気ままに

大船での気ままな生活日誌

楽美術館 (冬の京都#5)

2015-01-22 09:45:03 | Weblog

冬の京都シリーズが途切れて、久しぶりの登場である。あと、美術館関係をふたつほど残している。そのひとつが、今回の楽美術館の”特別展・宗入生誕350年”である。

御苑から西に延びている一条通りを、交差する油小路通りまで歩き、そこを左に折れると、楽美術館がみえる。建物の手前が楽家の住居で、その向こうが美術館になってる。黒っぽい板塀と犬矢来がうつくしい、いかにも楽焼家元といったシックな建物だ。

楽焼家元楽吉左衞門宅の標識

美術館玄関口

はじめての訪問なので、ちょっと緊張する。一階、二階が展示場となっていて、まず一階に入ると、部屋の中央に、楽家初代・長次郎の作品がどーんと控えている。黒樂茶碗・萬代。いかにも長次郎という茶碗。銘が萬代というのも、現在までつづく楽家に相応しい。じっとみていると、左の壁に置かれているきらりとひかる黒楽茶碗が目に入る。ノンコウだなと寄って行く。やはり、そうだった、三代道入。三つもある。銘青山(ノンコウ加賀七種のひとつ)、木下そして、残雪。長次郎の重く沈み込むような印象に対し、ノンコーのは、おおらかで、むしろ軽みの世界。人気があり、ぼくも好き。楽家でみるノンコウはまた格別。

道入 黒楽茶碗銘残雪

その部屋には、さらに四代一入の赤楽茶碗(青苔、嘉辰)、そして九代了入の作品がいくつか並んでいる。初代から200年も経っている了入は、ノンコウとは違った軽み、自在さが好ましい。古稀のとき、自祝の茶碗をつくった。それが、また、自由自在で、気ままで、ぼくもとても気に入った。自祝に買おうと思ったが(爆)、実物はとても買えないので、代わりに絵ハガキを購入した。

九代了入 銘古稀七十之内

二階に上がると、ここが特別展・宗入生誕350年()楽家五代で、寛文4年(1664)京都の呉服商、雁金屋・尾形三右衛門の子として生まれ、四代一入の養子として樂家に迎えられました。宗入は、歴代の中で長次郎に最も心を寄せて作陶を行った人物です。宗入の用いる光沢の失せた黒釉は「カセ釉」とよばれ、まるで鉄の釜肌のような侘びた趣です。それは長次郎茶碗の再現ではなく、その侘びた姿の奧には艶やかな趣さえ感じられる、独特の侘茶碗の世界を築き上げています。(案内より)

五代宗入 黒楽茶碗・三井晩鐘

五代宗入 黒楽茶碗・勢田夕照

宗入の父・三右衛門は尾形光琳・乾山兄弟の父・宗謙の弟で、宗入と光琳・乾山は従兄弟同士にあたる。ということで、展示室には乾山作の茶碗も。

乾山 銹絵緑釉松図茶碗

そして、当代・十五代吉左衞門(昭和24年生まれ)の作品も。長次郎の対極をいくモダンな作風。現代の長次郎がはばたいていた。

素晴らしいひとときだった。

 

コメント
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