チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

香港の公衆トイレ

2019年04月11日 | 香港

曇、11度、68%

 30年前の香港の公園などにある公共トイレは衛生的にも治安的にも入り辛いものがありました。大きな施設内のトイレはトイレの掃除のおばさんがいても普通のトイレでした。公共トイレの改善は2003年のサーズに始まり、今では身障者が昼間は掃除と管理を含めて必ずいます。トイレットペーパーも備え付けられました。画期的です。

 セントラル、金鐘、などの中心部の商業ビルのトイレは驚くぐらいスタイリッシュになりました。以前からトイレのおばさんがいましたがトイレの作りそのものが美しい。ホテルのトイレよりも素敵です。

  これは個室内。化粧直しの鏡もついて広さも十分です。ある映画館のトイレは個室の中に小さな洗面も備えられています。多くの利用者が鏡の前で混雑しないためです。

 利便性だけでなく、 一つ一つが気持ち豊かに作られています。

 大きな中華レストランのトイレもミッシュランが対象の店などは店の雰囲気に合わせたトイレ作りです。トイレのおばさんがいますが、いつ頃からかチップを置かなくなりました。以前はトイレに行くときは小銭の用意を忘れずにしたものです。「心付け」です。律儀な日本人はチップを忘れると戻っておばさんに手渡していました。今でも手を洗った後にタオルを差し出してくれるおばさんがいるとやはりバックから小銭を出します。でも昨今は大半が備え付けのペーパータオルです。

 明るく清潔な公衆トイレは気持ちよく感じます。日本の公共トイレでここまで豪華なものには出くわしません。東京ではオリンピックに向けてトイレ施設の充実を図っていると聞きます。清潔で心地よい公共トイレは人の手での管理が必要です。数も必要でしょうが、わっと印象に残るトイレも作って欲しいものです。

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初夏の香港

2019年04月09日 | 香港

曇、25度、86%   香港

 たった3週間で香港が夏になっていました。まだ早い夏です。四季の移ろいの少ない香港は春がない時もあります。毎年書いていた「夏に突入」です。

 降り立った空港では重い重い空気が迎えてくれました。まとわりつくような湿った暑い空気です。この空気感に馴染んでいる者にとってはある意味ホッとします。湿ったっ空気は乾燥した空気とは違い緊張感を解いてくれます。五月も末に入ると本格的な夏です。雲の形が変わります。それまではじめついた日が続きます。珍しく晴天に恵まれました。

 私が好きなアカシアが枝もたわわに花をつけています。小さな球状の花は日本で見られるアカシアと変わりありませんが、その香りは静かな香りのベールとなって一帯に降り注ぎます。この香りの中を夜明け前に走っていたことを思い出します。 薄い黄色の「魚魚の木」の花も満開です。この花が咲くと日本の新学期が始まります。仕事柄この花を見ると、これから1年の新たに教える子のことを思った20数年が蘇ります。

 大きなビル工事が至る所で見られます。空港周辺も含めて埋め立ても進んでいます。中国へ伸びる道路工事も順調で幾重にも入り組んだハイウェイが海の上に見られます。

 でも、変わんないのよね。 街を歩く人はちっとも変わりません。声高な話し声、元気に食べるその姿、これが長寿世界一の元気な香港の源です。そしてそんな高齢者のためにでしょうか、バス停に小さな椅子が作られていました。 厚かましく私も座ってみました。

 この3週間、やや疲れ切っていた心身です。香港の空気がそっと労ってくれた昨日でした。

 

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香港の買い物

2019年03月24日 | 香港

晴、8度、55%

 一年ぶりとはいえ長年住んだ香港です。街を歩いていて体が道を覚えています。旅先で道を歩くのとは違うことに気付きます。人が多いので脇道に、急ぐから近道を、やはり地元です。

 どうしても欲しい物はありません。時折戻ってくる主人が食料品などは運んできてくれます。それに東京周りで福岡に戻りますから、トランクはスーツやら替えの靴やらですでに一杯です。東京、福岡は荷物を預けるつもりがありません。義母の留守中の入院、ココさんのお迎えがあります。一刻も早い帰宅を考えていました。

