横浜のそごう美術館で歌川国芳展がはじまったというので、初日(8月1日)にみてきた。浮世絵はやっぱり、うしろの人に気兼ねなく、ゆっくりみたいもの。この条件を十分、満たしてくれる環境で鑑賞するこができた。
自分のブログに”国芳”のキーワードを入れて検索すると、延々と関連記事がつづく。それほど、よくみている。たぶん、北斎、歌麿、春信、広重より多いのではないかと思う。ただ、国芳の回顧展というと、2012年2月にみてきた、森アーツセンターギャラリーの”没後150年/歌川国芳展”くらいだろうか。
そのときの総展示数が、420点という大規模なもので、武者絵からはじまり、役者絵、美人画、そして、天保の改革後に、役者や遊女は描けなくなり、子供絵や人を猫や犬や金魚の顔にした擬人画と、縦横無尽な作風の変化を見ることができた。今回の展示数が約200点だから、半分ほどのスケールになる。でも、やはり、さまざまなジャンルの浮世絵が網羅されており、同様に、楽しむことができる。九つのテーマにまとめられているが、そのうち、いくつかのテーマについて感想を述べてみたい。
武者絵のはじまり・豪傑・合戦の図。まず、30歳を過ぎてからの国芳の出世作”水滸伝シリーズ”がずらりと並ぶ。豪傑の顔はもちろん、闘う姿にも力がみなぎっていて、国芳の、よし、いくぞ、いよいよ俺の時代だ!といった気概が強く感じられる力作ばかりだ。これまでも、何度もみているのに、今回、とくにそう感じた。自分のことを振り返ってみても、30代は一番、いい仕事ができたように思う。
それを引きずって、第3節のヒーローの妖怪退治・怨霊・幽霊も、力がみなぎっていて良かったと思った。歌舞伎でもみたが、源頼光土蜘蛛の妖怪を斬る図や坂田怪童丸。そして、名作、相馬の古内裏や鬼若丸大鯉退治、浅茅原一ツ家之図なども。
一転、天保の改革後のゆるい絵、洒落とユーモア/擬人パロディー(猫・狐・鯉)。お馴染みの絵ばかりだが、うふふと楽しませてもらった。粋なファッション・鉄火肌の女たちも、面白い。とくに、”山海愛度図会”の美女と猫シリーズがお気に入り(汗)。えりをぬきたい/ヲヲいたい/くせが直したい/はやく酔いをさましたい、どれも良し(笑)。
今回も図録を買っていないので、ちらしの写真と一部、マイ画像を載せます。後期展示のも含まれています。近くなので、後期も、訪ねてみよう。
坂田怪童丸

相馬の古内裏

江戸名所見立十二ヶ月の内 六月 山王御祭礼 団七九郎兵衛(四代目中村歌右衛門)

猫のすずみ

山海愛度図会/えりをぬきたい

としよりのよふな若い人だ

近江の国の勇婦於兼(後期のみ)

横浜本朝の図(上) 流行猫の曲手まり(下)


