朝食をとっているとき、スピーカーの大きな声が流れてきました。洪水警報が出ました、気をつけて下さい、というアナウンスでした。私は、大船に越してきてから、1年ちょっとしか、なりませんから、ここでの水害の経験はありません。それでも、大雨など降ったあと、すぐ近くの砂押川やその本流の柏尾川が、急に水量を増し、怒り狂ったように流れる様をみると、きっと、今のようなしっかりした堤防がなかった時代には、溢れることが、たびたびあっただろうなと、想像していました。砂押川は、普段は、優しい、というより弱々しい流れで、住んでいる大きな鯉が沈みきれず、背中を丸出しにしているほどですから、大雨のときの、その変貌ぶりには驚いたものでした。
私は、身近な地域の歴史を知るのが好きで、水害についてもちょっと調べてみたことがあります。いくつか資料がありましたが、一番詳しかったのは、地元の佐々木泰三さんが書かれた「水の出る街、大船」という本でした。
やはり大船は水害の町でした。ほぼ10年に1度の割合で起こっていたようです。昭和13年(1938年)には、6月の梅雨と9月の台風の時に連続して、大きな被害がありました。蒲田から、大船に松竹撮影所が移ってきたのが、昭和11年でしたから、撮影所の人達や、田中絹代さんらの女優さんは、えらい所に来てしまったと後悔したに違いありません。田中絹代さんと上原謙さんの愛染かつらが空前のヒットをした年にあたります。
昭和33年9月26~27日にかけて、狩野川台風が江ノ島に上陸しました。伊豆で甚大な被害をもたらしましたが、大船でも大きな水害となりました。しかし、何と言っても、昭和36年6月28日の梅雨前線の豪雨による未曾有の大水害が、地元の人にとっては、記憶に強く残っているでしょう。大船地区の25%の家屋が、床上浸水になり、90%が床下浸水だったそうです。さらに、その水は北鎌倉駅、手広交差点、梶原口、笛田あたりまでに及んだそうです。
その後、昭和41年の台風4号の水害では、駅東口商店街がすっぽり水に浸かり、胸元まで水がたまったそうです。大船フラワーセンターは、昭和37年に出来ましたが、この水害でかなりの植物がやられてしまったということです。私はこの頃、川崎に住んでいましたが、やはり近くの細い川が氾濫し、床上浸水になったことを覚えています。畳を上げたあと、おまえは、その上に乗って、のんきにギターを弾いていたと、いつも母にからかわれたものでした。
大船の水害は、まず柏尾川の支流の梅田川、小袋谷川、そして砂押川の順に氾濫するそうです。柏尾川の水量が増え、水位が上がると、支流が逆流してしまうため、溢れるのだそうです。そして、最悪の場合は柏尾川が氾濫するということになります。大船はお椀のような盆地状の地形なので、溢れた水がどんどん溜まっていくのです。このように、大船は、水害になりやすい「体質」だといえます。
現在は、それぞれの川の護岸工事も進み、「体質改善」されましたので、以前ほどの、ひどい水害はないかもしれません。しかし、自然災害だけは、突如として、想定外の規模でやってきますので、まだまだ大船(おおぶね)に乗った気持ちというわけにはいきません。ただ、私はマンションの上の方に住んでいますので、床上浸水になることは、まず、ないかと思っています。
私は、身近な地域の歴史を知るのが好きで、水害についてもちょっと調べてみたことがあります。いくつか資料がありましたが、一番詳しかったのは、地元の佐々木泰三さんが書かれた「水の出る街、大船」という本でした。
やはり大船は水害の町でした。ほぼ10年に1度の割合で起こっていたようです。昭和13年(1938年)には、6月の梅雨と9月の台風の時に連続して、大きな被害がありました。蒲田から、大船に松竹撮影所が移ってきたのが、昭和11年でしたから、撮影所の人達や、田中絹代さんらの女優さんは、えらい所に来てしまったと後悔したに違いありません。田中絹代さんと上原謙さんの愛染かつらが空前のヒットをした年にあたります。
昭和33年9月26~27日にかけて、狩野川台風が江ノ島に上陸しました。伊豆で甚大な被害をもたらしましたが、大船でも大きな水害となりました。しかし、何と言っても、昭和36年6月28日の梅雨前線の豪雨による未曾有の大水害が、地元の人にとっては、記憶に強く残っているでしょう。大船地区の25%の家屋が、床上浸水になり、90%が床下浸水だったそうです。さらに、その水は北鎌倉駅、手広交差点、梶原口、笛田あたりまでに及んだそうです。
その後、昭和41年の台風4号の水害では、駅東口商店街がすっぽり水に浸かり、胸元まで水がたまったそうです。大船フラワーセンターは、昭和37年に出来ましたが、この水害でかなりの植物がやられてしまったということです。私はこの頃、川崎に住んでいましたが、やはり近くの細い川が氾濫し、床上浸水になったことを覚えています。畳を上げたあと、おまえは、その上に乗って、のんきにギターを弾いていたと、いつも母にからかわれたものでした。
大船の水害は、まず柏尾川の支流の梅田川、小袋谷川、そして砂押川の順に氾濫するそうです。柏尾川の水量が増え、水位が上がると、支流が逆流してしまうため、溢れるのだそうです。そして、最悪の場合は柏尾川が氾濫するということになります。大船はお椀のような盆地状の地形なので、溢れた水がどんどん溜まっていくのです。このように、大船は、水害になりやすい「体質」だといえます。
現在は、それぞれの川の護岸工事も進み、「体質改善」されましたので、以前ほどの、ひどい水害はないかもしれません。しかし、自然災害だけは、突如として、想定外の規模でやってきますので、まだまだ大船(おおぶね)に乗った気持ちというわけにはいきません。ただ、私はマンションの上の方に住んでいますので、床上浸水になることは、まず、ないかと思っています。