 福岡にいると物の品数の少なさに頭を抱えます。そんな時ネットで物探しをすればいいのですが、実際に見てみたい物の時にはポチンと押すのを控えてしまいます。銀行の用事が思いの外長引きました。昼食の会食までの短い時間、セントラルで一軒だけ行きたいお店がありました。探し物はオーブンミトンとゴムベラです。

 毎朝パンを焼く時、オーブンの温度は300度近くまで上げます。その温度に耐えれるオーブンミトンが見つかりませんでした。業務用がありますが実際にはめて見た感覚が大事です。いく種類かあるミトンの中で腕までの長さ、握った感覚の良いものを見つけました。早速この数日、毎朝仕事をしてもらっています。

 ゴムベラをなぜ香港で?と思われると思います。すでに数本持っているゴムベラです。日本製のものが優れているに違いないと思っていましたが、その中の一本、小さなフランス製の物が一番使いやすいことに気付きました。小さいのを買ったのもこのセントラルのお店でした。 一番大きなサイズを求めました。ゴムベラも毎朝、パン種を捏ねるとき使っています。ケーキの種に粉を混ぜるのもさっくりと行きます。しなり具合が非常にいいゴムベラです。

 買ったものはこの2つだけ。非常に満足のいく香港での買い物でした。

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中華のナマコ

2019年03月21日 | 香港

雨、18度、88%

 ナマコが大好きです。日本料理の酢ナマコは苦手ですが、中華料理の煮込んだナマコは大好物です。酢ナマコのようなコリコリとした食感ではなく、プリンとした柔らかなナマコが中華の「ナマコの煮込み」です。

 今回の香港、お安いものからお高いものまで主人が私の好み通りのアレンジをしてくれていました。その中でも一番が「ナマコの煮込み」でした。上質なスープで煮上げたナマコは姿のまま出て来ます。そしていただく時はフォークにナイフで切り分けます。一人一匹のナマコです。このナマコは日本のナマコです。トゲの立ち具合が質の良さを物語っています。青梗菜の根元を花に見立ててカットされたものが添えられていました。

 香港の長州島の名物料理は鳩です。鳩をゆっくりと油をかけながら焼き上げる丸のまま一匹の料理も有名ですが、この鳩のミンチをレタスで包む料理はサラダ感覚でいくらでもいただけます。 

 最近、主人と私は中華なら3皿で十分になりました。最後にはエビの炒め物ですが、 立派なエビが使われています。この3品とも、広東料理の味付けです。

 香港の中華料理もフュージョン化したものが多くなりましたが、それぞれの地方料理をこうしてしっかりと守っているお店の方が口に馴染むように思います。

 見慣れた夜景を見ながらの夕食です。毎晩この景色を見ながらお風呂に浸かっていたのが嘘のよう。鳩を立ててワインは赤を選びました。久々に満足のいくお味でした。

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香港の匂い

2019年03月15日 | 香港

雨、18度、91%   香港

 福岡から香港に向かう便、いつもの通路側の席を窓側に変えてもらいました。久しぶりの香港を上空から見て見たい、そんな思いです。ところが香港の上空に来ても厚い雲ばかりです。香港空港は土砂降り、香港も薄曇り、この季節特有のどんよりした天候で上空からは島一つ見えませんでした。

 慣れ親しんだ空港、世界各国の人が集まりいろんな言葉が飛び交う中に身を置くと一種安心感が生まれます。メインターミナルに移るのにバスに乗り換えました。その時、風に乗って香港の匂いが、この季節独特の重い湿った匂いがしました。ほんのその束の間に大きくその匂いを胸に吸い込みます。身体中が蘇りました。その時、「モモさんにもう一度この匂いを嗅がしてやりたかった。」と思います。

 今日もしっとり雨降りです。これがこの季節の香港、離れるとこの鬱陶しさまでもが恋しくなります。大事な用事をいくつか済ませて、主人の会社のスタッフ達と飲茶の予定です。今日、明日、モモさんとこの街を歩きます。

