京都お盆の旅シリーズ、最終回は市内からバスで二時間以上もかかる山奥なのに、何故か京都市左京区(笑)、花背の美山荘での摘草料理のこと。花背の地名の由来は、花の都の背中側に位置するからという説があるそうだ。
最近、トンネルができたおかげで、随分、楽になりましたとバスガイドさん。たしか十数年前、訪ねたときは、対向車がきたら、もうおわり、というような細い山道をがたがた揺れながら辿りつき、家内などは、お料理はおいしかったけど、もう行かないと言っていた(笑)。それが、今回はすいすい。でも、コースが違う。前回は鞍馬から花背峠を越えて行ったが、今回は、右京区の高山寺から京北町を経由する、京都北の大回りで花背に入った。
あけびのお茶をいただきながら、美人の若女将のご挨拶があり、まずは一献のお料理がはじまる。冷酒がついているのがうれしい。以下、お献立の順に、ご紹介いたしまする。つい姿勢を正したくなるようなお献立でござりまする。
一献 枝豆房揚、あまざ松の実和え、川海老、おくら、新蓮根、地卵味噌漬け、タニシ山椒煮など

汁 万願寺よせ白味噌仕立て(写真なし)
向付 鯉あらいなど(写真なし)
進肴 無花果凍りごまよごし(写真なし)
お凌ぎ 鮎すし

煮物椀 水晶鰻と大根餅、針胡瓜など

焼き物 鮎塩焼き

炊合 山科茄子、太胡瓜、鴨ロース(写真なし)
ご飯 鮎ごはん 香の物

水物 美山乳アイス 桃すり流し

菓子 焼よもぎ餅(写真なし)
お献立

めったに頂けないお料理に舌鼓。ごちそうさまでござりまする。思い出に残るお食事でございました。
美山荘

お食事どころ

美山荘の脇を寺谷川が流れる。桂川、保津川となり、嵐山の渡月橋をくぐる。

美山荘に隣接して、峰定寺(ぶじょうじ)の山門。美山荘はここに参る山伏たちの宿坊として始まった。

司馬遼太郎もここを訪れている。街道をゆく(4)に、美山荘で一泊し、ご馳走をいただいた感想をこう述べている。あけび茶をいただき、ワラビの海苔巻、むかご、またたびの煮物、蕗の天ぷら、アマゴの天ぷら等、そして、最後に栗ご飯。といえば、東北や信州の山菜料理のようだが、そういう野趣はなく、調理法や食器、盛り付けぐあいなどはまったく京風で、千家の会席といった風趣がある。
ぼくが付け加える言葉はいらない。京都のお盆の旅を締めくくる、最高のご馳走だった。 (完)