気ままに

大船での気ままな生活日誌

蔡國強展:帰去来

2015-08-05 10:45:22 | Weblog

横浜美術館の”蔡國強展:帰去来”を猛暑の中、訪ねた。この現代美術家について、ぼくは何も知らなかったが、あの北京五輪の開会式の花火装飾を手がけた人だと聞いて、興味をもったノダ。展覧会をみて、ぶったまげた、意表をつかれたというか、とにかく、異色な作品群に驚き、感服した。十分、楽しませてもらいましたよ。

いきなり、巨大な作品が目に前に拡がる。入場前の、エントランスホールに展示してあり、これだけは撮影可能となっている。どれだけ大きな作品か、百聞は一見にしかず。これをご覧ください。

みみずくがいて、

桜の花が咲く。

画題は夜桜。墨絵のようだが、火薬と和紙を使った作品。展示室内で作成過程がビデオでみることができる。火薬を散らし、それに火を入れ、燃やしながら、消していく。焦げた跡がまるで、墨のよう。まず、この作品に度肝を抜かれ、このあと、どんな作品が待っているのかわくわくどきどき。

はじめに入った部屋。ホールの作品とはまるで違うイメージ。春画のようだと思ったら、江戸の月岡雪鼎の春画を下敷きにしているという。人生四季:春、夏、秋、冬という四つの巨大作品から成り立っている。オブラートにつつまれたように描かれた男女のからみと花札の絵柄が散らばっている。一応、中学生以下は父兄同伴となっているが、そうする必要もないくらいのもの。たとえていえば、花のおしべとめしべを描いているような感じ。色も明るく、むしろ、ほのぼのとするほどだ。火薬とカンヴァスの作品。

そして、一転、磁器タイルと火薬をつかった作品が現れる。春夏秋冬。焼け焦げた四面の壁に、やはり焦げついた季節の花々が咲いている。細密に細工をされた花弁をたくさんつけた菊をはじめ、梅、桜、桔梗、蓮など。そして、部屋の真ん中には、朝顔(陶、藤蔓、鉄)の蔓が伸びている。墨絵の花畑に迷い込んでしまったような不思議な感じ。

そして、最後の部屋でまた、チョー度肝を抜かれる。剥製の狼が無数に群れを成して、向こうの白い壁に飛んでゆく。剥製かと思ったら、これも作品で、鉄芯、藁、石膏、着色された羊の毛皮でつくったものだそうだ。99匹いるという。この狼の間を自由に歩くことができる。皆、それぞれ、個性のある顔をしていて、ほんとうに可愛い。口の中に手を入れたいくらいだったが、監視人がこちらをにらんでいたのでやめた。白い壁はベルリンの壁と同じ高さだという。故国への想い、批判が込められているのかも。日本初公開となる近年の代表作とのこと。壁撞き(かべつき)。

タイトルの”帰去来(ききょらい)”は、中国の詩人、陶淵明の”帰去来辞”から引用しているとのこと。官職を辞して、故郷で、自然に身をゆだね、自由な精神で生きようと決めた詩。蔡國強の心でもあるのだろう。

常設展示室に、平櫛田中作の”陶淵明”が展示されている。

うしろの屏風は大観作”江上舟遊”。蔡國強は大観作品に惹かれるという。

大カラス。蔡國強作品をみて、もっと、もっと巨大にならねばと思ったかもしれない。

素晴らしい展覧会だった。

 

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九州国立博物館と大宰府天満宮(福岡の旅#6)

2015-08-05 08:13:20 | Weblog

博多祇園山笠の見学を主とした福岡の旅から帰ってきて、もう半月にもなる。その間、思い出したようにように、”福岡の旅”日誌を綴ってきたが、そろそろシリーズも終わらせねばと思う。まだ、書き残していることが山ほどあるが、やっぱり大宰府天満宮と隣接する九州国立博物館のことは省くわけにはいかない。

ちょうど5年ほど前にも訪ねている。九博が今年、10周年を迎えると言うから、5周年のときにはじめて足を踏み入れたことになる。そのときは阿修羅展が終わったばかりで、大変な混雑だったと聞いた。今回は”大英博物館展”を開催中だったが、混雑というほどではなかった。ぼくはトーハクで見ているので、ここでは常設展を、家内は特別展をそれぞれみることにした。

むしの考古学”という企画展があった。トンボなどの昆虫の化石のほか、トンボ形鞘金具(古墳時代)、や、虫の文様が刻まれた辰馬404号銅鐸(重文、弥生時代)、八稜鏡など。撮影不可で紹介できません。トーハクならOKなのにね。

”今月の名品”コーナーには、国宝の梵鐘(839年作、福岡市・西光寺)がでんと置かれていた。鐘を吊るす部分(龍頭)の文様の左右の龍が、通常は下を向いているが、ここのは上を向いているのが特徴とのこと。また、この鐘は放浪癖があるらしい(笑)。もともとは伯耆国(現 鳥取県)の金石寺のものだったが、中世には出雲大社の所有となり、更にまた、幾つかのお寺を転々とした。そして、明治時代に大阪の古物商に売りに出され、今の西光寺が買いとったとのこと。また、そろそろ、うろつきはじめるのではないだろうか(笑)。

常設展のいろいろのコーナーがあった。倭人伝の世界(日本列島全域に展開する縄文土器や北部九州の鉄器・青銅器の生産関連資料など)、九州陶磁の華/田中丸コレクションにぎやかな古墳のまつり、などいろいろ楽しませてもらった。

九博

九博と大宰府天満宮はトンネルで繋がっている

大宰府天満宮

梅林の多いのは、あたりまえだが、クスノキのりっぱなのが多いのには驚いた。境内の梅林とクスノキの森が、”かおりの風景百選”
に認定されているそうだ。

飛梅 菅原道真が都を発つとき、庭の梅が一夜にして飛んできたという伝説がある。


厄晴れ瓢箪

外国人の参拝者が多いのにはびっくり。5年前とは大違い。浅草以上という感じ。博多とセットの旅行だろうか。参道では一個売りの梅ヶ枝餅を食べながら歩いた。あの日もほんとに暑かった。

博多では、もちろんラーメンもいただきましたよ。でも、うどんもおいしかったですよ。キャナルシティーの能古うどん。お店の人がうどんの発祥の地は博多だと自慢していたが、本当だろうか。うどん県の人が怒るかも(笑)。

これで、福岡の旅シリーズ終了といたします(完)。楽しい旅行でした。また、行きたい!まだ、博多どんたくも行っていないし。



 

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