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ホームシック

2018年09月10日 | 香港

雨、22度、90%

 ここ数ヶ月ホームシックです。おかしな話ですが、人生の半分近く住んだ香港にホームシックです。福岡の街中で香港からの観光客の話す広東語を聴くと胸が痛くなります。敏感に香港という言葉に反応します。いえ、このホームシックが来ることは帰国を決めた時からわかっていました。もっと早く来ると思っていました。1年半にしてやって来ました。おそらく思いもかけずに帰国3ヶ月でモモさんを亡くしてしまったのでホームシックが遅くなったのだと思います。

 恋しいのは空気の匂い、湿度の高いまとわりつくようなあの感覚、高いビルの上の小さな空。 どこに行っても人が多く、声高に話す広東語。食べ物も懐かしい、けどこれも帰国前からわかっていたことです。

 今月末に予定していた主人とのヨーロッパ行きを断りました。ヨーロッパに行くぐらいなら香港の方がいいい、本音です。毎日のように香港の写真を見ています。 九龍サイドから写した香港島、この写真の中にはモモさんが休んでいた我が家も写っています。どこへ行く、何をするというのではなく、2階建バスに乗り広東語のざわめきを聴きながら田舎に向かいます。日本人のいないような田舎の町までよく足を運びました。私を育ててくれた街です。

 まだいつとは決めていません。主人は「いつでもおいで。」と言ってくれます。年内には必ず戻ります。見出し写真のような朝焼けを懐かしく思います。

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モモさんの故郷に戻って来ました。

2018年03月16日 | 香港

霧、19度、96%  香港

 香港を「東洋の真珠」と呼ぶようになったのはずいぶん古い話です。この街に住んでいた30年、「東洋の真珠」という言葉があまり好きではありませんでした。こう呼び始めたのは白人ではないかしら、何かあまりにもロマチックな呼び方です。実際の香港はバイタリティー溢れる人種のるつぼです。ところがこの街を離れて1年、私は香港を「東洋の真珠」と思うようになりました。夜、遥か空高くから香港を見下ろせば煌々と電気の灯る香港は、真っ暗な海底に沈む大粒の真珠に見えるはずです。

 1月7日に香港に戻る予定がありました。ところが前日の6日に義母が骨折で入院しました。ふた月延期して昨夕香港に戻って来ました。毎年この時期の香港は最悪の天候です。湿度が高く、道路までジメジメしています。昨日は予想外に晴れていました。

 人の多さ、人種の多さ、言葉の多さ、車の多さ。そんな香港の雑踏に立つと心の底からホッとしました。福岡ではのんびりと静かな生活を送っています。それなのに、このざわめきの中に身を置くとすっぽりと収まったような安堵感を覚えます。家に向かう車はいつもながらの混雑の中を走ります。ほんの1年前まで、私は今福岡で乗っている車でこの雑踏を走らせていました。ちょうど夕方のラッシュのせいもありましたが、我ながらこんなところをよく走っていたものだと思います。香港人の声高の広東語もここで生活していた時は嫌だったのに、今では微笑ましい。30年といえば私の人生のほぼ半分です。

 夕飯は普通の広東料理。私の好きなものをよくご存知の主人です。 これさえあればという、ナマコとアワビの煮物。日本の酢ナマコは苦手なのに、中華のナマコの煮物は大好物です。腰はあるものの柔らかなナマコ、アワビもふっくら仕上がっています。おそらくこのナマコは日本のものです。6つの棘があるナマコ、高級品は日本から乾燥して入って来ます。アワビも日本のものが一番高級、小ぶりなものはオーストラリア産です。 こんな大きな蝦の炒め物、流石広東料理です。

 お外に出れば見上げても最上階が見えないビルばかり、 ここはモモさんの故郷、香港です。そして、私たち夫婦が人生の半分、結婚生活の4分の3を過ごした香港です。今日は銀行、証券などの用事を済ませ、明日には福岡に戻ります。

 ここ数日、家中のモモさんの写真に向かって「モモ、香港に戻るよ。」と言いました。主人もこの家のモモさんの写真に向かって「モモ、お母さんが来るよ。」と言っていたそうです。モモさん、分身の術でいつも私たち夫婦のそばにいます。

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香港での買い物

2017年11月08日 | 香港

雨、17度、94%

 香港は買い物が楽しいと皆さん仰います。30年も生活していると、香港でしか物を買わないので楽しいかどうかわからないでいました。ただ、$25,000の服を見て、外に出れば同じような服が$25で売っているようなことはしばしばあります。つまりピンとキリがあっての面白さです。

