仙台にお昼ごろ到着。その日の午後は、はじめから宮城県美術館と決めていた。特別展の”生誕200年 ミレー展/愛しきものたちへのまなざし”の最終日だったから。この展覧会は府中市美術館から巡回してきたものだが、つい見逃してしまったもの。
昨年3月、山梨県立美術館で、80点もの所蔵品一挙公開の”ミレーコレクション展”を観ているが、大々的なミレー展はそれ以来。
プロローグを終え、第2章は自画像・肖像画。自画像は生涯5点しか描かなかったそうだが、そのうち3点が展示されている。きりっとした顔立ちだった。ぼくは奥さんのポーリーヌ・オノの肖像画の方に惹かれた。3点あり、その一つは山梨のもの。亡くなる直前に描かれた”部屋着姿のポーリーヌ”はいかにも弱々しく、涙を誘う。シェルブールのモナリザとも讃えられた。1841年11月にオノと結婚し、巴里に出る。彼の最も貧しく、不遇だった時代の3年間を共にし、44年に病弱で亡くなる。そのあと、家政婦をしていたカトリーヌ・ルメールと同棲(のちに結婚)、9人の子供をもうける。彼女の肖像画も観ることができる。こちらは前妻とは違って、生命力溢れる、どちらかといえば官能的でさえある。
第3章は家族・生活。”鶏に餌をやる女”(これも山梨から)、”慈愛”とつづき、”子供たちに食事を与える女”と”待つ人”の二作品が特別にしつらえた青い壁紙の前に架けられている。たしかに壁紙の色で絵画が映える。いずれも、普段の生活を描いている。”バター作りの女”もここ。
第4章は大地・自然。ミレーというと、まず思い浮かぶ、晩鐘、落穂ひろいの名作。大地に種を蒔き、苗を育て、収穫、落穂まで拾い、つつましいながらも毎日、生活できる喜びを神や自然に感謝する。そんな絵がずらりと並ぶ。種まく人、落穂拾い・夏、耕す人。”刈り入れ”と”雁を見上げる羊飼いの少女”の二作品は、うすい緑色の壁紙をバックに。
後半には山梨からの、夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い、冬(凍えたキューピット)、ヴォージュ山中の牧場風景、グレヴィルの断崖とつづいて、西美からの大作、”春/ダフニスとクロエ”が〆る。
まさに、愛しきものたちへのまなざしを十分感じることができた展覧会だった。仙台でみたミレー展、あとで紹介するコレクション展と佐藤忠良記念館と共に、思い出に残るものとなった。
。。。。。
落ち穂拾い・夏、鶏に餌をやる女、アヒル番の少女、子供たちに食事を与える女
ポリーヌ・V・オノの肖像(三部作)
ミレーとポリーヌ・V・オノ
農民の家族
刈り入れ
宮城県美術館
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます