prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門

2005年04月24日 | Weblog
清水邦夫作・蜷川幸雄演出によるシアターコクーンの芝居をWOWOWで放映されたのを見る。
芝居の中継は途中で投げることが多いが、これは最後まで見通せた。

敗走する平将門が、自分を「将門を追っている武者」だと思ってしまうという設定のドラマ。
学生運動の投石を思わせる石の雨が降り注ぐオープニングから、もろに当局の取り締まりの音をバックに流す処理まで、かつてあった一種の理想あるいは理想化されたものが失われた状態が示され、それを改めて再生したり追い直すのではなく、何か「めまい」の一人二役のヒロインを思わせる非常に数学的ですらある論理のアクロバットの末、「追うべきもの」として答案を出すラスト。

場の雰囲気よりはロジックの展開が先だったから、一枚幕を隔てたような中継でもさほど障害にならなかったか。

木村佳乃は眉を剃って登場、発声その他「乱」の原田美枝子を思わせる(と、言うとすごくほめているように見える)。