ホテル立山の前から出ているトロリーバスに乗って、出発です。窓の外は真っ暗ですから、どこに座っても同じでーす、という搭乗員さんの言う通りでした。立山連峰を突き抜けるトンネルをくぐっていきます。向こう側に着くと、なんと、晴れていました。みんな大喜びでしたが、誰よりも添乗員さんが嬉しそうな顔をしていました。大観望と名付けられただけあって、さすがに、すごい眺望です。前日は何も見えなかった北アルプスの山々がくっきりと目の前に現れていました。赤沢岳とか、野口五郎岳(歌手の人と関係あるのでしょうか)とかが連なっています。うしろは、裏立山です。山好きのワイフは、うっとりとした顔で前をみたり、振り返ったりして、眺めています。私は、少し下に降りて、名も知らぬ高山植物の花に舞う、数匹のアゲハ蝶を見つけ、しばらく眺めていました。ここにも静かな世界がありました。
大観望から、ロープウエイで下ります。眼下に黒部ダムが見えてきました。駅を降り、ダムの堰堤を歩き、向こう側に渡ります。途中で轟々と勢いよく、流れ落ちる放水をみることができました。運が良かったのかと思いましたが、この時期は、観光用にいつも放水しているようです。
黒部ダムというと、どうしても石原裕次郎さんと三船敏郎さんの映画、黒部の太陽を思い起こします。私も、この映画は、就職してすぐの頃でしたが、みました。順調に進んでいたトンネル工事が、大量の土砂と水の噴出する破砕帯にぶつかり、非常事態になります。技術者の叡智を絞り、ようやく、そこを突破することに成功しますが、その間、多くの犠牲者が出てしまいます。詳しい筋は忘れてしまいましたが、涙と汗の男達の物語には感動しました。
殉職者慰霊碑の前に来ます。花が添えられています。171名すべてのお名前が記されています。いつ来ても、この碑の前に立つと、厳粛な気持ちになります。この方達の尊い犠牲により、この黒部ダムはできあがり、また現在の重要な観光資源にもなっているのです。彼らは、私達より少し前の世代になりますが、戦後の日本の復興をに担った世代です。この像は、苦労してこられた同世代の人々の象徴のようなものです。私が新婚旅行で訪れたときは、まだ20代で張り切っていた頃でしたから、きっと、これからは俺たちが、この日本を支えますくらいのことを誓ったに違いありません。今は、その私達世代も現役を引退しています。そして、すぐ後にも団塊の世代の引退が続きます。時の流れを感じます。
難産して完成した歴史的トンネルを歩いて抜け、さらに、現在、全国でここだけというトロリーバスで扇沢に出ます。そこから、バスで少し走り、くろよんロイヤルホテルで昼食です。うるさいワイフが絶賛したお料理でした。さすが、湯木貞一さんの吉兆の支店です。おいしいものを食べたあとのワイフの顔は、いつもと違います。しばらく幸せいっぱい、胸いっぱい、の顔でした。
幸せ顔の20数名を乗せて、バスは、次の目的地、上高地に向かいます。バスの中で、この次は、新婚旅行と全く同じコースで、同じホテルに泊まって、旅行するのも面白いね、という話をしていました。実現するでしょうか、お楽しみです。
ここから先は、新婚旅行のコースに入っていませんでしたので、この「思い出旅行」もこれで終りにしたいと思います。
(完)
大観望から、ロープウエイで下ります。眼下に黒部ダムが見えてきました。駅を降り、ダムの堰堤を歩き、向こう側に渡ります。途中で轟々と勢いよく、流れ落ちる放水をみることができました。運が良かったのかと思いましたが、この時期は、観光用にいつも放水しているようです。
黒部ダムというと、どうしても石原裕次郎さんと三船敏郎さんの映画、黒部の太陽を思い起こします。私も、この映画は、就職してすぐの頃でしたが、みました。順調に進んでいたトンネル工事が、大量の土砂と水の噴出する破砕帯にぶつかり、非常事態になります。技術者の叡智を絞り、ようやく、そこを突破することに成功しますが、その間、多くの犠牲者が出てしまいます。詳しい筋は忘れてしまいましたが、涙と汗の男達の物語には感動しました。
殉職者慰霊碑の前に来ます。花が添えられています。171名すべてのお名前が記されています。いつ来ても、この碑の前に立つと、厳粛な気持ちになります。この方達の尊い犠牲により、この黒部ダムはできあがり、また現在の重要な観光資源にもなっているのです。彼らは、私達より少し前の世代になりますが、戦後の日本の復興をに担った世代です。この像は、苦労してこられた同世代の人々の象徴のようなものです。私が新婚旅行で訪れたときは、まだ20代で張り切っていた頃でしたから、きっと、これからは俺たちが、この日本を支えますくらいのことを誓ったに違いありません。今は、その私達世代も現役を引退しています。そして、すぐ後にも団塊の世代の引退が続きます。時の流れを感じます。
難産して完成した歴史的トンネルを歩いて抜け、さらに、現在、全国でここだけというトロリーバスで扇沢に出ます。そこから、バスで少し走り、くろよんロイヤルホテルで昼食です。うるさいワイフが絶賛したお料理でした。さすが、湯木貞一さんの吉兆の支店です。おいしいものを食べたあとのワイフの顔は、いつもと違います。しばらく幸せいっぱい、胸いっぱい、の顔でした。
幸せ顔の20数名を乗せて、バスは、次の目的地、上高地に向かいます。バスの中で、この次は、新婚旅行と全く同じコースで、同じホテルに泊まって、旅行するのも面白いね、という話をしていました。実現するでしょうか、お楽しみです。
ここから先は、新婚旅行のコースに入っていませんでしたので、この「思い出旅行」もこれで終りにしたいと思います。
(完)