曇、21度、74%
数日前、郵便受けを開けると葉っぱが一枚入っていました。「?」作り物の葉っぱでなく生の葉っぱです。濃い緑色、裏に返すと友人の字が数行、私の宛名と消印も見られます。 この葉っぱ、間違いなく郵便屋さんが運んで来たものです。庭にいる時、郵便屋さんのバイクの音と郵便受けが閉まる音を聞いて覗きに来ました。
長さ15センチ、幅が3センチほどの硬い葉っぱです。住所、私の名前、ほんの短い秋のご挨拶が書かれていました。本当に葉っぱかと幾度も見返し、匂いも嗅ぎます。匂いはありません。縁にギザギザのあるこの葉っぱは「多羅葉」と言われる木の葉っぱだそうです。裏の文字は筆記具で書いたものではなく、尖ったもので字を書くと黒く浮かび上がるこの「多羅葉」の不思議さを利用したものだそうです。
日本の「葉書」の起源がこの「多羅葉」。つまり葉っぱに書くから「葉書」。言ったことを書き留めておくので「言葉」の起源になったとも言われています。昔ならこの葉っぱに歌でも書いて人伝に「葉書」として使ったのでしょうが、現代の郵便で運ばれて来たことに驚いています。「定形外」に違いない。郵便屋さんも一枚の葉っぱを郵便受けに入れた時どう思ったかしらとちょっと笑ってしまいます。
「多羅葉」が郵便受けに入っていた日から数日経ちました。緑の色が退色してくるっと巻いて乾燥が始まっています。急いで厚い本に挟んで「押し葉」にしましょう。
「多羅葉」はモチノキ科の高木だそうです。庭の高い「モチノキ」の葉っぱは同じような緑ですが、もっと小さくギザギザはありません。木の葉っぱに文字を書く、そんなことを思い付いた人はどんな人だったのかと、改めて葉っぱの葉書「多羅葉」を手に取りました。
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