 今回、買って帰りたいなあと思っていたものがいくつかありました。少し早いけれど孫娘へのクリスマスプレゼント、私の薄手のカシミアのパーカー、もっと寒くなって着るジョギング用の機能性の上着。ここ10年近く服を買うお店は決まっています。ウィンドーショッピングなどせずに目的のお店に直行です。

 「レンクロフォード」というセレクトショップのようなところがあります。IFCにある「レンクロフォード」に向かいます。IFCには他にもブランドのお店が入っています。「レンクロフォード」の一角、毎年子供向けのクリスマスコーナーがあるところに、今年もまた同じようにクリスマスコーナーがありました。孫娘に選んだのは、「エンジェルセット」です。クリスマスにエンジェルに変身してもらいます。

 カシミアのパーカーは数年前は流行っていて、色とりどりあったのですが、今年は普通のプルオーバーばかりです。そこで、階下の「J.CREW」に行きました。毎年カシミアのセーターがたくさん出ます。顔見知りのお姉さん、「今年はパーカーはないよ。」とのこと、がっかりです。セーターの横のソックスのカゴに「あれ?パグかしら?」グレーの地に犬が編み込まれています。 手にとってよくよく眺めます。「パグよね。」しかも心の中では、まるでモモさんが笑っている時にそっくりと思います。カゴにあった2つを求めました。

 いつも行くお店は全部見ましたが、カシミアのパーカーは今年は出ていません。諦めてスポーツショップに向かいます。同じブランドのスポーツショップでも日本と香港では品揃えが違います。帰国前に揃えた手持ちの防寒着でも十分ですが、薄くて暖かなパーカーを見つけました。しかも昨シーズンのものでお値段も半分、私のサイズもあります。しめしめ。

 買い物に出る前に、珍しく主人が「買い物に使いなさい。」とお金をくれました。孫娘へのプレゼント、ソックス、ジョギング用の上着。カシミアのパーカーがないので、いつものお店で半袖のブラウスと黒のウールのスカートを買いました。買い物途中で主人から電話です。「お金足りてる?」「もう全部使っちゃったよ。」

 初めて、やっぱり香港での買い物は楽しいなあと思います。福岡の同じブランドの店にある商品とは違って豊富にあります。暖かな土地なのに、ダウンウェアーを一年中売っている店では同じ店だとは思えない品数でした。ターゲットが香港人、中国人だからかもしれません。

 荷物を増やしたくありません。やっぱり香港の買い物は楽しいと、買ったものを大事にトランクに詰めました。パグのソックスは履くことができないだろと思います。モモさんが笑っているソックスです。

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やっぱり飲茶!

2017年11月06日 | 香港

小雨、22度、69%

 美味しい中華料理を食べたいとこの数カ月思い続けていました。「美味しい=お高い」ではないところが香港のいいところです。食べ物屋さんは屋台も含めればかなりの数です。

 主人は日曜日なのに午後から大連に出張に行きます。少し早めの飲茶です。朝飲茶も日曜日なら並びます。番号札を持ってさほど待たずに席に着きました。飲茶も昔ながらのワゴンに蒸籠を乗せて来るタイプとメニューに欲しいものに印ををつけて注文するタイプの2通りあります。ワゴンタイプはめっきり少なくなりました。ワゴンタイプのお店は蒸籠から上がる湯気とその食べ物の匂い、そして人たちのざわめきの入り混じった空間です。大きな中華レストランも数が減りました。家族や知人のテーブルを見つけられないほど大きなレストラン、今のようにスマホなんてないので歩き回って探しました。注文タイプの飲茶のお店の空気は綺麗です。お客様をお連れするのはワゴンが回ってくるタイプのレストランです。蒸籠の蓋を取って、中をお見せして好きなものを取ります。昨日は注文する飲茶でした。

 主人はまだまだ会食が続きます。ほんとはお家で軽く済ませたかったでしょうに、私に付き合って又しても中華です。このお店、アレンジされた飲茶です。オーソドックスなエビ餃子も形が違います。蒸し物ばかり6品頼みました。 そしてどれもエビばかりです。披露宴の食事のエビよりも大きなエビがコロコロと入っています。満足満足。

