気ままに

大船での気ままな生活日誌

谷崎潤一郎展/絢爛たる物語世界

2015-06-09 06:24:47 | Weblog

旅先からの投稿です。溜まった展覧会感想文を片付けようシリーズ第一弾です(笑)。

没後50年を記念して谷崎潤一郎展が、神奈川近代文学館で5月23日まで開催されていた。だいぶ前に観たのだが、記録だけでも残しておこうと思う。サブタイトルが”絢爛たる物語世界”であるが、谷崎自身の人生そのものが絢爛たる物語世界といえるだろう。だから、恋愛遍歴文学展みたいなもので、とても面白かった(笑)。

文学展には珍しく、観客に若い女性が多かった。それは、実在の文豪が登場するマンガ”文豪ストレイドッグス”(ヤングエースで連載中)とのコラボキャンペーンが実施されているためのようだ。谷崎と共に「痴人の愛」のヒロイン「ナオミ」と呼ばれるキャラクターも作中に登場しているのだそうだ。日本刀女子につづき、”文豪女子”も出現しているようだ(爆)。

谷崎潤一郎(1886~1965)の一生が豊富な資料で紹介される。美術品も多く、展示され、2年ほど前、ここで開かれた”泉鏡花展”に匹敵する面白い文学展であった。図録からの写真(美術品を主に)を入れながら、辿ってみたい。

谷崎潤一郎(1886~1965)は1910年(明治43)、「刺青」「麒麟」などを発表。 その耽美的な作品で、自然主義が隆盛を極めていた当時の文壇に大きな衝撃を与えました。 以後、79歳で世を去るまで独自の文学を展開。「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、完璧に構築された物語は、日本のみならず海外でも多くの人びとを魅了しています。 谷崎の絢爛たる物語世界は、生の途上で出会った美を貪婪に味わう中で紡ぎ出されました。 特に、崇拝する女性たちから得たインスピレーションは、数々の名作の源となっています。 没後50年を記念して開催する本展では、先ごろ発表された、谷崎の〈永遠女性〉―妻・松子へあてた膨大な書簡などの新資料を中心に、芸術に生涯を捧げた文豪の足跡をたどります。(ホームページより)

谷崎の最初の創作集”刺青”(1911) 装幀・橋口五葉 
 

お艶殺し(1915) 装幀、挿画・山村耕花

明治40年代に結成された耽美的な芸術懇談会”パンの会。小山内薫、吉井勇、谷崎ら。敬愛していた荷風ともここで会う。
木村別荘八画”パンの会”

”少年” 鏑木清方画。創元社が企画した本の挿絵として描かれたが、刊行されなかった。1970年に、中央公論社より限定360部和装豪華本に全点が収録された。

橘小夢画 ”刺青” (1923) 木版画。谷崎の”刺青”に想を得た。

妻、松子とその妹・重子と交わした書簡。関西女性の美を体現する姉妹との生活から”細雪”が生まれる。

松子への誓約の書。この月、前妻の、とみことの離婚が成立。ちなみに、前々妻は、佐藤春夫夫人になった千代。

松子の容貌を参考にしたという、北野常富画、”茶々殿”

棟方志攻画 ”鍵”の挿絵原画

遺品の手袋 永年酷使した右手の痛みに悩まされ、晩年は真夏でも手袋を着用していた。”瘋癲老人日記”など晩年の作品のインスピレーションの源となった義妹の息子の嫁が編んでくれた。

我といふ人の心はただひとりわれより外に知る人はなし 文学的遺書となった随筆”雪後庵夜話”の冒頭に掲げられた歌。

最後は、”細雪”の舞台にもなった平安神宮神苑の枝垂れ桜にしましょうか。

2015年4月

日南のジャカランダも良かったですよ。帰ってから報告します。

コメント
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