かまくら名人劇場、第17回、”よったり・寄ったり競演会”を楽しんだ。会場がすぐ近くの鎌倉芸術館なのがいい。座席も指定なので、直前に行けばいいし。まず、前座の鯉ちゃの”やかん”。濃い茶のやかん(爆)。この世に知らぬものはないといばる御隠居さんの、グシャ(愚者)八五郎の質問に対する屁理屈返答で会場を湯沸かしのやかんのように沸かせる(笑)。
そしてよったり(4人)の真打ち(上方はその制度がないが)登場。まずは上方落語の桂かい枝。関西弁だけではなく英語落語も得意らしい。16ヶ国も廻ったそうだ。この前もサウジアラビアで噺をしてきた。あそこは大変ですね。イスラムの国ですから、会場は男と女に分け、始まると会場の真ん中からするすると遮断幕が降りてきて男女を分ける。だから高座からはみなさんの顔を一堂に見渡せない。”家政婦がみた”、みたいに左の男をみて、右の女をみてと、大変なんです。その上、女は10歳を超えると目だけを出した覆面をする。笑ってんだかどうかわからない、そのうち気付きましたね。口元が息でふくらむときが笑ってるんです(爆)。と、枕で笑わせ、演目は熊五郎夫婦の喧嘩を仲裁する旦那の噺”堪忍袋”。たくみな話術だった。
そして、笑点でもお馴染み、三遊亭小遊三(こゆうざ)。演目は”幇間腹”。道楽者の若旦那、あらゆる遊びをやりつくし、暇をもてあましている。さて鍼でもやってみるかと、土壁を相手に練習し、息のあるものにもと猫にぶすりと刺す。にゃーごと若旦那をひっかじいて逃げる。さて次は人体実験、たいこもち(幇間)の一八を金で釣る。お腹にぶすり、途中で鍼が折れてしまう。こういうときは連れ戻しの鍼をしなければ、とまたぶすり。これも折れてしまう。痛くて泣き叫ぶ一八。そのうち若旦那は逃げてしまう。オチは若旦那に逃げられ一文にもならない、破れ腹で(太鼓が)鳴らない”
後半は立川生志(しょうし)。談志の弟子。激しい稽古で有名なところ、苦労したらしい。こうふくまくしゅよう、に罹って1年ほど闘病生活をしたとのこと。幸福まくではありませんよ、後腹膜腫瘍という病気で良性だったから助かりました。先生に原因は何でしょうとお聞きしたらストレスです(爆)。演目は”反対俥” 上野まで急がなければ男が人力車を探している。ようやく捕まえた人力車の車夫はよわよわしく、なかなか進まない。よくみると点滴までしている。病院から稼ぎに出てきたという。50銭やって次ぎのを探す。これは元気がいい。しかし暴走人力車。途中で眼にほこりが入り、みえなくなっても突っ走る。おいおい踏切が閉まるところだよ、汽車と競争だと突っ走る。あああ・・と大変な思いをして上野に無事到着。こちらまで、ひやひやしてしまう落語でした。
トリは、三遊亭円丈。新作落語。演目は”ぐつぐつ”。おでん屋台の親父とお客のやりとりと、おでん鍋の中のちくわ、はんぺん、じゃがいも、大根、たまご、しらたき、巾着などのやりとりを混ぜ合わせた噺。おでん鍋の主といばっている、ちくわは、実は鍋の底に押しつけられ4日も売れ残っている落ちこぼれ。やはり売れ残りの巾着も油揚げの袋がやぶれ、緑のぎんなんが飛び出し、ちくわの穴にはまる。それ以来、ふたりは恋に落ちる。ようやく一緒になれるかと思ったら、最後は巾着は半値で売られ、ちくわは犬のえさになる。ぐつぐつぐつぐつ、面白いおでん物語だった。ぼくはおでん種では、ちくわが一番好きです。
お笑いは夜になってもおわらなかった。5名のミニクラス会が上大岡で開かれた、女ふたりが、いくよ・くるよみたいにしゃべりまくり、わっはわっはの連続だった。こちらもとても楽しい飲み会だった。忘年会は12月、元住吉で開くことになった。次ぎのかまくら名人劇場もその頃になる。笑って年を越せそうだ。

ミニクラス会のI君から、趣味の鎌倉彫りをもらった。彫りも塗りも自分でやったというからすごい(たいていは彫りだけで、塗りは専門家にまかせる)。ますます腕があがっているようだ。
