありえないが。

ドイツ映画らしく(?)再会までえんえん2時間40分も我慢させる重苦しいリアリズム。
鞭ではなくハンマーでぶん殴るガントレットの野蛮な迫力。
追っ手のソ連のカメリアフ中尉は「レ・ミゼラブル」のジャベールみたい。
ソ連(ロシア以外も含む)の広大さと、そこに住む人々の一口にロシアとはまとめられれない多彩さが印象に残る。
途中寝てしまったので、採点はなし。



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「NARC ナーク」

2005年04月03日 | 映画
人物たちの腐敗の徹底ぶり。犯罪者=警察と分けるのがまるで無意味になっている。演技演出ともにすごいリアリズム。
死体の匂いに平気なのが、より腐敗したキャラクターであることと対応しているのが後でわかる、といったハードなタッチ。
救いになるような家族が写真の中だけにしかなく、実際のそれは苛立たしさばかりが目立つコントラスト。

少なくないヴァイオレンス描写がたいていクイックカットなどでちらっと見えたか見えないかで処理されている。刺激を抑えるためというより、むしろ描き過ぎることで妙に描写としてフォーマルに収まるのを断ち切っているよう。
(☆☆☆★★★)



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小ネタいろいろ

2005年04月02日 | Weblog

渋谷まんだらけにて。暗いものでボヤけてますが、ガメラの人間スケールの大型フィギュアです。

それに下げられていた札「ニコラス・ケイジ様売約済み」。
ニコラス・ケイジ様? ハリウッドスターの?

“16文チョップビール”というフシギなビールの看板を見る。“16文キック”ではないし、それがビールとどう結びつくのかもわからない。

4月1日からゴミ出しの分別の仕方が変わったら、しっかり誰かが間違えて出したゴミがそのままになっている。困りますね。

もらいもののお茶を卸していれたら、金粉が混ざっているというもの。縁起ものなのだろう。タイミングとしては悪くないが。



「大統領の理髪師」

2005年04月01日 | 映画
初めの方のひどい選挙違反に始まり、最近これくらい笑った映画はない。ただ笑わせるだけでなく、子供が拷問を受けて足腰が立たなくなるあたり、リアルに描かれたら見ていられなかったろうが、非常に微妙なところをユーモアで切り抜けている。

大統領と側近と理髪師が一緒に飲むシーン、理髪師が目上の相手に対するマナーとして懸命に大統領から顔をそむけるようにして飲んでいるのに、側近は特にそういう態度をとっていない。側近にとっては大統領は「目上」ではないということか。現にその通りの行動に出るのだが。

ソン・ガンホが息子をずうっとおんぶして歩いている図が魅力的。雪が積もった中、川を裸足になって渡るシーン、顔に出していないが大変だったろう。

男たちがサングラスをかけてまわしてマッカーサーになったつもり(?)になるシーンや、園遊会で子供がコカ・コーラを飲んでいるシーン、あるいはロックンロールに若い店員がイカれているシーンなど、このころの韓国は日本同様アメリカかぶれだったのだろう。そのくせ戦争に行った先のベトナムでは、アメリカ兵にとことん冷たくあしらわれるのだが。
(☆☆☆★★★)



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