曇、9度、76%
結婚して間もない頃です。年末に包丁を研いでもらいました。街を回る研ぎ屋さんでした。その晩おせちの準備を始めました。よく切れる包丁はちょっとしたはずみで私の指に当たり深い傷を作りました。大きな包帯を巻いてもらい料理を続けた記憶があります。
自分で包丁を研ぎ始めたのは40年近く前です。鋳物のいい包丁はすぐにキレが悪くなります。度々研いでもらうにはお金がかかります。研ぎ屋さんの横で見ていた記憶で見よう見まね研ぎ始めました。下手くそですからすぐにまた研ぎます。香港に渡る引越しの荷物にも砥石を入れました。
香港にも街を回る研ぎ屋さんがいました。ところが彼らが研ぐのはあの大きな中華包丁です。繊細な和包丁ではありません。結局、自分で包丁を研ぎました。鋳物の包丁は研げば段々はが薄くなり小さくなります。主婦を始めて40数年、何本包丁を新しくしたでしょう。多い時は10本以上も包丁を持っていました。今では本当に必要な5本だけです。
年に10回ほど包丁を研ぎます。当たりが悪くなったと思うと砥石を出して来ます。砥石も数年前にはセラミックのものに代えました。シャープナーも使ってみましたが、やっぱり砥石に戻ります。年末に砥石を出して来て包丁を研ぐ時は、他の時とは違って気合が入ります。一年の料理を思い返すことも、クリスマスやおせちの料理の構想も包丁を研ぎながら考えます。きっと普段より研いでいる時間も長いはずです。
指先に伝わる砥石と刃物の触れ合う感触、耳に響く透明な音。短い時間ですが心地の良さを味わいます。昨日はそんなんこんな思いのほかに、あと何回こうして年末の包丁研ぎができるのかなと思います。初めてこんなことを思いました。年末の包丁研ぎは一年の締めくくり、そして来年につなぐ私の大事な時間です。
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