 「腸粉」もエビ。 小籠包はスープに入って出て来ました。 このスープも大変美味しいものでした。メニューを見て興味があったので頼んだこちら、 大きな餃子がスープに入っています。この餃子の皮は湯葉です。スープは金華ハムから取ったものでしょうか、清んだお味です。中華には辟易している主人を目の前にパクパクと食べあげて行きました。

 こんな高級な飲茶ばかりではありません。買い物に疲れてお腹がぐーぐー。町の麺ばかりのお店に入ります。背もたれもない椅子、当然相席です。頼むのは「鮮蝦雲呑麺」。 プラスチックの器からどんなお店かご想像ください。エビがプリプリとした雲呑に腰の強い細い麺です。こんなお店ですら、スープまで美味しく全部食べあげました。ワンタン麺を食べながら思い出しました。昨晩の新婦はイスタント麺しか作れなかったはずです。でも、香港なら大丈夫、町中に美味しいお店があふれています。

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香港の結婚披露宴

2017年11月05日 | 香港

曇、20度、68%

 香港に戻って来たのは、知人の結婚式に出席するためでした。式はカトリック式で行われます。新郎も新婦も敬虔な信者です。教会はやや中国寄りの田舎町、お式は欠席して夜の披露宴だけに出ることにしました。新郎新婦共に50歳を過ぎての結婚です。

 披露宴の始まる時間は8時、中国式ですからそれまでの時間は麻雀をして時間を潰します。ご親戚、友人、教会の方達、200席ほどの円卓が気がつけば満席です。この披露宴は中華のレストラン、披露宴専門のお店でした。テーブルに置かれたメニューには披露宴らしい料理の名前がつけられています。 断っておきますが、一品一品はそれほど高級なものではありませんでした。

  子豚の丸焼きです。生後8ヶ月の子豚を使います。目には赤い電球を入れてこれを灯して会場を暗くして子豚の丸焼きから料理は始まります。子豚の丸焼きは皮を食べる料理です。パリパリの皮の下は美味しい脂です。

こういう宴会の料理の時は、給仕の方が切り分けてくれます。 お次はエビとホタテを緑の野菜と炒めたものです。 丸々としたカニの爪。魚のすり身で太らされたカニの爪です。糸瓜という長い瓜があります。淡白な瓜です。その瓜の真ん中にホタテを詰めて蒸しあげてのがこちら。 

 フカヒレが香港で禁止されて幾年か経ちます。披露宴のメインディッシュだったフカヒレスープは消えて無くなりました。よく似た感触のゼラチン質の筋とエビカニを合わせたスープです。 本物のフカヒレのスープは大好物で、主人がどこに行っても頼んでくれました。おかげでフカヒレが禁止される前に「フカヒレのスープはもういらない。」と言うまでになっていました。 大きなアワビでなくトコブシの煮込みです。アワビとナマコの煮込み、これはいくら食べても大好きなものの一つです。クライマックスはこちら、 クエの蒸し物。「これが食べたかったのよ。」このクエのヒレの部分のお肉は全部私のお腹に入りました。最後はチャーハン、チャーミン。私にはチャーハン。 デザートは銀木犀のゼリーと昔ながらの蓮の実が入ったあずきのしるこです。 お祝いの意味を持つ「陳年」の陳皮で香りがつけられています。 昨晩もフルコース最後までしっかりいただきました。

 新婦とは15年以上のお付き合いです。もう結婚はしないのだろうと彼女の老後のことを主人は気にかけていました。「結婚式に出てください。」と送られて来た手紙に私がエイっと腰をあげた理由がお分かりいただけたと思います。しばらくぶりに会う彼女、披露宴の壇上で私と抱擁です。華奢な彼女はウェディングドレスがよく似合っていました。「おめでとう、ノーベンさん。」

 夜半近い帰りのタクシーの中、「本当に美味しかったの?」と主人が聞きます。お料理のレベルは分かっています。嬉しい結婚式、飢えていた中華料理、美味しかったに決まってますよ。

 

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