曇り,16度、63%
冬の暖の取り方も随分進化しています。私がまだ日本にいた頃は石油ストーブが全盛だったと記憶しています,ヒーターが付くようになって、今や冷暖房付きのエアコン。私の実家を整理した時,ストーブも幾つか捨てました。たった一つ残したのは、我が家が東京で使っていたアラジンのストーブです。
買ったのは30数年前、冬の朝、起きて来ると「リキ」という名前の猫がこのストーブの前でが火が入るのを待っていました。火を入れると、「リキ」のすぐ横に息子のその日に着る洋服を置きます。ストーブの上にはおやかんがいつものっています。雪が降ったときは,外にいる「テツ」という名前の犬もこのストーブの前に連れて来ました。おやかんはしゅんしゅん,お豆だって煮ます。お豆はコトコト。時にはポトフのお鍋がのってます。ポトフはフツフツ。お風呂から上がった息子の髪を乾かすのもこのストーブの前です。このストーブのまわりで我が家は,冬の寒さを凌ぎました。
都内の西南,多摩川に近いその家は冬になれば5センチもの霜柱が立ちました。平屋で迷路みたいな廊下のある小さな家でした。寒い冬の朝,筒状の部分を横に倒し,火をつけます。灯油の匂いが懐かしい。
新しいアラジンを買えばよさそうなものですが,この古いアラジンを使いたいと思います。嬉しい事に福岡でアラジンのオーバーホールをしてくれる方を見つけました。先日の帰国の時,このアラジンをしっかり抱いてその人のお店に行くつもりにしていました。ところが義母を昼食に連れ出したら思わず時間を食ってしまいました。次回の帰国はきっと厳寒の頃になると思います。必ずオーバーホールしてもらいに連れて行くつもりです。
随分汚れが目立ちます。小さい家に住んでいた頃は,息子も小さく,私たち夫婦も若かった。お金もなくて,それでも小さな家庭を遣り繰りしていました。寒さも身に沁みました。振り返れば,先も分からなかったあの当時が楽しく思えます。そんな私の気持ちをまたこのアラジンのストーブはブルーフレームで包んでくれると思います。